隣国への不安と自国への信頼:カナダ人が抱く米国への厳しい視線と世論の行方
北米の密接なパートナーであるカナダと米国の関係に、心理的な距離が広がっているかもしれません。最新の世論調査により、多くのカナダ人が米国の現状に強い懸念を抱いている一方で、自国の方向性については相対的に肯定的に捉えていることが明らかになりました。
米国への厳しい評価:8割が「間違った方向へ」
Abacus Dataが発表した最新の調査結果によると、カナダ人の意識に顕著な傾向が見られます。米国が正しい方向に進んでいると考えている人はわずか14%にとどまり、実に4人に3人(80%)が「米国は間違った方向に向かっている」と回答しました。
この結果は、隣国である米国への視線が非常に厳しくなっていることを示唆しています。
自国への視線と「外部への不安」という構造
一方で、カナダ自身の現状に対する評価は米国への視線とは対照的です。
- カナダが正しい方向に向かっている: 47%
- カナダが間違った方向に向かっている: 39%
調査を行ったAbacus DataのCEO、デビッド・コレット氏は、現在の世論を形成しているのは国内への不満(国内的な疲弊)よりも、「外部への不安」であると分析しています。
経済的プレッシャーの矛先
カナダ国内でも生活コストの上昇や経済的な不確実性への不安は根強くあります。しかし、多くの人々がその原因をカナダ政府の失策としてではなく、以下のような「外部要因」に求めている傾向があるといいます。
- ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス復帰による影響
- 米国国内の不安定さ
- 世界的なボラティリティ(変動性)の拡大
カナダ政府への支持率が過去最高を記録
このような外部環境への不安が、結果として国内の結束や政府への支持を後押ししている側面があるようです。調査によると、カナダ連邦政府の仕事に対する支持率は59%に達し、不支持は27%にとどまりました。
これは、マーク・カーニー首相就任後の傾向であり、2016年8月のトルドー政権時代に記録した57%を上回る過去最高の支持率となります。外部の不安定さが増す中で、自国のリーダーシップに期待を寄せる心理が働いていると考えられます。
隣国との関係性が深く、経済的に密接に結びついているからこそ、相手国の動向が自国の精神的な安定感にまで影響を与えるという、興味深い構造が見えてきました。
Reference(s):
cgtn.com