エヌビディアのジェンセン・ファンCEO、ファーウェイの「Tauスケーリング則」に言及。TSMCへの脅威は「ない」と分析
半導体業界のリーダーであるエヌビディアのジェンセン・ファンCEOが、中国本土のファーウェイが提唱した新しい設計概念「Tau(τ)スケーリング則」について、初めて公にコメントしました。次世代チップの開発競争が激化する中、業界のトップがこの新技術をどう捉えているのかが注目されます。
ファーウェイの「Tauスケーリング則」とは
ファーウェイが提示した「Tau(τ)スケーリング則」は、従来の半導体製造の常識とは異なるアプローチを取るものです。一般的に、チップの性能を上げるには回路の線幅を細くする(微細化)ことが不可欠とされてきました。
しかし、この新しい手法では以下のようなアプローチを重視しています。
- チップスタッキング(積層化)の活用:回路の線幅を縮小させるのではなく、チップを積み重ねることでトランジスタ数を増やし、性能を向上させる。
- 微細化の限界への挑戦:物理的な限界が近づいている微細化に頼らずに、計算能力を高める戦略。
「突破口ではあるが、脅威ではない」
5月28日、中国台湾地域の台北を訪れていたファンCEOは、記者団に対し、この技術を「ファーウェイにとっての突破口(ブレイクスルー)である」と認め、「非常に優れた技術だ」と高く評価しました。
しかし、同時にこの技術が世界最大の受託製造企業であるTSMCにとっての脅威になるかという問いには、明確に否定的な見解を示しました。その理由は、技術的な「時間差」にあります。
TSMCが持つ10年のアドバンテージ
ファンCEOは、ファーウェイが注目している積層化などの技術について、次のように指摘しています。
「TSMCと台湾は、この技術をすでに10年近く前から活用している」
つまり、ファーウェイにとっての新機軸であっても、TSMCにとってはすでに実用化され、最適化されてきた既存の技術であるという視点です。新技術への挑戦は称賛しつつも、蓄積された経験と量産体制という壁は依然として高いことを示唆しました。
最先端の半導体競争は、単なる理論上の「法則」だけでなく、それをいかに安定して大量に生産できるかという実装力の争いへと移行しています。今回のファン氏の発言は、技術的なアイデアと、産業としての競争力の間にある決定的な差を浮き彫りにした形となりました。
Reference(s):
Jensen Huang on Huawei's 'Tau (τ) Scaling Law': 'No threat to TSMC'
cgtn.com



