サマーダボス2025で聞く 世界経済フォーラム暫定会長の視点 video poster
サマーダボス2025で交わされた独占インタビュー
2025年も終わりに近づく中、世界経済は減速懸念と新たな成長機会が入り混じる不安定な局面にあります。こうした中で開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次会合サマーダボス2025年大会の会場で、国際メディアCGTNのマイケル・ワン氏が、WEF暫定会長ピーター・ブラベック・レトマット氏に独占インタビューを行いました。
インタビューでは、世界経済のトレンド、地政学的緊張の高まりの中でのWEFの役割、中国との協力の位置づけ、そして今後のグローバル経済リーダーシップのあり方がテーマとなりました。
世界経済のトレンド:不確実性と新しい成長エンジン
ブラベック・レトマット氏は、世界経済が依然として不確実性の高い局面にあることを前提にしながらも、新しい成長のエンジンが各地域で生まれつつある点に注目しました。インフレや金利動向、サプライチェーンの再構築などの課題が続く一方で、デジタル化や環境への投資など、中長期の成長を支える分野も広がっているという視点です。
サマーダボスは、とくに新興国や成長企業が集まり、イノベーションや産業構造の変化を議論する場として知られています。今回のインタビューも、そうした議論の延長線上で、どのように世界経済の「次の一歩」を描くかに焦点が置かれました。
地政学的緊張の中でのWEFの役割
今の世界では、地政学的な対立や分断が経済と切り離せないテーマになっています。ブラベック・レトマット氏は、こうした緊張が高まるほど、中立的な対話の場を提供するWEFの重要性が増しているという考えを示しました。
各国政府、企業、市民社会、研究者など、多様なステークホルダーが一堂に会する場を作り、互いの立場や懸念を率直に共有することで、誤解や不信を少しずつ和らげていく。そのプロセス自体が、長期的な安定と協力の基盤になるという発想です。
政治的な立場が異なる参加者同士であっても、共通の課題として、気候変動、エネルギー転換、デジタル経済のルールづくりなどを議論することで、現実的な接点を探る場としてのWEFの役割が強調されました。
中国との協力:世界経済の安定に向けたキープレーヤー
インタビューでは、WEFと中国の協力関係も重要なテーマとなりました。世界第2位の経済規模を持つ中国は、世界の成長や気候変動対策、技術イノベーションにおいて欠かせない存在です。
ブラベック・レトマット氏は、サマーダボスを含めたさまざまな場面で、中国の政策担当者や企業、研究者と対話を重ねることが、世界経済の安定にとって意味を持つと捉えています。成長モデルの転換やグリーン開発、デジタル産業のルールづくりなどの分野で、中国と他の国・地域との橋渡し役を担うことも、WEFの役割の一部といえます。
こうした協力は、特定の国だけに利益をもたらすものではなく、グローバルな課題の解決に向けた共同作業として位置づけられている点が印象的です。
グローバル経済リーダーシップの新しい姿
グローバル経済リーダーシップと聞くと、一部の大国や巨大企業が方向性を決めるイメージを持つ人も少なくありません。しかしブラベック・レトマット氏が描くのは、より多様で包摂的なリーダーシップの姿です。
それは、先進国だけでなく、新興国や途上国の声を反映し、若い世代やスタートアップ企業、市民社会の視点も取り入れながら、ルールや枠組みを作っていくという発想です。サマーダボスのような場は、そのための「実験の場」として機能しうるといえます。
単に成長率の数字を追うのではなく、持続可能性、公平性、技術の安全な活用といった価値をどうバランスさせるか。インタビューを通じて示されたビジョンは、そうした問いに向き合おうとするものでした。
日本とアジアの読者にとっての示唆
では、日本やアジアで暮らす私たちにとって、このインタビューは何を示しているのでしょうか。ポイントを三つに整理してみます。
- 世界経済の不確実性は続くものの、デジタルやグリーンなど新たな成長分野への投資と協力が鍵になること
- 政治的な対立があっても、対話と協調の場を維持し続ける仕組みとして、WEFのようなプラットフォームの重要性が増していること
- 中国を含む多様な国・地域がルールづくりに参加する、より開かれたグローバル経済リーダーシップが求められていること
通勤時間やスキマ時間にニュースを追う読者にとっても、こうした大きな流れを頭の片隅に置いておくことで、日々の企業ニュースや市場の動きの見え方が変わってくるかもしれません。
サマーダボス2025の現場から伝えられた今回の独占インタビューは、分断が強調されがちな時代にあっても、対話と協力の余地はまだ大きく残されていることを静かに示しているといえそうです。
Reference(s):
cgtn.com








