インドの若手デザイナーが挑むスローファッション復活 video poster
インドで、若手デザイナーたちが伝統の布と模様を使い、日常に着られる現代的な服を生み出すスローファッションの動きが広がっています。インドのテキスタイルと土着のデザインは何千年も続いてきましたが、この数十年は結婚式や宗教行事など特別な場に限られがちでした。ファストファッションの台頭で、ふだん着は大量生産の安い服が主流になっていたからです。
特別な日の衣装になってしまった伝統布
インド各地には、地域ごとに異なる織物や染色、刺しゅうの技術が受け継がれてきました。かつてこれらは、日常のサリーや男性のシャツにも当たり前のように使われていましたが、近年は多くが結婚式や祝い事専用の衣装としてしか見かけられなくなっていました。
背景には、この数十年で世界的に広がったファストファッションがあります。大量生産の既製服が安く手に入り、流行がめまぐるしく変わる中で、手作業で時間をかけて作られる伝統の布は、日常着としては高価で扱いづらいものとして敬遠されがちでした。
若手デザイナーが挑む「伝統×モダン」
こうした状況を変えようとしているのが、インドの若いデザイナーたちです。彼らは地元の職人が織った布や、古くから伝わる柄を積極的に使いながら、シンプルなシルエットや動きやすい形を取り入れ、都市部の若い世代でも毎日着られる服に作り替えています。
スレオシ・ムカルジー(Sreoshi Mukherjee)記者のリポートによると、彼らの狙いは二つあります。
- インド各地の古い技術や模様を、暮らしの中で生きた形で残すこと
- 最新のトレンドにも合う、新しいおしゃれのかたちを提案すること
伝統を守るだけでなく、今の自分たちらしいスタイルにアップデートする。このバランスを探る試みが、インドのスローファッションの特徴だと言えます。
スローファッションが問いかけるもの
スローファッションは、単に古いものを復活させる運動ではありません。時間をかけて作られた布を長く大切に着ることは、大量生産・大量消費の流れを見直すきっかけにもなります。また、自分のルーツや地域の物語が込められた服を選ぶことは、アイデンティティの表現にもつながります。
2020年代に入った今、気候変動や環境負荷への意識が世界的に高まる中で、インド発のこうした動きは、国際ニュースとしても注目されています。若手デザイナーたちが伝統とトレンドをどう結びつけていくのかは、インドだけでなく、私たち一人ひとりの服の選び方にもヒントを与えてくれます。
日本の私たちへのヒント
日本にも、各地に独自の織物や染色、手仕事の文化があります。インドの例は、それらを観光土産やハレの日の着物だけに閉じ込めず、ふだん着として取り入れることで、新しい魅力が生まれることを教えてくれます。
次に服を買うとき、次のような問いを自分に投げかけてみるのもよいかもしれません。
- この服は、どんな地域や人の技術とつながっているのか
- 長く着られるデザインや素材になっているか
- 自分らしさとその土地らしさを同時に表現できているか
インドの若いデザイナーが復活させようとしているスローファッションは、急ぎすぎる世界のスピードを少しゆるめ、服との付き合い方を見直すヒントを静かに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com







