米国の関税コスト、過半を消費者が負担 ゴールドマンが試算
米国の関税をめぐり、最終的なコストの「持ち主」は誰なのか。米金融大手ゴールドマン・サックスの最新報告書によると、2025年にドナルド・トランプ大統領が課した追加関税の負担のうち、過半が米国の消費者にのしかかる見通しだといいます。
報告書は、こうした関税が今年の物価を押し上げ、インフレ率を年末にかけて一段と高める要因になると指摘しており、国際ニュースとしても注目されています。
米消費者が55%を負担か
今回の試算では、2025年末までに関税コストの配分が次のようになると見込まれています。
- 米国の消費者:55%
- 米国の企業:22%
- 海外の輸出企業:18%
- 回避や脱法によって支払われない分:5%
ゴールドマン・サックスはこの内訳を踏まえ、米国の消費者が関税の「最終支払者」として最も大きな負担を抱えると分析しています。
足元では企業負担がやや大きい理由
もっとも、現時点では米国企業がより大きなコストを負担している可能性が高いと、報告書は指摘します。その背景には次のような点があります。
- 一部の関税が導入されたばかりで、小売価格に上乗せするには時間がかかること
- 企業が海外の仕入れ先と輸入価格の引き下げ交渉を行う必要があること
関税は政策としては即時に発動されますが、実際に店頭価格やサービス料金に反映されるまでには、契約更新や値札の変更といったプロセスを経るため、どうしてもタイムラグが生じます。現段階では、その「調整期間」の中にあるとみられます。
2019年との違い:企業は「様子見」姿勢
報告書は、2019年の関税導入時と現在の状況を比較しています。2019年には、関税コストのほぼすべてが最終的に消費者に転嫁されたとされますが、今回はまだ同じ状況には至っていません。
経済学者らは、企業が今回の関税について価格引き上げに踏み切るまでの期間を、以前よりも長くとっている可能性があるとみています。その理由として、関税をめぐる法的な異議申し立てなどが続いており、
- 関税がどの程度の期間続くのか
- 将来的に撤回や修正が行われる可能性があるのか
といった点を見極めようと、企業が慎重な「様子見」姿勢を取っていることが挙げられています。企業側が価格転嫁を急がなければ、その分だけ当面は企業の利益が圧迫されることになります。
インフレへの影響:物価を0.44%押し上げ
ゴールドマン・サックスの報告書によれば、米国の関税は今年ここまでで、米個人消費の物価動向を示す指標であるコア個人消費支出価格、いわゆるコアPCE価格を0.44%押し上げたとされています。
さらに、この関税の影響により、注目度の高いインフレ指標であるコアPCEは2025年12月までに3%に達する見通しだと試算されています。関税は特定の輸入品の価格を直接引き上げるだけでなく、サプライチェーン全体を通じて他の関連製品の価格にも波及しやすいため、物価全体にじわじわと影響が広がる構図です。
なぜ国際ニュースとして重要なのか
今回の分析は、米国国内の話題にとどまらず、世界や日本の投資家、ビジネスパーソンにとっても無視できない意味を持ちます。米国の消費者が関税コストの過半を負担するということは、例えば次のような影響につながる可能性があります。
- 家計の実質的な購買力が削られ、消費活動の勢いが弱まるリスク
- 企業が段階的に価格転嫁を進めれば、インフレが長引く可能性
- 物価動向を受けて、金融政策や金利などの判断に影響が出ること
米国の物価や消費動向は、輸出や投資などを通じて他国の景気にも影響が及ぶことがあります。その意味で、今回の報告書は、国際ニュースとして今後の動きを見守るうえで一つの重要な手がかりになると言えます。
読者が押さえておきたいポイント
スマートフォンでニュースをチェックする読者に向けて、今回の報告書から押さえておきたいポイントを整理します。
- トランプ大統領による2025年の追加関税は、最終的に米国の消費者が55%を負担すると試算されている
- 現時点では、企業が一時的により大きな負担を抱え、価格転嫁にはタイムラグが生じている
- 2019年と違い、企業は関税がどの程度続くかを見極めるため、値上げを急いでいない可能性がある
- 関税は今年のコアPCE物価を0.44%押し上げ、今月末までにインフレ率を3%まで高める要因になるとみられている
関税はしばしば外交や安全保障の文脈で語られますが、最終的な負担は多くの場合、消費者と企業が分け合うかたちで現れます。今回の報告書は、その現実を改めて数字で示したものだといえるでしょう。
Reference(s):
Report finds U.S. consumers to bear more than half of tariff costs
cgtn.com








