米上院が6カ月つなぎ予算可決 政府閉鎖の危機を回避
米議会の上院は現地時間の金曜日、連邦政府の資金枯渇が目前に迫るなか、現行の歳出水準を向こう6カ月間、9月まで維持するつなぎ予算案を可決しました。これにより、直前まで懸念されていた米連邦政府の一部閉鎖はひとまず回避される見通しです。
上院54対46、下院217対213の接戦
今回のつなぎ予算案は、すでに下院が火曜日に可決していました。下院での採決は賛成217、反対213と、党派ごとにほぼ割れた接戦でした。続いて上院でも、賛成54、反対46で可決され、法案は上下両院を通過しました。
法案はこのあとドナルド・トランプ大統領の署名に送られており、署名を経て法律として正式に成立する運びです。成立すれば、政府予算は9月まで現在と同じ水準で継続されます。
なぜ何度も「つなぎ予算」になるのか
米連邦政府の資金は、本来は1年ごとに編成される予算(歳出法)によって賄われます。通常、議会は会計年度が始まる10月1日までに新しい予算関連法案を通過させることが想定されています。
しかし近年、議会内の激しい党派対立のため、期限までに合意に至らないケースが続いています。その結果、政府機能を止めないための「短期のつなぎ予算」(ストップギャップ法案)が繰り返し採用されてきました。
もしつなぎ予算も含めて予算関連法が期限までに成立しなければ、米連邦政府の多くの部門が業務を停止する「政府閉鎖(シャットダウン)」が起きます。これは、公務員の一部が一時帰休となり、国立公園や行政サービスの停止、経済への下押し要因などを招くため、国内外で大きな懸念材料となります。
シューマー氏はなぜ態度を変えたのか
今回のつなぎ予算案をめぐっては、民主党のチャック・シューマー上院少数党院内総務(ニューヨーク州選出)が当初は反対姿勢を示していました。共和党が主導して下院を通過させた法案には、民主党側の意見がほとんど反映されていないと主張していたためです。
しかしその後、シューマー氏は一転して賛成に回ると表明し、実際に賛成票を投じました。その理由として同氏は、法案の中身に不満はあるものの、政府閉鎖という結果の方がはるかに悪いという考えを示しています。つまり、政策面での譲歩と、政府機能の停止回避という現実的な選択とのあいだで、後者を優先した形です。
昨年12月にも「土壇場」のつなぎ予算
米議会が土壇場でつなぎ予算を可決する構図は、今回が初めてではありません。昨年12月、下院はやはり政府資金の枯渇が目前に迫るなか、短期の歳出法案を可決していました。このときも採決は期限のわずか数時間前で、上院は締め切りを過ぎた深夜に法案を承認するという綱渡りでした。
その昨年12月の法案は、連邦政府が現行水準で歳出を続けられる期間を3月14日まで延長する内容でした。今回の法案はそこからさらに先、9月までの資金手当てを図るもので、政治的な対立を解きほぐすというよりは、「危機の先送り」を重ねる形になっています。
繰り返される「危機の先送り」が映すもの
こうしたつなぎ予算の連鎖は、米政治の構造的な行き詰まりを映しているとも言えます。党派対立が激しく、双方が譲れない論点を多く抱えるなかで、包括的な長期予算で本格的な妥協を図るより、期限ぎりぎりで最小限の合意だけを積み上げる方が、政治的なコストが低いからです。
しかし、短期のつなぎ予算に依存し続けることは、政府機関にとっても民間にとっても、将来の見通しを立てにくくする要因になります。予算が数カ月単位でしか確保されない状況では、長期的な投資や改革を計画しにくくなり、行政の効率性も損なわれかねません。
日本や世界への影響は
米国の政府閉鎖やそのリスクは、国内問題にとどまらず、世界経済や金融市場にも影響を与える可能性があります。世界最大の経済規模と国債市場を持つ米国で、政治的な不透明感が高まれば、為替や株式市場の変動要因になり得るからです。
今回、つなぎ予算が成立する見通しとなったことで、目先の混乱は避けられました。しかし、9月までの時間は「問題を根本的に解決するための猶予期間」とも言えます。この間にどこまで本格的な予算協議が進むのか、そして次の期限前に再び同じ構図が繰り返されるのかどうかが、今後の注目ポイントとなりそうです。
私たちがこのニュースから考えられること
米議会のつなぎ予算をめぐる攻防は、一見すると遠い国の政治ドラマのようにも見えます。しかし、そこには「合意が難しい社会で、どう公共サービスを維持していくか」という、民主主義国に共通する課題が凝縮されています。
- 対立が激しい中でも、最低限の政府機能はどう守るのか
- 短期的な危機回避と、長期的な制度設計をどう両立させるのか
- 政治の不安定さが、経済や私たちの日常にどのように波及しうるのか
今回のつなぎ予算は、政府閉鎖という最悪の事態を避けるうえで重要な一歩でした。一方で、危機が繰り返される背景にある構造的な問題が解決されない限り、同じような「土壇場の攻防」が今後も続く可能性は残ります。そうした視点から、米国の動きをフォローしていくことが、日本から国際ニュースを読み解くうえでも意味を持つのではないでしょうか。
Reference(s):
U.S. Senate approves six-month funding bill to avert shutdown
cgtn.com








