ミラノ・ファッションウィークでAurora発表 光と神話を描く中国人デザイナー video poster
2025年3月2日、イタリアのミラノ・ファッションウィークで中国人デザイナーのZhao Huizhouさんが2025年秋冬コレクション「Aurora」を歴史的建物パラッツォ・クレリチで発表しました。中国神話と西洋神話を結びつけ、「光」を希望と再生の普遍的なシンボルとして描く意欲的な試みです。
ミラノ・ファッションウィークで披露された「Aurora」
国際ファッションの主要イベントとして知られるミラノ・ファッションウィーク。2025年の会期中、3月2日に行われたショーで、Zhao Huizhouさんは自身の2025年秋冬コレクション「Aurora」を発表しました。会場となったのは、ミラノ中心部にある歴史的な邸宅パラッツォ・クレリチです。
タイトルのAuroraは夜明けや極光を想起させる言葉で、暗闇のあとに訪れる新しい光を象徴します。そこに、中国と西洋それぞれの太陽神話のモチーフが重ねられています。
中国神話と西洋神話が交差するコンセプト
今回のコレクションの核となっているのが、中国の古典「山海経」に登場する太陽の女神・羲和と、西洋神話における太陽神アポロンの太陽の馬車のイメージです。Zhaoさんは、この二つの神話世界を行き来しながら、光というテーマを立体的に描き出そうとしています。
太陽の女神・羲和が示す東アジアの光
「山海経」に登場する羲和は、太陽と深く結びついた存在として語られます。Zhaoさんは、この東アジアの太陽神話をインスピレーションの源とし、中国文化の物語性を国際的なランウェイの上に持ち込みました。
アポロンの太陽の馬車という西洋イメージ
一方で、西洋神話から引用されたのが、アポロンが駆る太陽の馬車のモチーフです。空を横切る光の軌跡として語られてきたこのイメージは、羲和の物語と対話する形でAuroraの世界観に組み込まれています。
東と西、二つの神話が出会うことで、単なる民族性の強調ではない、より普遍的で共有可能な「光」のイメージが立ち上がってきます。
光はなぜ「希望」と「再生」のシンボルなのか
Zhaoさんのコレクションは、光を希望と再生の象徴として捉えています。夜明けの光は、暗闇のあとに訪れる新しい始まりを連想させます。社会や経済の先行きが読みづらい時代にあって、このモチーフは世界中の人に共有される感覚でもあります。
今回のAuroraは、単に美しい衣服を見せるだけでなく、「今、この時代に光をどうイメージするか」という問いを投げかけているとも言えます。国や地域を超えて共有しうる感情や経験に焦点を当てた点で、グローバル志向のファッション表現の一つと見ることができます。
国際ファッションの中で広がる中国人デザイナーの存在感
ミラノ・ファッションウィークのような国際的な舞台で、中国人デザイナーが自らの文化的ルーツをベースにしながらも、特定の地域性に閉じないテーマを打ち出す動きは、ここ数年で目立つようになってきました。
Auroraが興味深いのは、「中国的なもの」を前面に押し出すだけでなく、西洋神話との対話を通じて、「光」というより普遍的なキーワードに落とし込んでいる点です。このアプローチは、
- 中国文化の物語性を生かしながら、海外の観客にも直感的に伝わるテーマ設定
- 特定のトレンドや流行語に頼らず、神話や自然現象といった長期的なモチーフに焦点を当てていること
- 歴史的な会場であるパラッツォ・クレリチの空間性と調和しやすいコンセプトであること
といった点で、国際ファッションシーンの中でも独自のポジションを生み出しています。
日本の読者にとっての見どころ
日本のファッションファンやアジアに関心のある読者にとって、今回のニュースは次のような意味を持ちます。
- 中国神話や古典に根ざした表現が、欧州のハイファッションの場でどう受け止められているのかを知るきっかけになる
- 東アジアの文化が、西洋の神話や歴史と組み合わされることで生まれる新しい物語性を考えるヒントになる
- ファッションを「着るもの」だけでなく、「ストーリーを語るメディア」として捉え直す視点を得られる
2025年のミラノ・ファッションウィークで披露されたAuroraは、これからの秋冬シーズンを象徴する一つの物語として語り継がれていきそうです。光をめぐるこのコレクションが、今後どのように評価され、どのような議論やインスピレーションを生み出していくのか、引き続き注目したいところです。
Reference(s):
Chinese designer Zhao Huizhou unveils new line at Milan Fashion Week
cgtn.com








