中国の産業経済が拡大 製造業・AI・5G・グリーン工場の現在地
中国の産業経済が、第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中に着実な成長を続けていることが明らかになりました。製造業が中国経済の土台として存在感を保ちつつ、グリーン化やデジタル化、AI・ロボットまで幅広く進んでいる点が特徴です。
これは、国務院新聞弁公室の記者会見で、中国の工業・情報化を担当する李Lecheng工業・情報化相が説明したものです。世界の製造業やサプライチェーンに関心がある読者にとって、現在の中国の産業経済を読み解く手がかりとなる内容です。
第14次五カ年計画で拡大する中国の産業経済
李相によると、第14次五カ年計画期間に入ってから、中国の産業経済は全体として安定的な拡大を続けています。とくに製造業は、依然として中国経済を支える基盤として重要な役割を果たしています。
2020年から2024年にかけて、中国の工業全体の付加価値は31.3兆元から40.5兆元へと増加しました。李相は、製造業の付加価値は第14次五カ年計画の期間を通じて8兆元増える見通しであり、世界の製造業成長の30%超を中国が押し上げると説明しました。
数字を整理すると、次のような姿が浮かび上がります。
- 工業付加価値は2020年の31.3兆元から、2024年には40.5兆元へ拡大
- 計画期間全体で、製造業の付加価値は8兆元増加する見込み
- 世界の製造業成長の3割超を中国が担う構図
2025年の最終年を迎えている第14次五カ年計画の中で、中国は「量」だけでなく「質」の向上も重視していると強調しました。
グリーン工場6,430カ所 省エネと両立する成長
産業経済の拡大と並行して、李相が強調したのが「グリーン発展」の加速です。中国は、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減と、産業成長の両立を進めていると説明しました。
2025年時点で、中国には国家レベルのグリーン工場が6,430カ所整備されています。グリーン工場とは、省エネや排出削減、資源循環などに優れた工場として認定された拠点を指します。
李相は、工業生産1単位あたりのエネルギー消費量が引き続き低下していると述べました。これは、単に生産量を増やすだけでなく、効率性や環境性能の改善にも重点を置いていることを意味します。
国際ニュースの観点から見ると、中国のグリーン工場の増加は、世界のサプライチェーン全体の環境基準や取引条件にも影響を与え得る動きといえます。
世界最大級のネットワークインフラと5G活用
中国は、デジタルインフラの整備でも大きく前進しています。李相は、中国が「世界で最も大規模で広範なネットワークインフラ」を構築していると述べました。
具体的には、2025年までに約460万カ所の5G基地局が整備されています。この膨大な数の5G基地局を背景に、5Gの応用は鉱山、港湾、工場など、実際の産業現場に広がっています。
たとえば、次のような領域で5Gが活用されていると説明しました。
- 鉱山での遠隔操作や安全管理の高度化
- 港湾での自動運搬システムや物流の最適化
- 工場での生産ラインの自動化・可視化
5Gは単なる通信速度の向上にとどまらず、製造現場の高度な制御やリアルタイム監視を可能にし、いわゆるスマートファクトリーの基盤となっています。中国の産業経済の競争力は、このデジタルインフラに大きく支えられているといえます。
AIとヒューマノイドロボットが「数千の産業」を加速
李相は、人工知能(AI)が「数千の産業」の発展を加速していると述べ、AIが製造業だけでなく幅広い産業分野の変革を牽引していると位置づけました。
とくに注目されたのが、次世代のインテリジェント端末やロボット、とりわけヒューマノイドロボットの進化です。これまで展示会のステージ上でのデモや、屋外の試験フィールドで走り回る姿が目立っていたヒューマノイドロボットが、家庭や工場など、より実用的な場面での活用へと近づいていると強調しました。
AIとロボットの組み合わせにより、次のような変化が想定されています。
- 工場での作業支援や危険環境での代替作業
- 家庭やサービス現場での見守りや接客などの支援
- 人手不足分野での作業の一部代替や補完
こうした動きは、単に技術トレンドとしてだけでなく、労働市場や職種の変化、教育やスキルのあり方など、社会全体のテーマとも結びついていきます。
サプライチェーンの強靱化と「質の高い発展」
李相はまた、中国の産業チェーンとサプライチェーンの強靱性が引き続き高まっていると述べました。これは、原材料調達から部品、製造、物流に至るまでの全体の連続性や安定性を重視しているという意味です。
中国は、重点となる産業チェーンや製造プロジェクトについて、「高品質な発展」の行動を着実に実行していると説明しました。これは、単に生産能力を増やすだけでなく、技術水準や付加価値を高める方向に産業構造を高度化していくという方針です。
サプライチェーンの強靱化は、地政学リスクや自然災害など、予期せぬショックへの備えとしても重要なテーマです。中国がこの分野での取り組みを強めていることは、世界の企業にとっても無視できない要素になりつつあります。
世界と日本にとって何を意味するのか
今回の説明からは、2025年現在の中国の産業経済について、いくつかのキーワードが浮かび上がります。
- 製造業の付加価値を押し上げる量的な拡大
- グリーン工場の整備や省エネによる環境配慮
- 5Gインフラを軸にした産業のデジタル化
- AIとヒューマノイドロボットによるインテリジェント化
- サプライチェーン強靱化と「質の高い発展」の追求
こうした動きは、世界の製造業や国際サプライチェーンの競争環境に影響を与える可能性があります。とくに、アジアの一員であり製造業大国でもある日本にとっては、中国の産業経済の変化を丁寧に読み解くことが、自国の産業戦略や企業の中長期戦略を考えるうえで避けて通れないテーマになっていきます。
中国は今後も、産業経済の発展と強化を続ける方針を示しています。読者のみなさんにとっては、グリーン化、デジタルインフラ、AI・ロボット、サプライチェーンの強靱化といったキーワードが、今後の国際ニュースを読み解く重要な視点になりそうです。
Reference(s):
China will continue to develop and strengthen industrial economy
cgtn.com








