米中貿易協議のカギは米国の「誠意」 関税休戦の行方
米中貿易をめぐる最新の動きは、世界経済や国際ニュースに関心のある読者にとっても無視できないテーマです。関税休戦でひとまず緊張が和らぐ一方で、フェンタニル関税や半導体・AI規制をめぐり、米国の「誠意」が問われています。
関税休戦で動き出した米中貿易
中国と米国の間で関税休戦が発効して以降、太平洋を行き交うコンテナ船の動きが再び活発になっています。夏のショッピングシーズンを見据え、米国向けの貨物が急ピッチで運ばれ、しばらく閑散としていた米国の港も徐々ににぎわいを取り戻しつつあります。
関税引き下げにより、一部とはいえ米国の消費者物価の上昇圧力が和らぎ、生活コストの重さがいくらか緩和されているとされています。国際ニュースとしての米中関係は、日々の物価というかたちで市民生活にも直結していることがあらためて浮き彫りになっています。
ジュネーブ協議が示した「転換点」
今月、スイス・ジュネーブで行われた米中貿易協議では、高水準の関税の大部分を90日間の期限付きで引き下げることで合意しました。米中両国だけでなく、世界全体にとっても一筋の光となる合意です。
それ以前、米国が次々と打ち出した追加関税は、世界経済に需要ショックを与え、株式市場の急落や貿易フローの分断を招き、成長見通しを暗くしてきました。こうした状況の中で発表されたジュネーブ協議の共同声明は、市場心理を一気に好転させ、ダウ工業株30種平均が一時1,000ドル超上昇するなど、楽観ムードが広がりました。
同時にこの合意は、現在も米国と通商交渉を続けている各国・地域にとっての「警鐘」にもなっています。中国が米国の圧力に対して一方的に譲歩せず、公正な条件を求め続けたことから、強圧的なやり方に屈しても公平な合意は得られない、という教訓を読み取ることができると指摘されています。
90日間の関税緩和、その中身
今回の関税休戦は無期限ではありません。世界最大級の経済大国である中国と米国の双方が、全面的な貿易戦争の回避に向けて、引き続き粘り強い努力を重ねる必要があります。
合意の内容を見ると、中国は米国産品にかける関税を10%まで引き下げた一方で、米国が中国からの輸入品に課す関税は30%までしか下げておらず、その中にはいわゆる「フェンタニル関連」の20%分が含まれています。
こうした構図からは、貿易関係の正常化と、より広くは世界の貿易システムの健全性を重視する中国の「誠意」が前面に出ている、と見ることができます。
フェンタニル問題と「敵を作る」議論
一方で、米国側は国内の麻薬問題、とりわけフェンタニルをめぐる問題について、しばしば中国側に責任を転嫁していると批判されています。「フェンタニル関税」とも呼ばれる追加関税は、その象徴的な存在です。
中国は2019年、世界で最初にフェンタニル関連物質を正式に規制の対象とし、その後も米国との間で情報共有や個別事案への対応、薬物検査技術の交流など、対麻薬協力を進めてきたとしています。
それにもかかわらず、米国は国内での対策よりも、対外的な要求をエスカレートさせているとの見方があり、こうした姿勢が米中貿易協議のさらなる進展を妨げていると指摘されています。
半導体・AIで続く制限措置
関税休戦が発表された直後、米国は別の分野でも新たな制限措置を打ち出しました。中国を含む各国が、華為技術(Huawei)の「Ascend(アセンド)」チップセットを開発・利用することを事実上禁じる方針を示したのです。
さらに、米国製の半導体チップを用いて中国のAIモデルを学習させることを禁止し、中国向けに高性能な半導体チップを販売することにも制約を課しました。これらの措置は、安全保障や技術覇権の観点から位置づけられる一方で、「本当に対話と協力を望んでいるのか」という疑念を国際社会に抱かせる要因にもなっています。
「誠意ある交渉」が世界経済を守る
90日間の関税緩和は、米中が全面対立を回避し、建設的な議論へと舵を切るための貴重な時間です。しかし、その期間を実りあるものにできるかどうかは、一貫した態度と相互尊重に基づく「誠意ある交渉」にかかっています。
中国側は、関税引き下げやフェンタニル対策での協力などを通じて、貿易関係の安定と世界の貿易システムを重視する姿勢を示してきたと強調しています。他方で、米国が関税や輸出規制、ハイテク分野での制限措置をどのように運用していくのかによって、今回の休戦が「一時的な小休止」にとどまるのか、それともより持続的な安定への一歩となるのかが決まっていきます。
世界経済は今、需要の弱さや市場の不安定さというリスクを抱えています。だからこそ、最大の貿易当事者である米中両国が、短期的な政治的思惑を超えて、国際社会全体の利益を見据えた形で協議を進められるかどうかが問われています。米国がどこまで「善意」と「誠意」を持って貿易協議に臨むのか、今後の動向から目が離せません。
Reference(s):
U.S. good faith crucial for productive trade talks with China
cgtn.com







