国連報告:2025年の世界経済成長率は2.8%に据え置き 不確実性と地域別の明暗
2025年の世界経済成長率は2.8%にとどまり、新型コロナ禍前の水準を下回る状態が続く──国連の最新報告書が、そんな慎重な見通しを示しました。
国連が木曜日に公表した世界経済報告『World Economic Situation and Prospects 2025』によると、2025年の世界全体の実質成長率は2.8%と予測され、2024年と同じ水準に据え置かれました。インフレ率の低下や労働市場の改善、金融緩和の動きがありながらも、成長は新型コロナ禍前の水準をなお下回る見通しです。
世界全体:2025年は2.8%、2026年は2.9%の小幅な回復
報告書は、世界経済が2025年に2.8%成長し、2026年には2.9%へわずかに加速すると見込んでいます。一方で、成長の勢いは依然として限定的で、持続的な回復には不確実性が付きまといます。
国連は、次のような要因が2025年の世界経済を下支えすると指摘します。
- 多くの国でインフレが落ち着きつつあること
- 労働市場の改善により、雇用と所得環境が持ち直していること
- 各国が金融引き締めから金融緩和へと徐々に転じていること
ただし、これらはあくまで「ささやかな追い風」にとどまります。地政学的な対立、貿易摩擦の高まり、多くの国で依然高水準にある借入コストなど、成長を押し下げる材料も多く残っています。
地域別の成長見通し:明暗分かれる各地域
報告書は、地域ごとの成長率の違いも浮き彫りにしています。主な地域の予測は次のとおりです。
- 米国:2024年の2.8%から2025年は1.9%へ減速。労働市場の勢いが弱まり、個人消費も落ち着くと見込まれています。
- 欧州:2024年の0.9%から2025年は1.3%へ小幅回復。インフレの沈静化と底堅い雇用が支えとなる一方、財政引き締めや生産性の伸び悩み、高齢化といった長期課題が重くのしかかります。
- 東アジア:2025年の成長率は4.7%と予測。その中心となるのが、中国の安定した4.8%成長で、域内の個人消費の力強さが追い風となります。
- 南アジア:世界で最も高い伸びを続ける地域とされ、2025年の成長率は5.7%を見込みます。とりわけインドは6.6%の拡大が予測され、地域全体をけん引します。
- アフリカ:2024年の3.4%から2025年は3.7%へと緩やかに回復。エジプト、ナイジェリア、南アフリカなど主要国の持ち直しが背景にあります。
こうした数字からは、世界全体としては低成長が続く一方で、南アジアや東アジアなど比較的高い成長が見込まれる地域もあることが分かります。
低所得国・脆弱国により厳しい現実
国連は、とくに低所得国や脆弱な国々にとって、今回の見通しが厳しい意味を持つと警鐘を鳴らしています。成長率が十分に高くないうえ、その回復も不安定であるため、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた歩みがさらに遅れる恐れがあるためです。
成長が弱いと、次のような悪循環が起きやすくなります。
- 税収の伸びが限られ、教育や医療、インフラなどへの公的投資が難しくなる
- 雇用機会が十分に増えず、貧困や格差が固定化しやすくなる
- 借入コストが高い状態では、新たな投資を行う余力が削がれる
こうした構造的な課題に対し、国際社会がどのように支援を強化していくかが、今後の重要な論点となりそうです。
世界経済の見通しから読み取れる三つのポイント
今回の国連報告から、私たちが押さえておきたいポイントを三つに整理します。
- 「コロナ後の急回復」はすでに終わり、世界は低成長の局面に入っている
成長率は2025年も2.8%にとどまり、2026年も2.9%程度と見込まれています。急激な景気回復ではなく、じわじわとした回復が続くシナリオです。 - 地域ごとの差が大きくなる
米国や欧州が減速・低成長に直面する一方、南アジアや東アジアは比較的高い伸びを維持すると予測されています。企業や投資家にとっては、どの地域に関わるかがより重要になっていきます。 - 低所得国とSDGsへの目配りが欠かせない
脆弱な国々では、成長の鈍さがそのままSDGsの遅れにつながるおそれがあります。気候変動対策や貧困削減など、国際協力の優先順位をどう定めるかも問われています。
2025年も世界経済は「危機ではないが楽観もできない」状態が続きそうです。日々のニュースで個別の出来事を追うだけでなく、こうした国連の世界経済見通しを時折振り返ることで、中長期の流れをつかむヒントが得られます。
Reference(s):
cgtn.com








