景泰藍(Jingtailan):600年の伝統工芸はなぜ今も「若い」のか video poster
約600年の歴史を持つ中国の伝統工芸・景泰藍(Jingtailan)が、今年の文化・自然遺産デーに合わせてあらためて注目を集めています。かつては皇室の宝物とされたこのクロワゾネ(七宝)技法は、いま北京の老舗工房で、現代の暮らしに寄り添うアートへと姿を変えつつあります。
皇室の宝物から現代アートへ
景泰藍は、長く宮廷文化を彩ってきた工芸です。重厚な色合いや緻密な文様は、権威や豊かさの象徴でもありました。そうした「帝室の宝物」が、なぜ今、日常に近い存在として語られているのでしょうか。
今年の文化・自然遺産デーに合わせて、北京の歴史ある工房が取材に応じ、熟練した職人たちが、古い技を守りながらも新しい表現に挑む姿が伝えられました。約600年受け継がれてきた技術が、2025年の今も「若さ」を保ち続けている、その理由がそこにあります。
景泰藍(Jingtailan)という技術
景泰藍は、中国のクロワゾネ、つまり金属の表面を色ガラスの釉薬で彩る七宝焼きの一種とされています。金属の地に細い金属線で模様の輪郭を立て、できた小さな区画ごとに色釉を詰めて焼成し、研ぎ出して滑らかな面をつくる――そうした気の遠くなるような工程の積み重ねが、独特の光沢と立体感を生み出します。
一つひとつの工程が手作業で、色の調合や線のわずかな曲がり具合が作品全体の印象を左右します。そのため、熟練の感覚と長年の経験を持つ職人の存在が欠かせません。
北京の老舗工房で続く「守る」と「変える」
北京の老舗工房では、古い技術を守ることと、新しいデザインに挑戦することが同時に進んでいます。職人たちは、伝統的な文様や色使いを大切にしながらも、現代の生活空間や価値観に合う表現を模索しています。
変わらない手仕事
道具や材料が変わっても、細かな工程の多くはいまも手作業のままです。線を曲げて貼り付ける作業、色を置く作業、焼きと研磨を何度も繰り返す作業――効率化が難しい部分こそが、景泰藍ならではの魅力を支えています。
暮らしの中にどう生かすか
一方で、伝統工芸が次の世代へと受け継がれていくためには、鑑賞用の工芸品だけでなく、普段の暮らしの中で使えるものへと応用していくことも重要になっています。インテリアとして飾りやすいサイズ感の作品や、シンプルなラインを取り入れたデザインなど、現代の感覚に寄り添う工夫は、どの工房にとっても大きなテーマです。景泰藍もその例外ではありません。
文化・自然遺産デーが映し出すもの
文化・自然遺産デーは、その名の通り、文化と自然の遺産に光をあてるための日です。2025年も各地で、伝統工芸や無形文化を紹介する企画が行われました。景泰藍を紹介する今回の特集も、そうした流れの一つだと言えます。
華やかな色彩に目を奪われがちですが、その背景には、長い歴史の中で受け継がれてきた技と、それを未来につなごうとする静かな努力があります。こうした「目に見えにくい努力」に注目が集まること自体が、この記念日の意味を物語っています。
静かに続く手仕事を未来へ
日本にも七宝焼きなど、金属とガラスを組み合わせた工芸があり、後継者の育成や市場の変化といった課題は共通しています。景泰藍の工房で起きている「伝統と革新」の試みは、アジア各地の工芸に通じる問いを投げかけています。
約600年続く景泰藍の技が、今も「若い」理由の一つは、職人たちが伝統に安住せず、静かに変化を積み重ねてきたからかもしれません。自分の部屋や身の回りに、どんな形ならこうした工芸品を迎え入れられるか――そんな想像をしてみることが、文化遺産を未来へと手渡す、小さな一歩になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








