神舟21号の3人、宇宙ステーションで実験加速 医療・電池・ロボ研究
中国の有人宇宙船「神舟21号」の宇宙飛行士3人が、直近1週間にわたり宇宙ステーションでの科学実験を着実に前進させています。軌道上での滞在は約80日に近づき、健康状態も良好だとされています(2026年1月18日時点)。
神舟21号クルーの体制:指揮官を含む3人
乗組員は、ミッション指揮官の張路(Zhang Lu)氏、呉飛(Wu Fei)氏、張洪章(Zhang Hongzhang)氏の3人です。日々の実験と機器運用、訓練、健康管理を並行しながら、軌道上の作業を継続しています。
ロボット「小航(Xiaohang)」と“触って確かめる”宇宙テスト
この1週間、クルーは宇宙ステーション内のインテリジェントロボット「小航(Xiaohang)」と継続的に連携しました。実施したのは、触覚インタラクション(触って反応を確かめる)や自律飛行などの複数テストです。
得られたデータは、ロボットの軌道上での動き(運動挙動)を将来さらに最適化するために活用されるとしています。人が常に付き添えない環境で、機器が自律的に動くための「振る舞いの設計」は、宇宙ステーション運用の現場感に直結するテーマでもあります。
宇宙医療:尿・唾液から“体と環境の変化”を追う
尿サンプルをラマン分光で分析
宇宙医療分野では、宇宙用のラマン分光計(物質の成分を光で解析する装置)を用いて、尿サンプルに含まれる代謝成分を分析しました。収集データは、関連する代謝物の指標体系や評価基準の改良に役立てられるとされています。
唾液サンプルで微生物の変化を調査
また、宇宙ステーションの環境内で、宇宙飛行士が微生物集団(マイクロバイオーム)に与える影響を調べる研究のため、唾液サンプルも採取しました。サンプルは地球帰還後に検査される予定です。
遺伝暗号とキラリティ:宇宙環境での“左右の偏り”を探る
遺伝暗号(遺伝情報の読み取りの仕組み)の起源と、キラリティ(分子の左右性)との関係を宇宙環境で調べる研究でも、サンプルの採取と保管を完了しました。研究は、アミノ酸とヌクレオシドの間でどのようなキラルな組み合わせパターンが現れるのかを探ることを目的としています。
微小重力×電池:宇宙向けリチウムイオン電池の“その場”実験
微小重力物理の領域では、宇宙用途のリチウムイオン電池に関する電気化学・光学実験を「その場(in situ)」で継続しました。反応や状態変化を運用中に観測していくタイプの実験で、宇宙で使う電源技術の検討に関わるテーマです。
実験ラックの保守も“研究の一部”:燃焼・流体の装置を更新
実験の進行と並行して、燃焼科学実験キャビネットのサンプリングカバー交換、流体物理実験キャビネットのモジュール分解・再組み立て、実験サンプルの交換も行いました。宇宙ステーションでは、限られた機材を長期間使い続けるため、こうした細かな保守作業が研究の連続性を支えます。
「減圧」を想定した緊急訓練:地上と軌道の連携を確認
予定通り、システム全体の圧力に関する緊急訓練も実施されました。訓練では、宇宙ステーション内部で減圧(内圧低下)が発生した状況を想定し、緊急対応プロセス全体をシミュレーション。宇宙飛行士の対応力に加え、地上—宇宙間の連携スキルの強化につながったとしています。
健康管理:聴力検査と定期運動を継続
医学的検査として聴力検査などを予定通り実施し、ランニングなどの運動も定期的に行ったとされています。実験・訓練・生活のリズムを保つこと自体が、長期滞在の土台になっていきます。
ロボット、医療、電池、燃焼、流体、そして緊急対応。神舟21号の直近1週間の動きは、宇宙ステーションが「研究室」であると同時に「生活空間」であり、さらに「安全を維持する現場」でもあることを静かに伝えています。
Reference(s):
Shenzhou-21 crew continues with science experiments, life in orbit
cgtn.com








