中国で広がるウェルネスウェーブ 4カ月で28キロ減の男性に見る体重管理のいま
中国でいま、体重管理とウェルネス(心身の健康)への関心が高まり、国をあげた取り組みが進んでいます。4カ月で28キロの減量を果たした男性のストーリーは、この「ウェルネスウェーブ」を象徴する出来事として、中国のSNSでも注目を集めています。本記事では、日本語で読める国際ニュースとして、中国の体重管理政策とその背景を整理します。
体重管理クリニックを全国で拡充へ
中国の国家衛生健康委員会(NHC)のトップである雷海潮氏は、北京で毎年開かれる全国レベルの立法会合の期間中に行われた最近の記者会見で、全国の医療・保健機関において体重管理クリニックを増設していく方針を明らかにしました。
この方針は3月11日に正式に打ち出され、国民のウェルネスと、より健康的なライフスタイルを全国的に推進することの重要性を強調しています。単なるダイエットではなく、継続的な体重管理を医療の現場から支えることを目指している点が特徴です。
数字が示す課題:成人の約3人に1人が過体重
国家衛生健康委員会が2020年にまとめた報告書によると、中国の成人のうち34.3パーセントが過体重、16.4パーセントが肥満とされています。あわせると成人のおよそ半数が体重の問題を抱えている計算になります。
さらに、研究では中国の成人における過体重と肥満の割合が、2030年までに65.3パーセントに達する可能性が指摘されています。放置すれば、糖尿病や心血管疾患といった生活習慣病のリスクが高まり、医療や経済への負担も増すと考えられます。
2024年スタートの「体重管理年」3カ年計画
こうした背景を受けて、2024年6月には国家衛生健康委員会とその他の政府部門が共同で「体重管理年」イニシアチブを立ち上げました。3年にわたるこの取り組みは、ヘルシー・チャイナ戦略(Healthy China)の一環として位置づけられています。
この計画の柱は、次の三つです。
- 国民の健康リテラシー(健康情報を理解し、日常生活で活用する力)の向上
- 運動や食生活など、健康的な生活習慣を身につけ定着させること
- 継続的な体重管理を後押しする、社会や生活環境の整備
2024年6月に始まったこの3カ年計画は、2025年末の現在も進行中であり、政策や啓発を通じて人々の行動変容を促そうとしています。
SNSで広がる「ウェルネスウェーブ」
このような政策の動きと並行して、中国ではウェルネスブームがSNSを中心に広がっています。人々はダイエットや運動の記録、食事の工夫、健康診断の結果など、自分の体重管理のプロセスをオンラインで共有し合っています。
そうした投稿の中でも象徴的な存在として注目されているのが、河北省唐山に住む47歳のマーケティングディレクター、高利龍(Gao Lilong)さんです。高さんは4カ月で28キロの減量に成功し、その経験が多くの共感を呼んでいると伝えられています。
仕事と家庭で忙しい働き盛り世代の一人が、大幅な減量に踏み出したという事実は、ウェルネスウェーブが一部の健康志向の人だけでなく、幅広い層に広がりつつあることを示していると言えるでしょう。
個人の意思と「環境づくり」の両輪で進む体重管理
今回の「体重管理年」イニシアチブが重視しているのは、個人の努力だけでなく、それを支える環境づくりです。体重管理クリニックの拡充や健康リテラシー向上を通じて、人々が無理なく健康的な選択をしやすい社会を目指していると考えられます。
これは、体重の問題を「自己管理の失敗」として個人の責任にのみ帰するのではなく、社会全体で支えるべき課題として捉える発想でもあります。日々の食事や移動手段、働き方など、生活のさまざまな場面で健康的な選択肢が自然と選びやすくなるような仕組みづくりが求められていると言えるでしょう。
日本の私たちにとっての示唆
中国で進むウェルネスウェーブと体重管理政策は、日本に住む私たちにとっても決して他人事ではありません。座りがちな生活や食の多様化が進むなかで、体重や健康をどう維持していくかは共通のテーマです。
中国の取り組みは、国として数値目標や計画を掲げるだけでなく、SNSでの共有や身近な成功事例を通じて、人々の意識と行動を少しずつ変えていこうとする試みでもあります。4カ月で28キロもの減量を達成した高利龍さんのストーリーは、その象徴的な一例だと言えるでしょう。
国際ニュースを日本語で追うことは、他国の政策や社会の動きから、自分たちの暮らしや将来を考えるヒントを得ることにもつながります。中国で広がるウェルネスウェーブをきっかけに、私たち自身の「健康との付き合い方」をあらためて見直してみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








