中国とマレーシア、「ゴールデン50年」へ デジタル・AIで協力強化
中国の李強首相はマレーシアのアンワル・イブラヒム首相とクアラルンプールで会談し、相互尊重と信頼、平等互恵を原則に、中国とマレーシアの関係で新たな「ゴールデン50年」を切り開いていく考えを示しました。デジタル経済やグリーン経済、人工知能(AI)など最先端分野での協力を軸に、通商や人的交流を大きく拡大していく構想です。
新たな「ゴールデン50年」を掲げた首脳会談
会談は月曜日、マレーシアの首都クアラルンプールで行われました。李首相は、中国はマレーシアと共にさまざまな分野で交流と協力を一段と深め、「ゴールデン50年」と呼ぶ新たな段階に二国間関係を引き上げたいと強調しました。
この「ゴールデン50年」は、
- 相互尊重と信頼
- 平等と互恵
- ウィンウィンの成果
といった原則に基づいて、中国とマレーシアが長期的に協力し、双方の利益を高めていくビジョンとして位置づけられています。李首相は、両国は「共同の未来を分かち合う共同体」を築き、その経済的な成長エンジンをさらに強めていくべきだと述べました。
デジタル・グリーン・AIで経済協力を拡大
国際ニュースとして注目されるのが、経済協力の中身です。李首相は、中国とマレーシアは貿易と投資の協力を一段と拡大すべきだとし、特に次のような「最先端分野」に焦点を当てると述べました。
- デジタル経済
- グリーン経済(環境に配慮した経済活動)
- 人工知能(AI)
あわせて、両国の製造業や物流を支える「生産・供給・価値」の各チェーンを一体的に発展させることも提案しました。サプライチェーン(供給網)全体を通じて連携を深めることで、地域全体の安定と競争力を高める狙いがあります。
その具体例として、李首相は次のような大型プロジェクトに言及しました。
- 「Two Countries, Two Parks」構想:両国に産業パーク(工業団地)を整備し、企業進出や投資を相互に促進する計画
- 東海岸鉄道リンク(East Coast Rail Link):マレーシア東海岸地域を結ぶ鉄道プロジェクト
これらのプロジェクトを着実に前に進めることで、中国とマレーシアの経済連携の「エンジン」を強化していく考えです。
ビザ免除と文化・教育交流で人と人をつなぐ
経済だけでなく、「人の往来」をどう増やすかも今回の会談の大きなテーマでした。李首相は、中国はマレーシアと共に、相互のビザ免除協定をしっかり実行に移していく用意があると表明しました。
さらに、次のような分野での交流と協力を深めることで、両国の人々の心のつながりを強めていくとしています。
- 文化交流
- 教育協力
- 医療・保健分野での連携
- スポーツ交流
観光や留学、スポーツイベントなどを通じて人と人とが直接触れ合うことで、中国とマレーシアの「共同の未来を分かち合う共同体」づくりを支える土台を広げていく狙いです。
一国主義と保護主義の高まりにどう向き合うか
李首相は、世界では一国主義や保護主義が台頭していると指摘しました。そのうえで、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、湾岸協力会議(GCC)加盟国は、経済のグローバル化の「参加者」であり「受益者」でもあると位置づけました。
だからこそ、これらの国・地域は次のような原則を守るべきだと訴えています。
- 開かれた地域主義:排他的ではなく、他地域とも連携できる開かれた枠組み
- 真の多国間主義:多国間のルールや国際機関を重視する姿勢
李首相は、近く開催が予定されているASEAN・中国・GCCサミットが、こうした考えを具体化する重要な機会になると強調しました。
ASEAN・中国・GCCサミットへの期待
マレーシアは現在、ASEANの議長国であり、ASEAN・中国・GCCサミットの開催国でもあります。李首相は、中国はマレーシアと緊密に連携し、このサミットを次のような場にしたいと述べました。
- 三者間の経済協力を前進させる場
- 「グローバルな開発パートナーシップ」のモデルを示す場
- 自由貿易と多角的な貿易体制を守る意思を示す場
- 世界的な課題に協調して対応し、不安定な国際情勢に安定と確実性、前向きなエネルギーを注ぎ込む場
中国とマレーシアは、この新たな三者協力の枠組みを通じて、アジアと湾岸地域の経済連携を一段と強めたい考えです。
マレーシア側:信頼できる隣国としての中国
一方のマレーシア側も、中国との関係を一層強化する姿勢を明確にしています。アンワル首相は、中国はマレーシアにとって「良き隣人」であり、「信頼できるパートナー」だと述べました。
そのうえで、マレーシアは中国と手を携え、
- 貿易・投資協力の継続的な拡大
- 「Two Countries, Twin Parks」や東海岸鉄道リンクといった旗艦プロジェクトの規模拡大
- 新エネルギー、金融、天然資源、AIなどの分野での協力拡大
に取り組む用意があると述べました。また、マレーシアは多国間主義を強く支持しており、中国の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への参加を支持すると表明しました。
アンワル首相は、初のASEAN・中国・GCCサミットが実りある成果を上げられるよう、中国と協力していきたいとしています。
日本の読者にとっての意味合い
今回の中国・マレーシア首脳会談は、二国間関係のニュースであると同時に、アジア全体の構図を考えるうえでも見逃せない動きです。特に次の3つの点は、日本の読者にとっても重要な論点になりそうです。
- サプライチェーンの再編とデジタル化
生産・供給・価値チェーンの一体的な発展やデジタル経済の強化は、アジアの貿易・投資の流れに影響を与え得ます。日本企業を含む域内のプレーヤーにとっても、新たな協力や競争の機会となる可能性があります。 - 人的交流とビザ免除の広がり
ビザ免除や文化・教育交流の拡大は、人の移動や観光、留学の流れを変えていきます。東南アジアの国々が相互往来を活発化させることで、地域内のつながりが一段と密になることが予想されます。 - アジアと湾岸地域をつなぐ新たな枠組み
ASEAN・中国・GCCサミットという新たな対話の場は、アジアと湾岸地域を結ぶ経済・エネルギー協力の枠組みとして注目されます。自由貿易や多国間主義をどう守るかという観点からも、今後の動向を追う価値があります。
中国とマレーシアが掲げる「ゴールデン50年」が、アジアと世界のどのような変化につながっていくのか。今回の会談は、その長いストーリーの序章といえるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








