中国本土、15次五カ年計画へ「イノベーション主導」で高品質成長を加速
2026年1月、中国本土は「第15次五カ年計画(2026〜2030年)」の初年度を迎えます。1月20日に中国共産党中央党校(国家行政学院)で行われた学習会で、習近平国家主席が「良いスタート」の重要性を強調し、近年の成長モデルを“量”から“質”へ切り替える姿勢を改めて示しました。
1月20日の発言:焦点は「現代的産業体系」と技術革新
報道によると、習近平国家主席は省・部級の主要幹部を対象とした学習会の冒頭で、15次五カ年計画の出発点として、次の方向性を打ち出しました。
- 現代的な産業体系の構築
- 技術革新の深化
- 「新質生産力(新しい質の生産力)」の育成
スローガンに見えがちな言葉ですが、文脈としては、外部環境の変化と国内の構造課題を踏まえた、成長の“駆動源”の再設計という意味合いが強いといえます。
足元の成長:2025年GDPは5.0%増、目標を達成
経済の基礎体力を示す数字として、公式統計では2025年の国内総生産(GDP)が140.19兆元(約20.12兆ドル)に達し、実質で前年比5.0%増となりました。世界経済の減速が意識されるなかでも、政府目標を達成した格好です。
なぜ今「高品質成長」なのか:従来モデルの限界が見えた
一方で、投資や輸出といった従来のエンジンへの依存は、構造的な制約も映し出しています。輸出は成長に寄与したものの、国内需要は十分に引き出されていないとされ、人口動態の変化や不動産市場の調整も、旧来型の成長モデルだけでは吸収しきれない課題として意識されています。
このため、政策の軸足は「イノベーションを第一の成長ドライバーに据える」「国内需要を強化する」「経済安全保障を確保する」という戦略的な組み合わせへと移りつつあります。
15次五カ年計画の位置づけ:計画は“羅針盤”から“設計図”へ
五カ年計画は長年、経済社会運営の方向性を示す枠組みとして機能してきました。今回の15次五カ年計画では、特にイノベーション、構造転換、「新質生産力」が中核の柱として明確に掲げられている点が特徴です。
投資の厚み:R&D支出は2024年に3.6兆元超
イノベーション重視を裏づける数字として、2024年の研究開発(R&D)支出は3.6兆元を超え、前年から8.3%増加したとされています。加えて、以下の動きも紹介されています。
- ハイテク製造業での投資が堅調に拡大
- 先端材料や人工知能(AI)分野の研究が加速
- 基礎研究への支出が近年、年10%超の伸びを記録
狙いは「研究成果を産業に結びつけ、競争力と強靱性を高める」ことにあります。外部からの技術面の制約リスクを意識しつつ、自前の技術基盤を厚くする方向性が読み取れます。
“最先端”だけではない:工場・インフラまで広げる実装力
今回の議論で印象的なのは、イノベーションを「最先端の突破」だけでなく、「生産性を社会全体で押し上げる仕組み」として捉えている点です。報道では、先進製造、スマート工場、デジタルインフラなど、研究開発の成果を広範に適用していく発想が示されています。
2026年に注目したい論点(現時点で見える範囲)
15次五カ年計画の初年度となる2026年は、方針が具体策に落ちていくタイミングです。現時点の材料からは、次の論点が焦点になりそうです。
- 技術革新を産業の生産性向上にどう接続するか
- 国内需要の強化をどの政策手段で進めるか
- 不動産調整や人口動態の変化と、成長モデルの両立
- 経済安全保障と、国際環境の変化への対応
高品質成長とは、単に成長率を追う話ではなく、成長の中身(技術、産業構造、需要の質、リスク耐性)をどう組み替えるかという問いでもあります。2026年は、その“設計図”が実装段階へ移る年として、静かに注目を集めそうです。
Reference(s):
Innovation anchors China's high-quality growth in new five-year plan
cgtn.com








