中国とEU、中国製EV関税巡り価格約束で集中的協議
中国と欧州連合(EU)が、中国製電気自動車(EV)に対するEUの関税措置を巡り、価格約束の具体的な内容について集中的な協議を続けています。中国は世界貿易機関(WTO)への提訴にも踏み切っており、国際通商とEV産業の今後を占う重要な局面となっています。
何が起きているのか
中国商務省の何勇乾(He Yongqian)報道官は、木曜日の記者会見で、中国とEUが中国製EVを対象とした価格約束について「実務的でバランスの取れた原則」に基づき、詳細を巡る集中的な交渉を行っていると明らかにしました。
この協議は、EUが中国製EVに対して反補助金措置として相殺関税を課す決定を行ったことを受けたものです。EUは、最大で35.3%の相殺関税を今後5年間適用すると発表しており、一方で中国側との協議を継続し、価格約束による解決を模索する姿勢も示しています。
これまでの経緯
10月25日:閣僚レベルで「対話による解決」を確認
10月25日には、中国の王文涛商務相と、欧州委員会のヴァルディス・ドンブロフスキス副委員長(通商担当)がビデオ会談を行いました。
- 両者は、意見の相違を対話を通じて解決していく政治的意思を改めて確認
- EUによる中国製EVへの反補助金調査に対して、価格約束を解決策として引き続き活用する方針を共有
10月29日:EUが最終的な相殺関税を決定
10月29日、EUは中国製EVに対し、最終的な相殺関税を決定しました。最大税率は35.3%で、期間は5年間とされています。
同時にEUは、中国との間で価格約束に関する協議を続けることも表明し、関税発動と対話の両方を進める構図となりました。
11月2日:EU技術チームが北京入り
何報道官によると、EUの技術チームは11月2日に北京に到着しました。現在、このチームと中国側の担当者が、価格約束の具体的な条件や運用方法などを巡り、集中的な実務交渉を行っているとされています。
11月4日:中国がWTOに提訴
11月4日、中国はEUによる相殺関税の最終決定について、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表しました。WTOの紛争解決手続きは時間を要する一方で、多国間ルールに基づき問題を整理する場ともなります。
「価格約束」とは何か
今回、中国とEUが協議している「価格約束」とは、貿易紛争の場面で用いられる解決策の一つです。一般的には、輸出側が一定の条件や価格水準を守ることを約束し、その見返りとして輸入側が関税などの措置を緩和したり見直したりする枠組みを指します。
王文涛商務相とドンブロフスキス欧州委員会副委員長は、この価格約束を、中国製EVに対するEUの反補助金案件の「解決手段」と位置づけており、現在の集中的な協議もその延長線上にあります。
なぜ今回の協議が重要なのか
中国製EVを巡る今回の動きは、単なる関税の話にとどまりません。国際ニュースとしても、次のような点で注目されています。
- EV市場とグリーン移行への影響:中国製EVは、価格と技術の両面で存在感を高めており、EUの脱炭素戦略や消費者の選択肢にも関わります。
- 通商摩擦の管理:相殺関税の長期化は、企業の投資判断やサプライチェーンに影響し得るため、対話型の解決がどこまで機能するかが試されています。
- 多国間ルールの行方:中国のWTO提訴により、今回の案件はWTOルールの下で検証される可能性があり、今後の通商紛争の前例になる可能性もあります。
今後の焦点はどこか
現時点で、価格約束の最終合意や関税の具体的な見直しについては明らかになっていませんが、いくつかのポイントが今後の焦点となりそうです。
- 価格約束の中身:どのような価格水準や条件が設定されるのか、中国側とEU側の折り合いのつけ方が注目されます。
- 関税措置との関係:価格約束が合意に至った場合、EUの相殺関税がどのように調整されるのかが重要です。
- 企業・消費者への波及:EVメーカーの戦略変更や、消費者価格への影響がどの程度生じるのかは、今後の実務運用次第です。
中国とEUは、10月の閣僚級対話で「対話による解決」の方針を確認しており、現在もその枠組みの中で集中的な協議を続けています。EVと通商の交差点で進むこの交渉が、どのような落としどころを見いだすのか、今後も注視が必要です。
Reference(s):
China in 'intensive' consultations with EU on EV price commitments
cgtn.com








