中国農業のデジタル化を加速 シンジェンタが第7回CIIEで示した戦略 video poster
第7回中国国際輸入博覧会(CIIE)で、「新質生産力」が大きなテーマとなるなか、中国農業のデジタル化を進めるシンジェンタ・グループ(Syngenta Group)の戦略が注目を集めています。
第7回CIIEのキーワードは「新質生産力」
2025年に開催された第7回中国国際輸入博覧会(CIIE)では、新しい技術やビジネスモデルを通じて産業競争力を高める「新質生産力(new quality productive forces)」が重要な焦点になりました。デジタル技術やグリーン技術を活用した成長の方向性が、中国でも明確に打ち出されています。
その中で、農業分野を代表する企業のひとつとして存在感を見せたのが、世界的なアグリテック企業であるシンジェンタ・グループです。同社は作物保護(農薬)や種子を専門領域とし、科学に基づくソリューションを強みとしています。
デジタル農業で世界の農家を支えるシンジェンタ
シンジェンタは今回のCIIEで、デジタル農業に関する最新の取り組みを紹介しました。展示されたイノベーションは、世界中の農家に対して知能的なサポートを提供することを目指したものです。
デジタル農業とは、圃場(ほじょう)の状況や気象、病害虫リスクなどをデータとして可視化し、その情報に基づいて栽培や防除のタイミングを最適化するアプローチです。こうした技術は、収量の安定化や資材の無駄を減らすことにつながるとされ、農家の経営判断をより精密にするための基盤になります。
「中国の農業現代化には大きな機会」スー・フー氏
CGTNの徐毅(Xu Yi)記者と対談した、シンジェンタ・グループ中国の総裁スー・フー(Su Fu)氏は、中国農業市場の潜在力に強い期待を示しました。スー氏は、中国が進める農業の現代化・高度化の流れが、同社にとって「広大な市場」と「大きな機会」を生み出していると強調しました。
中国では、食料の安定供給と環境負荷の低減を両立させることが重要なテーマになっています。スー氏の見方は、デジタル技術と高性能な種子、作物保護製品を組み合わせることで、こうした課題に対応しつつ生産性を高める余地が大きい、というものです。シンジェンタは、その変革の流れを捉え、中国農業市場に戦略的に取り組もうとしています。
中国農業の動きが世界に示すシグナル
中国の農業市場は規模が大きく、ここでの技術導入やビジネスモデルの変化は、世界の農業にも波及しやすいと言えます。シンジェンタのようなグローバル企業が中国でデジタル農業モデルを磨くことは、将来的に他地域での展開や、国際的なスタンダードづくりにもつながる可能性があります。
一方で、農業のデジタル化が進むほど、データの扱い方や農家の負担、地域ごとの多様なニーズにどう向き合うかといった課題も浮かび上がります。「新質生産力」を掲げる今回のCIIEは、技術そのものだけでなく、「誰のためのイノベーションなのか」を問い直す場にもなっていると考えられます。
日本の読者への示唆:アジアの農業とデジタル化
日本でも、スマート農業や精密農業への関心が高まっています。中国で展開されるシンジェンタのデジタル農業の取り組みは、アジアの一員である日本にとっても、次のような示唆を与えます。
- 巨大市場で検証された農業デジタル技術やサービスモデルが、アジア各地に広がる可能性
- 農家が実際に使いこなせるインターフェースやサポート体制の重要性
- 環境配慮と収益性を同時に追求する「新質生産力」の考え方が共有されつつあること
第7回CIIEでのシンジェンタの発信は、中国農業の変化を読み解く鍵であると同時に、アジア全体の食と農の未来を考えるためのヒントにもなっています。中国農業市場で進むデジタル化とイノベーションの動きは、これからの国際ニュースとして、引き続き注視していく価値がありそうです。
Reference(s):
Syngenta accelerating innovation in China's agricultural market
cgtn.com








