BRICSカザン会合とカザン宣言 多極的な世界の制度づくり
ロシアの都市カザンで開かれたBRICS会合が閉幕し、国際ニュースの世界ではその意味合いが引き続き議論されています。30を超える国が参加し、現代のグローバル課題に関する立場を134項目にまとめた「カザン宣言」が採択されました。本稿では、この出来事を手がかりに、多極的な世界における制度づくりの動きを読み解きます。
カザンで開かれたBRICS会合とは
BRICSは、新興国を中心とした協力の枠組みです。最近カザンで開かれた会合には、加盟国に加えて30を超える国が参加し、この枠組みへの関心の高さがうかがえます。会合の成果としてまとめられたカザン宣言は、今後の協力の方向性を示す重要な文書となりました。
134項目のカザン宣言が示したもの
カザン宣言は、現代のグローバル課題をめぐる包括的な立場を整理したものとされています。134項目というボリュームは、一つ一つの合意を積み上げていくことで、参加国どうしの信頼や共通認識を少しずつ育てていく狙いを示しているとも言えます。
文書化された合意は、単なる声明ではなく、新しい国際秩序の制度を形づくる土台になります。具体的なプロジェクトや協力の枠組みは、その後に続く交渉や会合の中で少しずつ設計されていきます。
西側主要メディアの3つの反応パターン
今回のBRICS会合については、西側の主要メディアの受け止め方も話題になりました。一部の報道は、次のような流れでトーンを変えていったと指摘されています。
- 当初は会合そのものをほとんど取り上げず、存在感を薄く見せようとした。
- その後、「プーチン氏のためのイベント」と位置づけ、国際的な重みが小さい印象を与えようとした。
- しかし30を超える国が参加した事実が明らかになると、今度はBRICSや今回の成果そのものを過小評価する論調へとシフトした。
こうした報道姿勢の背景には、既存の国際秩序を担ってきた側から見たときに、新興国中心の枠組みの台頭をどのように理解し、伝えるかという迷いがあるのかもしれません。同時に、情報を受け取る私たちにとっては、ニュースの書かれ方そのものを意識的に読み解く必要性も浮かび上がります。
多極的な世界と「BRIC by BRIC」の制度づくり
今回のカザン会合は、多極的な世界が着実に発展していることの表れだとする見方があります。特定の一つの大国ではなく、複数の地域や国が、それぞれの経験や優先課題を持ち寄りながら、国際ルールづくりに参加していく流れです。
英語では、レンガを一つずつ積み上げることを「brick by brick」と表現します。BRICSの取り組みを、こうした地道な制度づくりになぞらえて「BRIC by BRIC」と表現することもできます。派手さはなくても、会合や宣言という形で合意を積み重ねていくこと自体が、新しい国際秩序の土台を築いていると言えるでしょう。
こうした動きには、少なくとも四つの重要な側面があると指摘されていますが、本稿ではそのうち制度づくりという観点に焦点を当てています。制度とは、ルールや手続き、会合の場など、国際社会の協力を支える枠組みのことです。
なぜ制度が重視されるのか
個々の国の利害が異なるなかで、長期的な協力関係を築くには、共通のルールや定期的な対話の場が欠かせません。宣言文や合意文書は、そうしたルールづくりの第一歩であり、後に続く交渉の基準として機能します。
特に、新興国やいわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々にとっては、自らの優先課題や価値観を国際的な文書に反映させることが、自国の声を可視化する重要な手段になります。BRICSのような枠組みは、そのための一つの場と位置づけることができます。
合意の積み重ねがもたらすもの
制度づくりの積み重ねは、次のような効果をもたらすと考えられます。
- 国際ルールの予見可能性が高まり、参加国は中長期的な計画を立てやすくなる。
- 新興国や途上国の優先課題が、国際議論の中でより明確に位置づけられる。
- 異なる歴史や価値観を持つ国どうしが、対立だけでなく協力の選択肢も持てるようになる。
日本の読者へのヒント:国際ニュースをどう読むか
日本から国際ニュースを追う私たちにとって、BRICS会合やカザン宣言は遠い出来事に見えるかもしれません。しかし、多極的な世界の制度づくりがどのように進んでいるかを知ることは、日本の将来やアジアの行方を考えるうえでも無関係ではありません。
ニュースを読む際、次の三つの視点を意識してみると、情報の見え方が変わってきます。
- どの国・地域の立場から語られている記事かを意識する。
- 取り上げられていない当事者、今回で言えば参加国側の視点がないか想像してみる。
- 一度きりのイベントではなく、宣言や会合が積み重なるプロセスとして捉える。
2025年12月現在、世界は依然として不確実性の高い時代にあります。そのなかで、BRICSのような枠組みがBRIC by BRIC、一つひとつ制度を積み上げていく動きは、静かですが無視できない変化と言えます。国際ニュースを通じて、その変化の輪郭を丁寧に追いかけていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








