APEC2024リマ会合:アジア太平洋の繁栄と「開放」のゆくえ video poster
2024年にペルーの首都リマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、アジア太平洋地域の経済の将来像と「どれだけ開かれた協力体制を維持できるか」が、あらためて問われました。国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、このテーマは今後の暮らしやビジネスに直結する重要な論点です。
APEC2024リマ会合とは何が議論されたのか
APECは、アジア太平洋の21の加盟エコノミーが参加する経済協力の枠組みです。2024年の首脳会合はペルーのリマで開かれ、各エコノミーのリーダーたちが「地域の経済の未来」をテーマに議論を重ねました。
とくに注目されたのは、これまでの成功とこれからの方向性をどう結びつけるかという点です。1989年から2022年までのあいだに、APEC域内の貿易額は3兆ドルから30兆ドルへと約10倍に拡大しました。この数字は、アジア太平洋が世界の成長エンジンとして機能してきたことを物語っています。
3兆ドルから30兆ドルへ:APEC域内貿易の意味
1989年から2022年にかけて、APEC域内の貿易は3兆ドルから30兆ドルへと大きく伸びました。これは単なる「量的な拡大」以上の意味を持ちます。
- アジア太平洋が、世界経済の中心的な市場・生産拠点となってきたこと
- エコノミー同士の相互依存が深まり、一つの地域としてのまとまりが強まっていること
- 貿易の拡大が、域内の雇用や技術発展、生活水準の向上につながってきたこと
こうした背景があるからこそ、APEC2024では「これまでの開放的な流れを維持できるのか」「協力の枠組みをどうアップデートするのか」が、重いテーマとして浮かび上がりました。
なぜ今、「開放」と「協力」がキーワードなのか
APECメンバーは、「開かれた、協調的な未来へのコミットメントを再確認すべきだ」とされています。このメッセージの裏には、いくつかの問題意識があります。
閉じる力と開く力のせめぎ合い
ここ数年、世界各地で貿易や投資を制限する動きが強まりました。安全保障や産業政策を理由とした規制が増え、「自国優先」の色合いが濃くなっていることも事実です。
一方で、アジア太平洋の繁栄は、まさに「開放性」に支えられてきました。関税の引き下げや、ルールの調和、ヒト・モノ・サービスの行き来の拡大が、域内貿易30兆ドルという規模を生み出してきたからです。
APEC2024で問われたのは、こうした保護主義的な流れにどう向き合い、「開かれた地域経済」という原点をどう守り、進化させるかという点だといえます。
デジタルとグリーン:新しい協力のフロンティア
アジア太平洋の経済を語るうえで、デジタル分野や環境・エネルギーの課題を避けて通ることはできません。オンラインサービス、電子商取引(EC)、データ流通など、デジタル経済は既に日常のインフラになっています。
同時に、気候変動への対応や、エネルギー転換(グリーントランジション)も急務になっています。こうした新しい分野は、一つのエコノミーだけでは対応しきれず、ルール作りや技術協力が不可欠です。
「開放」と「協力」は、単なるスローガンではなく、こうした新しい領域で実務的な成果を出すための前提条件でもあります。
日本にとってのAPEC2024の意味
APECは日本にとっても重要な国際ニュースの舞台です。日本の主要な貿易相手の多くがアジア太平洋に位置し、日本企業のサプライチェーン(部品や素材の調達網)も域内に広く展開しています。
開かれたアジア太平洋が維持されるかどうかは、次のような点で日本の私たちの生活に影響します。
- 物価や品揃え:貿易の停滞は、身近な製品の価格や選択肢に直結します。
- 雇用と投資:域内の成長が続けば、日本からの投資や現地での雇用も増えやすくなります。
- スタートアップや中小企業:共通ルールが整えば、小さな企業でもアジア太平洋市場にアクセスしやすくなります。
こうした観点から見ると、日本の読者にとってAPEC2024リマ会合は、「遠い国の首脳会議」ではなく、「自分の給料、物価、キャリア」にも間接的につながるテーマだと捉えることができます。
APECメンバーに求められる「コミットメント」とは
APEC2024をめぐるメッセージのなかで強調されているのが、「APECメンバーは、開かれた協調的な未来へのコミットメントを再確認すべきだ」という点です。
ここでいうコミットメントとは、例えば次のような方向性を意味します。
- 安易な貿易・投資制限に流されず、対話を通じて課題を解決する姿勢
- デジタルや環境など新しい分野で、共通ルールづくりに主体的に関わること
- 域内の中小企業や若者、弱い立場にある人々にも成長の果実が届くようにする工夫
アジア太平洋の繁栄は、これまで「開いた扉」の上に築かれてきました。その扉を今後も開き続けるのか、それとも少しずつ閉じてしまうのか。APEC2024リマ会合で投げかけられた問いは、2025年を生きる私たちにとっても、引き続き重い意味を持ちます。
ニュースを追うとき、「どの国が得をしたか・損をしたか」という見方だけでなく、「地域全体としてどんな未来を選ぼうとしているのか」という視点を持つと、APECの議論がぐっと立体的に見えてきます。あなたなら、アジア太平洋の未来にどんな「開放」と「協力」を望むでしょうか。
Reference(s):
APEC2024: The future of Asia-Pacific prosperity lies in openness
cgtn.com







