2024世界インターネット会議で進む中国のデジタル貿易革命 video poster
2024年に開かれた世界インターネット会議(World Internet Conference、WIC)では、中国系のデジタルプラットフォームが「デジタル貿易革命」の中心として存在感を示しました。国際ニュースとしても、デジタル経済と国際協力の今を読み解くうえで、2025年の今なお重要な出来事となっています。
2024年・世界インターネット会議で見えた中国の役割
世界インターネット会議は、各国・各地域の政府関係者、企業、専門家が集まり、インターネットとデジタル経済の未来を議論する国際フォーラムです。2024年の会議では、中国が「グローバルなデジタル経済発展の主要な推進役」としての姿勢を明確に打ち出しました。
中国は、国際的な連携やパートナーシップを強化しながら、「共有されるデジタル未来(shared digital future)」の実現をめざす方針を示しました。単に自国の市場拡大を目指すのではなく、各国・各地域が参加できる形でデジタル経済を育てていくというメッセージです。
中国を拠点とする国際メディアCGTNの記者、Olivia He氏は、現地から中国の取り組みを取材し、世界のデジタル統合(global digital integration)と包摂的なデジタル・エコシステムづくりへの強いコミットメントが示されたと伝えました。
中国系プラットフォームがけん引するデジタル貿易の変化
今回の世界インターネット会議のテーマの一つが、「中国系プラットフォームがどうデジタル貿易のルールと現場を変えているか」です。オンライン市場、決済、物流、クラウドサービスなど、複数のサービスを束ねるプラットフォームは、世界の取引の在り方そのものを塗り替えつつあります。
こうしたプラットフォームの特徴は、次のような点にあります。
- 中小企業が世界市場にアクセスしやすくなる:中小の事業者でも、デジタルプラットフォームを通じて海外の顧客に商品やサービスを届けやすくなっています。
- 決済から物流まで一体化:オンライン決済、通貨換算、配送管理などが一つの仕組みの中で完結し、国境を越える取引のハードルが下がっています。
- データに基づく高度なマッチング:利用者のニーズを分析し、適切な商品・サービスを世界中から提案することで、新たな需要を掘り起こしています。
2024年の会議では、こうした中国系プラットフォームがデジタル貿易の「インフラ」として機能しつつある姿が浮き彫りになりました。物理的なインフラだけでなく、データやソフトウェアのレベルで世界の取引を支える存在になりつつある、という視点です。
高品質なデジタル接続で広がる経済成長の余地
会議のもう一つのキーワードが、「高品質なデジタル接続(high-quality digital connectivity)」です。単にインターネットに接続できるだけではなく、高速で安定した通信や、安全性に配慮したネットワークが、経済成長の基盤として重要だと位置づけられました。
高品質なデジタル接続が進むと、次のような変化が期待されます。
- サービス産業の国際展開:オンライン教育、ヘルスケア、エンターテインメントなど、サービス産業が国境を越えて展開しやすくなります。
- 地方や新興市場の参加:大都市だけでなく、地方や新興国・地域からも世界市場への参加が可能になり、成長の裾野が広がります。
- イノベーションの連鎖:クラウドやAI(人工知能)などの基盤へのアクセスが容易になり、新しいビジネスモデルが生まれやすくなります。
世界インターネット会議は、こうしたデジタル接続の強化が、世界経済全体の成長機会を広げると強調しました。中国系プラットフォームは、ネットワークやクラウド基盤の整備を通じて、この流れを後押ししています。
「共有のデジタル未来」に向けた国際協力
2024年の会議で中国が掲げたキーワードの一つが、「共有されるデジタル未来」です。これは、一部の国や企業だけが利益を得るのではなく、多くの国・地域、そして人々がデジタル経済のメリットを共有できる状態を目指すという考え方です。
そのために重視されたのが、次のような国際協力です。
- デジタルインフラ整備での協力:通信ネットワークやデータセンターなどの整備を、各国・各地域と協力しながら進める取り組みです。
- 共通ルールや標準づくり:デジタル貿易のルールや技術標準を話し合い、相互運用性(互いにつながりやすい設計)を高めることが、テーマの一つになりました。
- 人材育成と技術交流:デジタルスキルを持つ人材を育てるための研修、大学・研究機関・企業間の交流も重要視されています。
Olivia He氏の報告でも、中国がこうした国際協力を通じて、より包摂的な(誰も取り残さない)デジタル経済を目指している姿が紹介されました。
包摂的なデジタル・エコシステムをどう実現するか
会議では、「インクルーシブ(包摂的)なデジタル・エコシステム」という言葉も頻繁に取り上げられました。これは、デジタル化による恩恵が一部の先進国や大企業だけに偏らないようにするための考え方です。
その背景には、次のような問題意識があります。
- デジタル格差の是正:インターネットへのアクセスやデジタルスキルの有無による格差を縮小しようという視点です。
- 中小企業・個人事業主の参加:大企業だけでなく、中小企業や個人事業主もデジタルプラットフォームを活用できる環境づくりが重要になります。
- 安全・安心への配慮:利便性と同時に、個人情報の保護やサイバーセキュリティへの配慮も欠かせません。
世界インターネット会議で示されたのは、デジタル技術を「持つ側」と「持たざる側」のギャップをどう埋めるかという問いに、中国が積極的に取り組もうとしている姿勢でした。
2025年の視点:日本とアジアにとっての意味
2025年の今、2024年の世界インターネット会議で示された流れは、日本やアジアの企業・個人にとっても他人事ではありません。特に、以下の3つの点は、日本の読者にとっても意識しておきたいポイントです。
- ビジネス機会としてのデジタル貿易:中国系プラットフォームを含むデジタル貿易の枠組みをどう活用するかは、日本企業にとっても重要な戦略課題になっています。
- 国際ルール形成への関心:デジタル貿易やデータ流通のルールづくりは、今後の国際経済秩序を左右します。日本としても、自国の立場を踏まえつつ、議論の動きを丁寧に追う必要があります。
- 個人レベルでのリテラシー向上:利用者として、どのようなデジタルサービスに接続し、どのようにデータを扱うのか。個人のデジタルリテラシーもますます重要になります。
newstomo.comの読者にとって、2024年の世界インターネット会議は、「中国が何をしているのか」を知る場であると同時に、「世界のデジタル経済の方向性」を考えるヒントを与えてくれる出来事と言えます。2025年以降も、デジタル貿易と国際協力の動きは、私たちの日常とビジネスに静かに、しかし着実に影響を与えていきそうです。
Reference(s):
Chinese platforms drive digital trade revolution at 2024 WIC
cgtn.com








