米司法省、GoogleにChrome売却要求 検索独占めぐり前例なき是正案
米司法省が、Googleに対してChromeブラウザの売却や検索データの共有など、インターネット検索の独占を是正するための抜本的な措置を求めていることが分かりました。実現すれば、今後10年のデジタル市場のルールを大きく変えかねない動きです。
何が起きているのか:Googleの「検索独占」に本格メス
米検察当局は、水曜日にワシントンの連邦地裁に提出した文書で、Googleがインターネット検索と関連広告で違法な独占状態を維持してきたと主張し、その是正のために厳しい条件を提示しました。
裁判所はすでに、Googleがオンライン検索と関連広告で違法な独占を維持してきたと判断しており、今回の文書は「その独占をどう終わらせるか」を具体化したものです。
文書によると、Googleはオンライン検索市場のおよそ9割を握っているとされ、その支配力が競合の参入を妨げていると指摘されています。米司法省は、こうした状況を改めるために、次のような措置を求めています。
- Chromeブラウザ事業の売却
- 検索結果や検索データを競合他社と共有すること
- 少なくとも10年間、同じワシントン連邦地裁による厳格な監視を受けること
- 5年間はブラウザ市場に再参入しないこと
- 他の是正措置で競争が回復しない場合、AndroidモバイルOSの売却も選択肢とすること
- 検索サービスの競合や、クエリベースの人工知能(AI)製品、広告技術企業への買収や投資の禁止
米司法省は文書の中で「Googleの違法な行為によって、競合他社は重要な配信経路だけでなく、新しい革新的な形で市場参入を可能にしたかもしれない配信パートナーをも奪われてきた」と強い言葉で批判しています。
焦点は「デフォルト検索」契約と配信チャンネル
今回の是正案で、もう一つ大きな焦点となっているのが、いわゆる「デフォルト検索」の契約です。米司法省と複数の州は、Googleがアップルなどの端末メーカーに多額の支払いを行い、自社の検索エンジンをスマートフォンやタブレットの標準設定にしてもらう独占的な契約を結んでいると指摘しています。
当局側は、これらの契約が競合他社から「配信チャンネル」を奪い、新しい検索サービスやAIを活用した検索製品が利用者に届く機会を狭めているとみています。そのため、裁判所に対し、こうした独占的なデフォルト契約を終了させるよう求めています。
Googleは「急進的」と反発 AI競争への影響も主張
一方のGoogleは、米政府側の提案を「急進的」だと批判し、実現すれば米国の消費者や企業に不利益をもたらし、人工知能分野での米国の競争力を揺るがすと主張しています。同社は、今回の判断に対して控訴する考えも示しています。
Googleには、12月中に自ら考える是正案を裁判所に提示する機会が与えられる見通しです。政府案とGoogle案のどちらをどこまで採用するかが、今後の審理の大きな争点となります。
今後の流れ:4月審理と「政治」の不確実性
訴訟を担当するアミット・メータ連邦地裁判事は、是正措置の内容をめぐる審理を4月に予定しています。この場で、Chrome売却などの抜本案から、契約条項の見直しといった比較的穏やかな案まで、幅広い選択肢が検討されることになります。
ただし、今後の政治的な動きが訴訟の行方に影響する可能性もあります。大統領就任を控えるドナルド・トランプ氏や、次期司法省の反トラスト(独占禁止)部門トップが介入し、事件の進め方を変更する可能性があるとされています。
日本の読者にとっての意味:検索・ブラウザをめぐる「10年戦略」
Googleの検索サービスとChromeブラウザは、世界中のオンライン利用環境を支える重要なインフラとなっています。米国での規制の方向性は、他の国や地域の議論にも少なからず影響を与える可能性があります。
今回の米司法省案が通れば、検索エンジンやブラウザの世界では、
- デフォルト設定のあり方
- 利用者データの共有ルール
- 巨大プラットフォームによる買収戦略
といったテーマが、今後10年の大きな論点になりそうです。利用者の利便性とイノベーションをどう守りつつ、公正な競争環境を整えるのか。4月の審理に向け、議論はさらに激しさを増していくとみられます。
Reference(s):
cgtn.com








