北京イニシアチブとは?国際サプライチェーン協力の新たな枠組み
国際サプライチェーンの安定化に向けた新たな枠組み「北京イニシアチブ」が、北京で開かれた第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)の開幕式で火曜日に発表されました。グローバルな供給網のリスクが意識されるなか、この国際ニュースは、企業や各国政府にどんな意味を持つのでしょうか。
北京イニシアチブがめざすもの
今回公表された「北京イニシアチブ(国際的な産業・サプライチェーン協力に関する北京イニシアチブ)」は、安定的で円滑なグローバルサプライチェーンを維持することを目的としています。
文書は、産業とサプライチェーンに関する国際協力を進めるため、次の5つの分野に重点を置いています。
- グローバルな産業・サプライチェーンにおけるオープンな協力の推進
- デジタル接続の強化
- グリーンで低炭素な発展の促進
- 産業・サプライチェーン関連サービスの高度化
- ビジネスコミュニティ(企業)の独自の役割の発揮
イニシアチブは、「真の多国間主義」の実践や、貿易・投資の自由化と円滑化を掲げ、保護主義に反対する姿勢を打ち出しています。また、国際的な産業分業と協力を強化し、供給と需要の統合的な発展を図ることで、産業・サプライチェーンを安定的かつ途切れなく維持し、誰もが恩恵を受けられる包摂的な経済のグローバル化をめざすとしています。
デジタル経済とAIをどう生かすか
北京イニシアチブは、技術と産業の進歩に合わせて、「実体経済(モノの生産)とデジタル経済をよりよく統合する」ことの重要性も強調しています。新たな成長エンジンとなる「新質生産力」を育てることを掲げ、デジタル技術の移転と活用を後押しする方針を示しています。
具体的には、デジタル経済と越境電子商取引(クロスボーダーEC)の潜在力を十分に引き出すこと、そして人工知能(AI)の産業応用を積極的に探り、支援していくことが盛り込まれています。これにより、需要予測や在庫管理、国際物流の最適化など、サプライチェーン全体の効率と強靭性を高める狙いがあると見ることができます。
物流ネットワークの強化とグリーン転換
イニシアチブはまた、国際物流システムの発展を加速させるよう呼びかけています。各国政府に対し、港湾や輸送分野での協力を強め、複数の輸送手段を組み合わせる「マルチモーダル輸送ネットワーク」を拡大することを促しています。
さらに、物流のデジタル化とグリーン転換を進め、インテリジェントな物流ネットワークの構築をめざすことも打ち出しています。物流の省エネ化や低炭素化は、多くの企業にとってコスト削減と環境負荷低減を同時に進める鍵となっており、この分野を国際協力の柱に据えた点は注目されます。
CISCEというプラットフォームの役割
この北京イニシアチブが発表された第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンに特化した国家レベルの展示会としては世界初とされています。火曜日から土曜日にかけて北京で開かれ、ビジネスマッチングや投資機会を提供する総合的なプラットフォームとして位置づけられました。
今年のテーマは「Connecting the World for a Shared Future(共有された未来のために世界をつなぐ)」です。展示ブースやゾーンの構成を通じて、上流から下流まで、サプライチェーン全体の主要プロセスを一望できるように設計されているとされています。
イニシアチブは、世界のビジネスコミュニティに対し、CISCEのようなプラットフォームを活用して実務的な協力を深め、各国のあいだで共通認識と相互信頼を育むことを呼びかけています。国際ニュースとしても、企業同士の連携だけでなく、国家間の信頼構築の場としてサプライチェーン博覧会が位置づけられている点は重要です。
日本やアジアの企業にとっての意味
サプライチェーンが安全保障や地政学とも結びついて語られることが増えるなかで、北京イニシアチブは「協力」「相互利益」「包摂性」といったキーワードを前面に押し出しています。これは、日本やアジアの企業にとっても、今後のサプライチェーン戦略を考えるうえで無視できないシグナルになりそうです。
読者の皆さんが、自社や身近なビジネスに引き寄せて考えるとき、ポイントになりそうなのは次のような点です。
- 調達・生産・物流のどの部分で、国際的な協力や連携を深める余地があるか
- 自社のデジタル化・グリーン化の取り組みを、他国・他地域との協力とどう結びつけるか
- 展示会や国際会議などの場を通じて、どのように長期的な信頼関係を築いていくか
サプライチェーンが世界中で細かく分業される現在、どの国・どの地域と、どの分野で、どのようなルールにもとづいて協力していくのかという問いは、企業規模を問わず避けて通れません。北京で発表された今回のイニシアチブは、その問いについて考えるための新たな材料を提供していると言えます。
Reference(s):
CISCE: Beijing initiative on global supply chain cooperation released
cgtn.com








