米中大豆貿易の課題とチャンス 第2回CISCEで見えたサプライチェーン協力 video poster
中国は今も米国産大豆の最大級の輸入先でありながら、米中間のサプライチェーン協力には依然として課題が残っています。2025年12月現在、北京で開催中の第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)では、その課題と新たな協力の可能性が改めて浮かび上がっています。
米中大豆貿易はいまも世界の要
中国は米国産大豆の主要な輸入先であり、この協力関係は世界の食料市場にとって重要な軸となっています。大豆は食用油や飼料の原料として使われ、食料安全保障や畜産業の安定に直結するため、米中の大豆貿易は国際ニュースとしても常に注目されています。
しかし、両国が互いに大きく依存している一方で、サプライチェーン協力をどのように強化し、リスクに備えるのかという点では、まだ多くの検討課題が残されています。
北京・第2回CISCEで交わされた対話
北京で開かれている第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)では、農業や食品を含む幅広い分野のサプライチェーンがテーマになっています。この会場で、中国国際テレビ局(CGTN)のアーロン・リウ氏が、米国大豆輸出協会(USSEC)大中華圏ディレクターの張暁平(Zhang Xiaoping)氏にインタビューを行いました。
張氏は、USSECがCISCEに参加する狙いや、世界の農業サプライチェーンが直面している課題、そして米中の大豆貿易における協力のチャンスについて語りました。米中関係という大きな枠組みの中で、実務レベルの対話や協力をどう積み重ねていくかが焦点になっています。
USSECがサプライチェーン博覧会に参加する意味
USSECにとってCISCEは、単なる輸出促進の場ではなく、サプライチェーン全体を議論する国際的なプラットフォームです。張氏は、米国の大豆生産者と中国の加工業者・需要家との間で、より安定した供給関係を築くために、以下のような点が重要になると指摘しました。
- 生産から輸送、加工までの情報共有を進めること
- 品質や安全性に関する基準や期待値をすり合わせること
- 長期的な視点に立った関係構築を意識すること
世界の農業サプライチェーンが直面する主な課題
インタビューの中で張氏は、世界の農業サプライチェーンが抱える課題についても言及しました。大豆をはじめとする農産物の供給網は、次のような要因に影響を受けやすいとされています。
- 需要と供給の変動:食品や飼料の需要が急増したり減少したりすることで、価格が大きく動きやすいこと
- 物流やインフラの制約:港湾や輸送ルートの混雑、輸送コストの変動などが安定供給のリスクになること
- 政策・規制の不確実性:貿易ルールや検疫、関税などの変更が、企業の長期的な計画を難しくすること
こうしたリスクを一国だけで完全にコントロールすることはできません。そのため、輸出側と輸入側がサプライチェーン全体を見渡しながら、どこに弱点があるのかを共通認識として持つことが重要になります。
米中協力に広がるチャンス
張氏は、課題が多いからこそ、米中の大豆貿易には新しい協力の余地があると強調しました。特に次のような分野は、今後の「チャンス」として注目されます。
- 長期的な取引関係の構築:短期的な価格変動に左右されにくい、安定した契約や対話の枠組みづくり
- トレーサビリティの強化:大豆がどこでどのように生産され、どのルートで運ばれてきたかを追跡する仕組みの整備
- 品質・安全性に関する協調:検査や認証の基準をすり合わせ、双方が安心できるルールづくりを進めること
- 持続可能な農業への取り組み:環境負荷の低減や資源の効率的な利用に関する情報共有と協力
これらは、単に米国と中国の企業にとってのメリットにとどまらず、世界の消費者や他地域の需要家にとっても、価格や供給の安定という形で波及するテーマです。
日本とアジアにとっての意味
日本も大豆の多くを輸入に頼っており、米中の大豆貿易やサプライチェーンの動きは、間接的に日本の食卓にも影響を与えます。豆腐やみそ、しょうゆといった日常的な食品の原料価格にも、国際市場の変動が反映されるためです。
中国と米国が大豆を巡ってどのような協力関係を築くのかは、日本や他のアジア諸国にとっても無関係ではありません。米中のサプライチェーン協力が安定すれば、国際市場全体の予見可能性が高まり、日本企業や消費者にとってもリスク管理がしやすくなります。
サプライチェーン協力を強めるための視点
米中の大豆貿易をめぐる今後の議論を考えるうえで、押さえておきたいポイントを整理してみます。
- 対話の継続:政治や経済の環境が変化しても、企業や業界団体同士の対話を途切れさせないこと
- データと透明性:生産量、在庫、物流状況などの情報をできる限りオープンにし、予期せぬ混乱を減らすこと
- リスク分散:輸送ルートや調達先を適度に分散させ、特定のルートに過度に依存しない体制づくり
- 消費者視点:最終的には消費者が安定して食品を手にできるかどうかという視点を忘れないこと
SNSで共有したい問いかけ
米中大豆貿易とサプライチェーン協力をテーマに、読者のみなさんが周りの人と議論したり、SNSで共有したりする際に、こんな問いを投げかけてみるのはいかがでしょうか。
- 食料の安定供給と国際関係は、どのようにバランスを取るべきなのでしょうか。
- 企業や業界団体は、サプライチェーンの透明性を高めるために何ができるでしょうか。
- 日本やアジアの国々は、米中の協力をどのように自らの食料安全保障に生かせるでしょうか。
北京で開かれているCISCEでのUSSECと張暁平氏の発言は、米中大豆貿易の現状と未来を考えるうえで、世界のサプライチェーン全体を見渡す視点の重要性を改めて示していると言えます。
Reference(s):
USSEC explores challenges, opportunities in China-U.S. soybean trade
cgtn.com








