グレーターベイエリア越境金融 WMC高度化で証券会社経由の投資拡大
越境での資産運用が、グレーターベイエリアでさらに身近になりつつあります。2024年12月4日に開始されたクロスボーダー・ウェルス・マネジメント・コネクト(Cross-boundary Wealth Management Connect、以下WMC)の高度化パイロットスキームにより、中国、香港、マカオの居住者が、証券会社を通じて互いの金融商品にアクセスできるようになりました。
この高度化スキームは、グレーターベイエリアの地元投資家にとって投資のハードルを下げ、利用できる金融商品の幅を広げることを目指しています。Guosen Securitiesのチーフストラテジーアナリストであるワン・カイ氏は、中国メディアグループとのインタビューで、こうした措置が越境投資ニーズへの対応を進め、域内の金融市場のつながりを強化し、中国の金融セクターのハイレベルな対外開放を支えると語りました。
この記事の3つのポイント
- WMCの高度化パイロットスキームが2024年12月にスタートし、証券会社経由で越境金融商品が利用可能に
- 投資家はアプリのリンクから他地域の金融プラットフォームにアクセスし、ワンクリックで口座開設が可能に
- 2024年10月末までに、12万人超の個人投資家がパイロットスキームに参加し、資金流通額は950億元超に
WMC高度化パイロットスキームとは
WMCパイロットスキームは、グレーターベイエリアに住む中国、香港、マカオの居住者が、互いの地域の金融商品に投資できるようにする制度です。高度化された現在のスキームでは、従来よりも多様な商品への投資が可能になり、投資条件も緩和されています。
ワン・カイ氏によれば、こうした制度設計によって、越境での投資ニーズによりきめ細かく応えられるようになり、域内の金融市場の連結性が高まることで、グレーターベイエリア全体の金融エコシステムが強化されると期待されています。
証券会社とアプリで広がる利便性
今回の高度化で特徴的なのは、証券会社経由での利用と、デジタル技術を活用した利便性の向上です。China International Capital Corporationで国際ウェルスマネジメントを担当する投資ディレクターのイェ・ジンニ氏は、新制度について、商品ラインアップの拡大に加え、利便性が大きく向上したと評価しています。
イェ氏によると、投資家はアプリ上のリンクから異なる地域の金融プラットフォームへアクセスし、そのままワンクリックで口座開設まで完了できるため、実際に国境を越えて移動する必要がありません。越境金融商品へのアクセスが、スマートフォン一つで完結するイメージです。
- アプリのリンクから他地域の金融プラットフォームに接続
- オンラインでワンクリック口座開設
- 越境移動なしで商品選択から取引まで完了
数字で見るWMC:投資家12万人超、資金950億元
WMCパイロットスキームの広がりは、数字にも表れています。2024年10月末時点で、越境WMCパイロットスキームには12万を超える個人投資家が参加していました。
- 個人投資家数:12万人超
- そのうち、香港・マカオの投資家:5万人超
- 中国の投資家:7万人超
- 国内銀行が取り扱った越境資金取引:950億元超(約130億ドル)
これらの資金取引はいずれも、所定のルールに沿ったコンプライアンス管理のもとで実施されたと説明されています。個人投資家の参加が着実に増えていることとあわせて、制度としての運用実績が積み上がってきていることがうかがえます。
グレーターベイエリアの個人投資にとっての意味
WMC高度化スキームは、グレーターベイエリアの個人投資家にとって、選択肢の拡大と利便性の向上という二つの面で影響を与えています。中国、香港、マカオそれぞれで提供される金融商品にアクセスできることで、地域をまたいだ資産配分がしやすくなります。
同時に、アプリを通じて完結する一連の手続きは、投資の物理的なハードルを大きく下げます。証券会社や金融機関の窓口に出向き、別の地域まで移動して手続きを行う必要がなくなることで、日常生活の中での投資が現実的な選択肢になりつつあります。
- 地域ごとの商品特性を理解したうえでの分散投資がしやすくなる
- デジタル手続きにより、時間と移動コストを削減できる
- 金融市場の連結性が高まることで、地域経済全体のダイナミズムも高まる可能性がある
越境金融のこれからをどう見るか
ワン・カイ氏が指摘するように、WMCの高度化は、越境投資ニーズへの対応と金融市場の連結性強化という二つの課題に同時に応える取り組みです。950億元超という資金の流れや12万人超の投資家の参加は、こうした枠組みに対する関心の高さを示しているとも言えます。
一方で、制度が拡充されるほど、投資家側には商品ごとのリスクや通貨の違い、規制の枠組みなどを丁寧に確認する姿勢が求められます。越境金融は利便性と同時に複雑さも伴うため、仕組みを理解したうえで利用することが重要です。
グレーターベイエリアで進む越境金融の取り組みは、アジアの金融連携やデジタル金融のあり方を考えるうえでも、一つの参考事例になりそうです。導入から約1年が経過したWMC高度化スキームが、今後どのように利用の裾野を広げていくのかが注目されます。
Reference(s):
Cross-border financial products now accessible via securities firms
cgtn.com








