米半導体業界団体トップ、対中国輸出規制は不必要と指摘 video poster
米政府が2025年12月8日に中国向けの新たな半導体輸出規制を発表する中、米半導体業界団体のトップが「こうした防御的な措置は必ずしも必要ではない」と公に異議を唱え、政府に対して産業イノベーションの促進にもっと力を注ぐよう求めました。この米中テクノロジーをめぐる国際ニュースは、日本の読者にとっても無関係ではありません。
米政府が新たな半導体輸出規制を発表
2025年12月8日(月)、米国政府は中国向け半導体の輸出を対象とする新たな規制を発表しました。どの製品や企業が具体的に影響を受けるのかなど、詳細は明らかにされていませんが、中国とのテクノロジー分野での関係に新たな緊張をもたらす動きとして受け止められています。
半導体は国際的なサプライチェーンに支えられており、一国の政策変更が世界全体の市場や価格に波及しやすい分野です。そのため、対中国の輸出規制は、米中だけでなく各国の企業や投資家の関心を集めています。
業界団体トップ「防御的な措置は不必要」
こうした動きに対し、米半導体業界を代表する業界団体である米半導体工業会(Semiconductor Industry Association)の最高経営責任者、ジョン・ヌーファー氏は最近のインタビューで、今回の輸出規制のような防御的な措置は「不必要だ」との見方を示しました。
ヌーファー氏は、政府が優先すべきなのは規制の強化ではなく、半導体産業全体のイノベーションを後押しする政策だと指摘し、研究開発や生産基盤を支える取り組みにより注力するよう求めました。産業の競争力を高めることが、結果として安全保障にもつながるという考え方です。
なぜ業界は過度な規制に慎重なのか
半導体は、スマートフォンからクラウドコンピューティング、人工知能、自動車に至るまで、現代のあらゆるデジタル技術を支える基盤です。その製造には、複数の国や地域の企業が関わる長く複雑なサプライチェーンが必要になります。
このため、特定の国への輸出規制が急速に強化されると、市場の分断やコスト増、技術開発のスピード低下など、世界全体の産業に広く影響が及ぶ可能性があります。業界側が過度な規制強化に慎重な姿勢を示す背景には、こうした懸念があります。
とくに中国は、半導体の大口市場であると同時に、製造や組み立てなどでも重要な役割を担っています。中国との取引が大きく制限されれば、米企業を含む世界の半導体関連企業のビジネスモデルそのものを見直さざるを得ない可能性があります。
安全保障とイノベーションのバランスをどう取るか
各国政府が技術政策を安全保障の観点から重視する傾向は強まっています。軍事分野や重要インフラに直結する先端技術について、輸出や投資を管理しようとする動きは今後も続くとみられます。
その中で問われているのは、どこまでを安全保障上の「必要な管理」とし、どこからを産業競争力や国際協調を損なう「過度な制限」とみなすのかという線引きです。今回のヌーファー氏の発言は、その線引きに対して業界の側から問題提起をしたものだといえます。
日本やアジアへの波及も無縁ではない
米国と中国の間で半導体をめぐる緊張が高まれば、日本やアジアの企業にも影響が及ぶ可能性があります。製造装置や材料を供給する企業は、どの市場にどの技術を提供できるのかを慎重に見極める必要に迫られます。
同時に、米国、中国、アジア各地の企業が協力しながらイノベーションを進めてきた構図が変化すれば、新たなビジネスチャンスが生まれる一方で、研究開発の効率低下といったマイナス面も懸念されます。
これからの注目ポイント
今回の発表とヌーファー氏の発言を踏まえると、今後注目したいポイントは次の通りです。
- 米政府が、業界からの懸念をどこまで政策に反映させるのか
- 中国を含む各国・地域が、半導体をめぐるルールづくりでどのように対話を進めるのか
- 規制の強化が、実際にイノベーションやサプライチェーンの安定性にどのような影響を及ぼすのか
半導体をめぐる米国と中国の動きは、単なる二国間の問題にとどまらず、デジタル社会全体の方向性を左右するテーマになっています。規制とイノベーションのバランスをどのように取るのか、今後も冷静に見ていく必要があります。
Reference(s):
Chip association: Restrictive measures on Chinese tech unnecessary
cgtn.com








