中国の政府調達で外資系企業も国産扱いへ 20%価格優遇の中身
中国の政府調達ルール見直し案で、外資系企業が中国国内で生産した製品も「国産品」と同じ最大20%の価格優遇を受けられる方向が示されました。中国市場に拠点を持つ企業にとって、政府ビジネスへのアクセスを左右しかねない重要な一歩です。
外資系企業にも適用される「国産品優遇」とは
中国財政省(MOF)は、政府調達において国内製品に最大20%の価格優遇を与える方針を盛り込んだ通知を公表し、意見募集を実施しました。この通知では、中国国内で生産された製品であれば、企業の所有形態にかかわらず同じ優遇を受けられるとしています。
ポイントは次の通りです。
- 政府調達の入札で「国産品」に最大20%の価格優遇を付与
- 中国国内で生産された製品であれば、国有企業・民間企業・外資系企業を問わず対象
- 企業の資本構成ではなく、製品がどこでどのように作られたかを重視
これにより、中国国内に工場を持つ外資系企業も、条件を満たせば中国企業と同じ土俵で政府調達に参加できることになります。
20%価格優遇は何を意味するのか
価格優遇とは、政府調達の入札で国内製品を評価する際、一定の価格的な「余裕」を持たせる仕組みです。具体的な運用方法は今後の細則に委ねられますが、一般的には次のようなイメージです。
- 評価段階で、国産品の価格を一定割合低く見なして比較する
- 同水準の性能であれば、多少価格が高くても国産品を選びやすくする
今回の案では、その幅を最大20%とする方向が示されています。単なる「国内企業優遇」ではなく、「国内で生産された製品」を軸に制度設計している点が特徴です。
対象となる条件:鍵は「中国の関税領域での生産」
財政省の通知によると、優遇の対象となるためには、製品が中国の関税領域内で一貫して生産されていることが求められます。原材料の調達から最終製品の完成までの各段階が、中国国内で行われていることが条件です。
さらに、通知では次のような点も示されています。
- 製品ごとに必要な「国内部品比率」の水準を設定
- 特定の製品については、重要部品の生産や中核となる工程を中国国内で行うことを義務付け
- こうした基準は今後、産業ごとに段階的に整備していく方針
要するに、単に最終工程だけを中国で行う「名ばかり国産」ではなく、サプライチェーン全体で一定以上の国内付加価値があるかどうかが問われることになります。
工業製品が中心、農林水産物などは除外
今回の国内製品基準は、主に工業製品を対象とするとされています。一方で、次の分野は対象外とされます。
- 農業・林業・畜産業・水産業の製品
- 鉱物資源
政府調達で比重の大きい機械、電子機器、インフラ関連設備などの工業製品を中心に、国内生産を促す狙いが透けて見えます。
開放と競争条件の「見える化」
財政省は、この政策について「統一的で開かれた競争的な政府調達市場」と「市場化・法治化・国際化されたビジネス環境」の構築を目指すものだと説明しています。
具体的には、次のような効果が期待されています。
- 国内企業と外資系企業が、同じルールのもとで政府調達に参加できることを明確化
- どの程度の国内生産や部品調達が求められるのかを基準として提示
- 恣意的な判断余地を減らし、調達プロセスの予見可能性を高める
特に、中国に生産拠点を持つ外資系企業にとっては、「国内に投資すれば政府調達でも機会が広がる」というメッセージとして受け止められそうです。
背景にある「国民待遇」の方針
こうした平等な扱いの方針は、今年7月に開かれた中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で採択された決定とも軌を一にしています。
三中全会の決定では、外資系企業についても次のような分野で「国民待遇」を確保する方針が示されました。
- 生産要素(資金、人材、土地など)へのアクセス
- 各種ライセンスや認可の取得
- 技術や製品の標準策定への参加
- 政府調達への参加機会
今回の政府調達ルールの見直し案は、こうした方針を具体的な制度として落とし込む動きの一つと位置づけられます。
パブリックコメントと今後の焦点
財政省の通知によると、この新たな優遇措置については2025年1月4日まで公的な意見募集が行われました。企業や業界団体からの意見を踏まえ、細かな基準や運用ルールが調整されているとみられます。
今後の注目点としては、次のような論点が挙げられます。
- 産業ごとに設定される「国内部品比率」の水準
- 重要部品や中核工程の定義がどこまで明確になるか
- 中央と地方政府で運用に差が出ないよう、どの程度ガイドラインが整備されるか
- 外資系企業の調達参加状況が実際にどこまで拡大するか
日本を含む海外企業にとっては、中国市場戦略とサプライチェーン構築を考えるうえで、政府調達ルールの動きはこれまで以上に重要な要素になっていきます。中国の開放政策の具体化が、企業の投資判断やビジネスモデルにどのような影響を与えるのか、今後も注視する必要があります。
Reference(s):
China to give foreign companies equal treatment in govt procurement
cgtn.com








