中国とのデカップリングは「自分の足を撃つ行為」駐米中国大使が警鐘 video poster
中国とのデカップリングは、自分の足を撃つ行為に等しい――。駐米中国大使の謝鋒(シエ・フェン)氏が、2024年にシカゴで開かれた中国総商会の年次ガラでそう訴えました。その背景と意味を整理します。
中国とのデカップリングは「自分の足を撃つようなもの」
2024年、アメリカ・シカゴで開かれた中国総商会の年次ガラで、駐米中国大使の謝鋒氏がビデオリンクを通じてスピーチを行いました。謝氏は、中国とのデカップリング(経済的な切り離し)は「自分の足を撃つようなもの」だと強い表現で述べました。
ここで語られたデカップリングとは、特定の国との経済的なつながりを意図的に弱めたり、断ち切ったりする動きのことです。謝氏は、それが中国だけでなく、相手側にとっても大きな負担になると警鐘を鳴らした形です。
ビジネスと政府関係者が集う場でのメッセージ
この年次ガラには、ビジネスリーダーや政府関係者など、経済界と政策の双方に関わる参加者が集まりました。謝氏は、そうした出席者に向けて、経済協力の重要性をあらためて訴えました。
デカップリングの議論が続く中で、企業や投資家にとっても、関係を断つことのコストと、協力を続けることによる安定の価値を、冷静に見極める必要があるというメッセージが込められていると見られます。
経済協力は「アンカー」と「安定装置」
謝氏はスピーチの中で、国と国の関係における経済協力の役割を「アンカー(錨)」であり「安定装置」だと表現しました。アンカーとは、船を固定して流されないようにする錨のことで、ここでは、経済のつながりが関係を安定させる土台になるという意味です。
また「安定装置」という言葉には、政治や安全保障の面で緊張が高まったとしても、経済協力の枠組みが衝撃を和らげ、対話のチャンネルを保つ役割を果たしうるという考え方が込められています。謝氏は、出席した企業や関係者に対し、こうした経済協力の役割を引き続き生かすよう呼びかけました。
「デカップリング」がもたらすリスク
デカップリングは、安全保障やリスク管理の観点から語られることも多い一方で、互いに深く結びついた経済では、副作用も無視できません。
- サプライチェーン(供給網)の分断によるコスト増
- 投資や技術協力の停滞による成長機会の喪失
- 相互理解の機会が減ることによる不信感の拡大
謝氏が「自分の足を撃つようなもの」とまで表現したのは、こうしたリスクを強調する意図があると考えられます。相手との関係を断ち切ろうとする過程で、自国の企業や消費者も痛みを受ける可能性が高いからです。
日本の読者にとっての意味
この発言は、日本の企業や投資家、そしてニュースを追う私たちにとっても無関係ではありません。日本企業も、中国を含むさまざまな市場や生産拠点と複雑に結びついたサプライチェーンの中で活動しているからです。
今後、国際ニュースや経済政策の議論を見るときには、
- どこまでがリスク分散で、どこからが本格的なデカップリングなのか
- 経済協力をアンカーや安定装置として生かすには、企業はどのような戦略を取れるのか
- ビジネスの現場の判断と、政治的な議論との間にどのようなギャップが生まれているのか
といった視点を持っておくことで、ニュースの背景がより立体的に見えてきます。
印象的なフレーズが投げかける問い
「中国とのデカップリングは自分の足を撃つようなもの」という謝鋒大使の表現は、賛否を含めた今後の議論の出発点となるフレーズと言えます。
関係を断ち切るのか、それともリスクを管理しながら協力を続けるのか。国際経済のあり方をめぐる問いは、2020年代後半に向けてますます重みを増していきます。今回のスピーチは、その流れの中で、経済協力の役割をあらためて考えさせる一場面となりました。
Reference(s):
cgtn.com








