中国、損害保険業の高度化に向け5カ年行動計画 新分野と国際連携を強化
中国の金融監督当局が、損害保険業界の「高品質な発展」を後押しする5カ年行動計画を公表しました。知能運転や量子技術など新分野を保険でどう支えるのか、国際連携も含めて方向性が示されています。
この記事のポイント
- 今後5年間の損害保険業の発展に向けた行動計画を中国が策定
- 知能運転、低空経済、量子技術など新産業向け保険の研究・応用を強化
- 海外金融機関の参入や再保険市場での国際協力を拡大へ
- リスクの予防・処理の仕組みを多様化し、金融安定を重視
何が発表されたのか
中国の金融規制機関である国家金融監督管理総局は金曜日、今後5年間を対象に、損害保険業界の高品質な発展を目指す行動計画を発表しました。計画では、業界の改革と対外開放を一段と進めるとともに、ビジネスモデルの転換と高度化を加速させる方針が示されています。
ここでいう損害保険は、自動車や住宅、企業の財産、賠償責任など、事故や災害による損失を補償する保険を指します。中国経済の構造変化や新技術の登場に対応するため、既存商品だけでなく、新しいリスクへの備えが課題となっていました。
新技術・新産業をどう保険で支えるか
行動計画の柱の一つが、新しい技術・産業分野に対応した保険の研究と応用です。具体的には、次のような分野が挙げられています。
- 知能運転(自動運転を含む高度な運転支援)
- 低空経済(ドローンや小型航空機を活用した物流・サービスなど)
- 量子技術(量子通信や量子計算など)
これらの分野では、事故やシステム障害が発生した場合の責任の所在や損失の算定が従来より複雑になります。行動計画は、こうした新しいリスクに対応する商品設計やデータ分析、標準づくりを進めることで、イノベーションを保険面から支える狙いがあるといえます。
市場開放と国際連携をどう進めるか
行動計画は、損害保険市場の対外開放にも触れています。主な方向性は次の通りです。
- 一定の条件を満たす海外の金融機関による、中国の損害保険市場への投資を支援
- 中国の損害保険会社が海外展開を最適化し、グローバルなプレゼンスを高めることを奨励
- 中国で事業を行う外資系損害保険会社の高品質な発展を後押し
さらに、国内外の再保険市場での交流と協力を拡大し、監督ルールの相互承認や、保険ビジネスの相互接続のあり方を探るとしています。再保険とは、保険会社同士がリスクを分け合う仕組みで、大規模災害などの損失をならす役割を持ちます。国際的な再保険ネットワークを強化することで、大きなショックに対する耐性を高める狙いがあります。
リスク予防と処理の「仕組みづくり」
行動計画はまた、リスクの予防、顕在化した後の封じ込め、処理のプロセスを改善する必要性を強調しています。具体的には、損害保険会社の経営リスクや市場全体のシステムリスクを早期に察知し、影響が広がる前に対処できるよう、仕組みやツールを多様化する方針です。
自然災害や感染症、サイバー攻撃など、社会を揺るがすリスクが増えるなかで、保険会社自身がリスク源にならないよう、規制と自己規律の両面から強化していくことが求められています。
日本の読者にとっての意味
今回の行動計画は、中国の国内政策である一方で、国際的な損害保険・再保険市場との連携強化を掲げています。日本の保険会社や金融機関にとっては、次のような点が注目されます。
- 新技術分野を中心に、中国市場との共同商品開発やリスクデータ共有の可能性
- 再保険取引や共同引き受けなどを通じたリスク分散の機会
- 規制ルールの相互理解が進むことで、事業展開の予見可能性が高まる可能性
一方で、国内外の規制環境やリスク管理基準の変化を丁寧に見ていく必要があります。損害保険は、企業活動や個人の生活を支えるインフラの一つです。今回の行動計画が、アジアの保険市場全体や国際的なリスク分散のあり方にどのような影響を与えるのか、今後数年間の動きを追っていく価値がありそうです。
Reference(s):
China issues action plan to boost property insurance industry
cgtn.com








