「自由貿易は酸素」元ベルギー首相が語る保護主義への懸念 video poster
自由貿易は人間の「酸素」のようなもの――。ベルギーのイヴ・ルテルム元首相が、中国の国際ニュースチャンネルCGTNのインタビューでこう語り、保護主義の高まりに警鐘を鳴らしました。世界経済が相互に依存するなかで、この発言は私たちの暮らしにも直結するテーマを投げかけています。
「自由貿易は酸素」ルテルム氏のメッセージ
ルテルム元首相は、「世界経済は互いに結びついており、私たちの経済は人間の身体が酸素を必要とするのと同じように自由貿易を必要としている」と述べました。数十年にわたるグローバルな自由貿易が、各国に大きな経済的進歩をもたらしてきたと評価しています。
そのうえで、「保護主義は決して解決策ではない」と強調し、経済成長をゼロサムゲーム(誰かの得が誰かの損になるゲーム)ではなく、ウィンウィンの機会に満ちたものと位置づけました。
なぜ自由貿易が重要なのか
自由貿易とは、モノやサービス、投資が国境を越えて比較的自由に行き来する仕組みを指します。関税(輸入品にかかる税金)や数量制限などの障壁を低くすることで、各国が得意分野に特化し、生産性を高めやすくなるとされています。
- 企業はより広い市場にアクセスできる
- 消費者は多様な商品やサービスを、より安く享受しやすくなる
- 国同士の経済的なつながりが強まり、協力の余地が広がる
ルテルム氏が指摘するように、こうした自由貿易の積み重ねが、ここ数十年の世界全体の経済成長の一つの原動力になってきたと考えられます。
「保護主義は解決にならない」とはどういう意味か
保護主義とは、自国の産業を守るために関税を引き上げたり、輸入規制を強めたりする政策のことです。一見すると国内企業や雇用を守るための有効な方法に見えます。
しかしルテルム氏は、保護主義は長期的な解決にならないと警告します。その背景には、次のような懸念があります。
- 報復措置として相手国も関税を引き上げ、貿易全体が縮小するリスク
- 競争が弱まり、企業のイノベーション(技術やビジネスモデルの革新)が進みにくくなる可能性
- 消費者にとっては選択肢の減少や価格上昇につながりやすいこと
経済成長をゼロサムではなくウィンウィンとみる立場からは、相互に市場を開き、共に利益を分かち合う道を探ることが重要だというメッセージといえます。
日本とアジアにとっての意味
日本やアジアの国々は、貿易と投資を通じて経済成長を遂げてきました。スマートフォン、衣料品、食品、エネルギー、デジタルサービスなど、私たちの日常生活の多くが国際的な供給網に支えられています。
自由貿易の仕組みが円滑に機能すれば、企業にとっては海外展開や協力のチャンスが増え、消費者にとっては選択肢と利便性が広がります。一方、保護主義が強まれば、コスト上昇や供給の不安定さといった形で、私たちの生活にも影響が及ぶ可能性があります。
ルテルム氏の「酸素」という比喩は、こうした国際経済のつながりが、もはや空気のように当たり前の存在になっていることを思い出させます。
これから考えたい3つの問い
ルテルム元首相のメッセージは、自由貿易か保護主義かという二者択一の争点にとどまらず、私たちに次のような問いを投げかけています。
- 自由貿易の利益を、国内のどのような仕組みで公平に分配していくべきか
- 環境問題や労働基準といった課題と、自由貿易をどのように両立させるか
- 国際協調を前提としたウィンウィンの機会を広げるために、市民や企業はどのような選択をしていけるか
国際ニュースを追うことは、遠い世界の出来事を知ることだけではなく、私たち自身の働き方や暮らし方、社会のあり方を考え直すきっかけにもなります。ルテルム氏の発言を入り口に、自由貿易と保護主義をめぐる議論を、自分ごととして捉え直してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








