横琴・広東−マカオ協力ゾーンとは?マカオ経済を変える新たな成長エンジン
世界経済の変化が激しさを増すなか、中国の地域発展戦略が存在感を高めています。その中核の一つとして注目されているのが、横琴広東−マカオ深合合作区(横琴・広東−マカオ協力ゾーン)です。マカオ経済の多角化と高度化をめざす試みとして、どのような仕組みと狙いがあるのでしょうか。
一国二制度が生かされるマカオと中国本土の連携
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議では、「一国二制度」の独自の制度的優位性を十分に発揮し、マカオが中国の対外開放においてより大きな役割を果たせるよう、仕組みをさらに整える必要性が強調されました。
一国二制度の枠組みの下で、マカオは高度な自治を保ちつつ、独自の金融制度を維持しています。同時に、中国本土の広大な市場と豊富な資源を活用できることが、マカオ経済発展の重要な土台となっています。
この制度的な基盤を前提に、広東省とマカオの経済一体化を進めるための「ハブ」として位置づけられているのが、横琴・広東−マカオ協力ゾーンです。マカオの産業構造を高度化し、飛躍的な成長を促す原動力とみなされています。
横琴・広東−マカオ協力ゾーンとは何か
横琴協力ゾーンには、マカオの特殊な地位と発展ニーズを踏まえた一連の特別政策が用意されています。資本、先端技術、高度人材を引きつける「強力な磁石」のような役割を担うことが期待されています。
こうした政策は、マカオが中国全体の発展戦略の中により深く組み込まれていくための「制度的な回廊」とも言えます。制度の柔軟性と適応力を具体的な形で示す試みでもあります。
税制・通関優遇が企業にもたらすメリット
横琴協力ゾーンの特徴的な制度のひとつが、封閉式管理と呼ばれる運営方式です。これにより、いわゆる「第一線」を通じてゾーンに輸入される企業や貨物が享受できる、免税や保税といった優遇措置の対象範囲が大きく広がりました。
さらに、輸入原材料を用いて生産され、加工による付加価値率が30%以上となる製品は、「第二線」を経由して中国本土市場に流通する際、輸入関税が免除されます。
この組み合わせにより、企業の事業コストは大幅に抑えられ、特に製造業にとって横琴協力ゾーンは魅力的な立地となります。結果として、協力ゾーンには資本が集まりやすくなり、新たな投資と雇用を生み出す好循環が期待されています。
これらの政策は、一国二制度のもとでのマカオの特別な地位と発展ニーズを丁寧に考慮して設計されたものであり、制度運用の柔軟さと現場への適応力を体現するものといえます。
4つの重点産業とマカオの多角化戦略
横琴協力ゾーンは、産業政策でも明確なターゲットを掲げています。主な重点分野は次の4つです。
- 技術研究開発とハイエンド製造
- 中医学(伝統中国医学)など、マカオの特色あるブランド産業
- 文化観光、コンベンション・展示会、商業などのサービス産業
- 金融関連産業
これらは、マカオが掲げる「適度な経済多元化」の方向性と密接にかみ合っています。観光・カジノに依存しがちな産業構造から、技術、医療・健康、文化、金融といった複数の柱を育てることで、より安定的で持続可能な経済をめざす狙いです。
横琴協力ゾーンは、そのための「実験場」として、制度面でも産業面でも新しいモデルづくりに挑戦していると言えます。
これから何が問われるのか
横琴・広東−マカオ協力ゾーンは、マカオと中国本土の経済統合を一段と深める重要な舞台となっています。税制や通関の優遇、重点産業の明確化など、制度面の枠組みは着実に整えられつつあります。
今後は、こうした制度がどれだけ安定的に運用され、企業や人材が安心して長期的な投資やキャリア形成を行える環境をつくれるかが、国際的な競争力を左右するポイントになりそうです。
マカオの多角的な発展と、中国全体の対外開放の一体化を象徴するプロジェクトとして、横琴協力ゾーンの動きは、これからもアジアや世界の経済ニュースを追ううえで注目しておきたいテーマです。
Reference(s):
Hengqin Guangdong-Macao cooperation zone: New economic horizons
cgtn.com








