中国経済を支える積極財政と緩和的金融 2025年の政策ポイント
中国経済は2025年、約5%の成長率を達成し、世界全体の経済成長の約3割をけん引すると見込まれています。一方で、地政学的な対立の激化や保護主義の高まり、外部環境の変化による逆風など、先行きの不透明感も増しています。本稿では、こうした状況の中で提案されている「積極的な財政政策」と「緩和的な金融政策」を軸とした中国経済運営の方向性を整理します。
2025年の中国経済:成長は堅調、環境は厳しさ増す
今年の中国経済は、おおむね5%前後の成長が見込まれ、世界経済全体の成長の約30%を中国が担う構図が続くとされています。これは依然として大きなプラス要因であり、中国経済の底堅さと成長ポテンシャルの大きさを示すものです。
一方で、
- 地政学的な緊張や紛争の長期化
- 世界的な保護主義の強まり
- 外需の不透明感やサプライチェーンの再編
といった外部要因が重なり、内外の不確実性は高まっています。こうしたなかでも、中国経済には多くの優位性と強い回復力があり、中長期的に見れば「安定した改善」のトレンドは変わらないとされています。そのうえで、2025年の経済運営では、政策の組み合わせとタイミングがより重要になります。
基本スタンス:積極財政とやや緩和的な金融政策
2025年の政策運営に向けては、
- より積極的な財政政策
- 適度に緩和的な金融政策
- 財政と金融(財政・金融政策)の連携強化
が重要だと提案されています。狙いは、各分野に存在するプラス要因を「数字」や「雇用」といった具体的な成果に変えていくことです。
財政政策が需要を下支えし、金融政策が資金の流れを円滑にすることで、政策効果を最大限引き出す「シナジー(相乗効果)」が期待されています。
ポイント1:財政支出の拡大と赤字率の引き上げ
まず議論されているのが、財政支出の規模を拡大し、財政赤字率を引き上げるという方向性です。現在、中国の政府債務リスクは総じてコントロール可能な範囲にあり、とくに中央政府には国債発行の余地があるとされています。
具体的には、
- 2025年は財政支出の規模と伸び率をともに引き上げる
- 2024年の3%水準と比べて、2025年の財政赤字率を3.5〜4%の範囲に高める
といった案が示されています。この水準まで赤字率を引き上げれば、5兆元(約6,866億ドル)を超える財政支出の余地が生まれるとされ、総需要を強力に押し上げることで、成長率の底上げにつなげる狙いがあります。
ポイント2:超長期特別国債・地方債で「二つの新」を後押し
二つ目は、超長期の特別国債や地方債の発行を拡大し、景気の波をならす「逆周期」的な役割を強めるという提案です。ここで重視されているのが、「二つの新」と呼ばれる政策分野です。
- 設備の大規模な更新(生産設備のアップグレード)
- 消費財の買い替え促進(家電・自動車などの更新)
これらの分野に対して、超長期資金を活用しながら集中的に支援することで、2025年の消費を押し上げる構想です。具体的には、
- 補助金の対象範囲を広げる
- 支援メニュー(構造)を見直し、より効果の高い分野に重点配分する
- 補助率を引き上げる
- 設備更新などの生産的な消費や、生活必需分野の消費を重点的に支援する
といった方向が示されています。これにより、消費を安定させて内需を拡大し、雇用も創出する効果が期待されています。
あわせて、国家的な重点戦略や安全保障上重要なプロジェクトへの投資も拡大し、将来の戦略的なニーズを先取りして対応していくことが強調されています。こうした投資を通じて、
- 経済の安全性を高める
- 重点プロジェクトを支援する
- 投資をテコにして、関連する消費の拡大を促す
という「投資から消費への波及」を狙う構図です。
ポイント3:財政支出の構造を変え、消費を直接支える
三つ目の柱は、財政支出の「量」だけでなく「質」を高めることです。従来の投資中心の財政から、より消費を重視する財政へのシフトが提案されています。
とくに、次のような生活関連分野への支出を増やすことが重視されています。
- 医療・ヘルスケア
- 教育
- 年金・高齢者ケア
- その他の基礎的な生活保障
さらに、所得や雇用環境に不安を抱えがちな弱い立場の人々への支援を強めることで、家計の「将来不安」を和らげることが狙いです。こうした取り組みは、
- 万が一に備えた過度の貯蓄(予防的貯蓄)を抑える
- 人々の消費に向かう意欲を高める
- 財政政策を、消費のエンジンとして機能させる
ことにつながると見込まれています。
財政と金融の連携がカギに
こうした積極的な財政運営を支えるうえで、金融政策の役割も重要です。提案されている「やや緩和的な金融政策」は、資金調達コストを適切な水準に保ち、実体経済、とくに中小企業や民間投資に資金が行き渡るよう支えることを念頭に置いたものです。
財政と金融が同じ方向を向き、互いを補完し合うことで、
- 成長率の安定
- 雇用の確保
- 消費と投資の好循環
を実現していくことが期待されています。2025年の中国経済運営を考えるうえで、「積極財政×緩和的金融」をどう設計し、どう連動させるかが大きな論点となっています。
私たちが押さえておきたい視点
今回紹介した提案は、マクロな政策の議論ですが、個人や企業にとっても無関係ではありません。設備更新や消費財の買い替え支援は企業の投資判断やビジネス機会に影響し、生活関連分野への財政支出強化は、人々の暮らしや将来不安の軽減につながります。
中国経済の動きは、世界やアジア、日本経済にも波及します。2025年の中国経済を読み解くうえで、「財政をどこまで積極的に使うのか」「金融はどの程度まで緩和的に運営するのか」「その連携をどう図るのか」という三つの問いを、引き続き丁寧に追いかけていくことが重要だと言えます。
Reference(s):
Active fiscal and loose monetary policies to foster China's economy
cgtn.com








