昼は金融、夜はハンフーデザイナー:マカオ発スラッシーの二重生活 video poster
昼は金融のオフィスで働き、夜は中国の伝統衣装ハンフーを身にまといデザインに没頭する──マカオ在住の若者、Tong Iokさんは、複数の肩書きを持つ「スラッシー」な生き方を体現しています。
「スラッシー」として生きる、マカオの若者
スラッシーとは、本業に加えて複数の仕事や活動を並行して行う人を指す言葉です。Tongさんは、朝9時から夕方6時までは金融分野で働き、仕事が終わるとハンフー愛好家でありファッションデザイナーとしての顔に切り替わります。一日の中でスーツからハンフーへと装いを変えながら、ビジネスの世界と文化・ファッションの世界を行き来しています。
金融とハンフー、二つの顔が生むバランス
金融の仕事には、数字を扱う正確さと緻密な管理が求められます。一方で、ハンフーのデザインには色彩感覚や歴史への理解、そして自由な発想が欠かせません。Tongさんの二重生活は、論理と創造性という一見対照的な要素を、自分の中でバランスさせる試みでもあります。ひとつの職業に自分を限定しない働き方は、デジタルネイティブ世代の価値観とも重なります。
無形文化遺産ブローチでつなぐ、粤港澳大湾区の若者
今年、TongさんはMacao Youth International Art and Culture Associationの評議会議長として、粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)の無形文化遺産を愛する人たちを招き、heritage brooches(無形文化遺産をテーマにしたブローチ)を一緒に制作しました。このプロジェクトは、中国の伝統的な手工芸文化を共同で広め、守っていくことを目指す取り組みです。
伝統工芸を「身につけられる形」に
小さなブローチというアクセサリーに、伝統的な技や意匠への敬意を込めることで、無形文化遺産は特別な「展示物」ではなく、日常の装いの一部として楽しめる存在になります。参加者にとっても、身につけられる形で作品を仕上げることで、文化とのつながりをより身近に感じるきっかけになりました。
若い世代が担う、伝統文化のアップデート
ハンフーやheritage broochesのような取り組みは、若い世代が伝統文化を「懐かしい過去」ではなく、「今とこれからのスタイル」として再解釈していることを示しています。金融のキャリアを持ちながら、アートと文化の分野で活動するTongさんの姿からは、次のようなポイントが見えてきます。
- 複数のキャリアを持つことで、伝統文化に関わるための時間とリソースを自ら生み出していること
- ハンフーやブローチを通じて、伝統文化を若者の日常のファッションやライフスタイルに引き寄せていること
- 粤港澳大湾区のネットワークを生かし、地域をまたいだ文化交流の場をつくり出していること
私たちの暮らしに引き寄せて考える
こうした動きは、マカオだけの話ではありません。自分の興味やルーツと向き合いながら、本業とは別の軸を持ちたいと考える人は、日本を含む多くの国と地域で増えています。Tongさんの歩みは、私たち自身の働き方や生き方を見直すヒントにもなりそうです。
- 仕事と並行して続けたい「もう一つの軸」を紙やメモアプリに書き出してみる
- 身近な地域の伝統工芸や文化イベントを調べ、実際に足を運んでみる
- SNSで見つけた伝統文化やハンフーのクリエイターをフォローし、作品に反応してみる
金融とハンフーという異なる世界を行き来しながら、文化の力で人と人をつなぐTong Iokさん。マカオから生まれたこのスラッシーな生き方は、肩書きや国境を超えて、これからのキャリアとライフスタイルに静かな変化を促してくれます。
Reference(s):
Finance by day, Hanfu by night: Dual identities of a Macao 'slashie'
cgtn.com








