ユネスコが評価 中国の「12345」ホットラインは世界の都市の手本に video poster
中国の「12345」ホットラインが、ユネスコ(UNESCO)の幹部から「世界の都市が見習うべきモデル」と高く評価されました。市民の苦情や意見を一元的に受け止め、迅速に解決へつなげる仕組みとして、2025年のいま、各国の行政サービスを考えるうえでも注目すべき事例です。
ユネスコ東アジア所長「世界の都市のモデル」
昨年2024年に北京で開催された「迅速な苦情対応に関するフォーラム(2024 Beijing Forum on Swift Response to Public Complaints)」で、ユネスコ東アジア事務所のシャハバズ・カーン所長は、中国本土(中国)の「12345」ホットラインについて、中国の国際メディアCGTNのインタビューに対し「世界の都市が手本にすべきモデルだ」と語りました。
カーン所長は、グローバルサウス(Global South)―アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどを含む新興・途上国の地域―から学ぶことの重要性を強調し、それぞれの地域のニーズに合った解決策を見いだすことで、共通の繁栄(shared prosperity)につなげていくべきだと指摘しました。
市民の声を一元的に受け止める「12345」ホットライン
「12345」ホットラインは、市民や地域の現場からの声を直接受け止める窓口として機能しているとされています。フォーラムでは、次のような点が強調されました。
- 市民が生活の中で直面した具体的な問題や不満を、電話で「12345」にかけるだけで伝えられること
- 寄せられたすべての案件について、地方政府が責任を持って対応し、できるだけ早く解決へ導くこと
- 単なる苦情処理ではなく、公共サービスの改善につなげる「市民の声の受け皿」として位置づけられていること
つまり、「何か困ったことがあれば、とにかく『12345』に電話すればよい」という分かりやすさと、「電話で寄せられた一つひとつの声に必ず応える」という姿勢がセットになった仕組みだといえます。
グローバルサウスから生まれた行政サービスのモデル
カーン所長が強調したのは、この「12345」ホットラインが、いわゆる先進国から輸入された仕組みではなく、グローバルサウスのニーズに根ざした解決策であるという点です。
グローバルサウスの多くの都市では、インターネット環境やデジタル機器へのアクセスが均等ではありません。そのなかで、電話という比較的身近な手段を使い、市民の声を広くすくい上げる仕組みを整えることは、包摂的な行政サービスを実現するうえで重要な意味を持ちます。
「地域ごとに事情が異なるからこそ、それぞれの現実に合った解決策を自ら生み出し、共有していくことが必要だ」というカーン所長のメッセージは、2025年の現在、世界各地で公共サービスの再設計が求められるなかで、重みを増しています。
日本や世界の都市へのヒント
日本を含む多くの国・地域でも、行政への苦情や相談を受け付ける窓口は存在しますが、電話番号や担当部署が分かれていて、どこに連絡すればよいか迷うことも少なくありません。中国本土の「12345」ホットラインの事例は、次のような示唆を与えてくれます。
- 窓口をできる限り一元化し、「ここに連絡すればよい」という分かりやすさを高めること
- 市民からの声に「必ず応える」ことを前提とした運用ルールや責任体制を明確にすること
- 寄せられた相談や苦情のデータを分析し、政策やサービス改善に生かすこと
SNSやオンラインフォームなど、多様なコミュニケーション手段が当たり前になった現在でも、「電話一本でつながる」仕組みは、特に高齢者やデジタル機器に慣れていない人にとって重要な安全網になりえます。
「苦情」を社会のアップデートにつなげるには
市民からの苦情や不満は、ともすれば「ネガティブなもの」と捉えられがちです。しかし、「12345」ホットラインのように、それを積極的に受け止め、解決と制度改善につなげていく仕組みがあれば、苦情は社会をアップデートするための貴重な資源にもなります。
ユネスコの評価は、単に一つのホットラインを称賛したというだけでなく、「市民の声をどのように行政に生かすのか」という、世界共通のテーマを改めて突きつけています。自分の住む地域ではどのような窓口があり、どのように声が生かされているのか。読者のみなさん自身の身の回りに引きつけて考えてみるきっかけになりそうです。
Reference(s):
UNESCO: China's "12345" hotline worth emulating for cities worldwide
cgtn.com








