中国の民営企業を守る新法案 ビジネス環境改善へ一歩
中国で民営企業の保護と育成を目的とする民営企業振興法案(仮称)が、12月21日に全国人民代表大会常務委員会(NPCSC)で審議される予定です。民営企業を法律で支える動きは、中国経済の行方を考えるうえで重要なニュースです。
民営企業振興法案とは
今回提出される法案は、民営セクターの発展を促進するための法的枠組みを整えることを狙いとしています。中国はこの法案の提出を通じて、民営企業にとってより良好で安定したビジネス環境をつくろうとしています。
法案は、全国人民代表大会常務委員会の立法計画を担当する立法工作委員会(Legislative Affairs Commission)が準備してきました。同委員会のWang Xiang氏は、民営企業の発展を促す各種措置を法規範に格上げすることには、民営経済の発展環境の一層の最適化や、新たな発展パターンの構築の加速、質の高い発展の推進という深い意義があると強調しています。
- 民営企業の発展環境をさらに整える
- 新しい発展パターンの構築を加速する
- 質の高い経済成長を後押しする
数字で見る中国の民営経済
中国では、ここ10年余りで民営セクターが急速に拡大してきました。2012年から2023年にかけて、民営企業が全企業に占める割合は79.4%から92.3%へと伸び、企業数は5,300万社を超えています。
同じ期間に、個人事業は4,000万超から1億2,400万へと増加し、約3億人分の雇用機会を生み出したとされています。こうした民営企業や個人事業は、中国経済を支える「背骨」とみなされています。
雇用と成長を支える存在に
民営企業がここまで存在感を増しているからこそ、法的な保護や公平なルールづくりは、単なる企業支援策を超えて、雇用の安定や社会全体の活力とも直結するテーマになっています。
2025年改革と連動する動き
今年の中央経済工作会議では、2025年に経済改革を一段と深め、象徴的な改革措置を実行することが確認されました。会議では、国有企業改革の深化と高度化を加速させるとともに、民営企業振興法を制定する必要性が強調されています。
民営セクターの役割を法制面から明確にしつつ、国有企業の改革も進めていくという方針は、中国経済全体の枠組みを制度として固めていく動きと見ることができます。
専門家の見方:信頼とルールの強化がカギ
中国宏観経済研究院の研究者であるBi Jiyao氏は、民営企業にとってより有利な環境を整え、より多くの機会を提供する必要性を指摘しています。そうすることで、民営企業家の信頼感を一層高め、その内発的な意欲を引き出し、成長と雇用の安定により積極的な役割を果たせるようになると述べています。
Bi氏はまた、民営企業への支払い遅延などの問題を解決するうえで、地方政府の責任を明確にすることの重要性を強調しています。さらに、民営企業に対する恣意的な各種負担を抑えることも課題として挙げています。
- 民営企業への未払い債務の解消を地方政府に求めること
- 根拠の不明確な各種の料金や罰金の取り立てを取り締まること
- 過度または恣意的な検査や差し押さえを抑制すること
こうした点を徹底することで、中国各地で民営企業の正当な権利と利益を実効的に守ることができるとBi氏は見ています。法案の審議とあわせて、地方レベルでの運用がどこまで改善されるかが今後の焦点になりそうです。
日本の読者にとっての意味
民営企業が中国経済の大部分を占め、数億人規模の雇用を支えているという事実は、日本から中国ビジネスや国際ニュースを見るうえでも重要な背景です。民営企業振興法案のような動きは、中国の成長の安定性やビジネス環境の予見可能性に影響を与え得るテーマといえます。
12月21日の全人代常務委での審議を起点に、今後どのような条文が整備され、地方レベルでどのように運用されていくのか。民営企業の保護と法制度をめぐる中国の動きは、これからも注視しておきたい論点です。
Reference(s):
China moves to strengthen legal protection for private enterprises
cgtn.com








