中国で「低空経済」推進部署が新設 ドローンが生む新成長の可能性 video poster
中国本土で、ドローンなどを活用する「低空経済」の発展を専門に担当する新しい部署が、国家レベルの経済計画当局の中に設けられました。新たな成長エンジンを求める中で、「空の産業」をどう育てていくのかに注目が集まっています。
低空経済とは何か:1,000メートルまでの「空の産業」
今回のニュースのキーワードである「低空経済」とは、地上およそ1,000メートルまでの空域で行われる経済活動全体を指します。中心となるのは、次のような有人・無人の航空機です。
- ドローン(小型無人航空機)
- 電動の小型航空機や空飛ぶクルマと呼ばれる新型機体
- 小型ヘリコプターなどの有人機
これらの機体を使って、物流、移動サービス、防災、インフラ点検、農業など、さまざまな産業で新しいビジネスを生み出そうという構想が「低空経済」です。
中国本土が低空経済を重視する理由
中国本土では、ここ数年、新たな成長分野としてデジタル経済やグリーン産業と並び、低空経済への期待が高まっています。今回、トップレベルの経済計画機関の中に低空経済を担当する部署が新設されたことは、この分野を本格的に育成していく姿勢を示したものといえます。
背景には、次のような問題意識があります。
- 既存の産業だけでは成長率を維持しにくくなっている
- 高度な製造業やサービス業を組み合わせた新しい産業クラスターをつくりたい
- デジタル技術とリアルなインフラを結びつける分野で競争力を高めたい
低空経済は、機体の製造、ソフトウェア、通信ネットワーク、管制システム、関連サービスなど、広い産業分野に波及する可能性があります。そのため、「新しい成長ドライバー」として位置づけられているのです。
新設部署の役割:ルール作りと産業育成のハブに
中国本土のトップ経済計画機関に設けられた低空経済関連の部署は、低空経済の発展を専任で所管する組織です。詳細は今後明らかになっていく部分もありますが、一般的にこうした部署は、次のような役割を担うことが想定されます。
- 産業全体の発展戦略や中長期計画の立案
- 空域利用や安全基準などの制度設計・調整
- インフラ整備(離発着場、充電設備、通信ネットワークなど)の方針づくり
- 研究開発や実証プロジェクトへの支援
- 地方政府や企業との連携の窓口
特に低空経済は、安全性やプライバシー保護との両立が欠かせない分野です。国家レベルでルールを整理し、産業界とコミュニケーションを取りながら環境整備を進めることが重要になります。
どんなビジネスが広がるのか
低空経済は、私たちの日常生活に近いところから、社会インフラを支える裏方の分野まで、幅広い場面で活用が期待されています。代表的な例としては、次のようなものがあります。
- 物流・宅配:小型ドローンによる小口配送や、山間部・離島への物資輸送
- 移動サービス:短距離の都市間・都市内を結ぶ小型航空機や空飛ぶクルマによる移動
- インフラ点検:橋や電線、送電線、ダムなどの点検をドローンで効率化
- 農業:農薬散布や生育状況のチェックにドローンを活用
- 防災・救助:災害時の被災状況確認や救援物資の緊急輸送
こうした分野が広がれば、製造業だけでなく、ソフトウェア開発やデータ解析、保険、金融など、関連ビジネスも大きく成長する可能性があります。
課題は安全・プライバシー・人材育成
一方で、低空経済には解決すべき課題も多くあります。
- 安全性の確保:墜落や衝突を防ぐための運航ルールや技術開発
- プライバシー保護:カメラ搭載ドローンの利用ルールやデータ管理
- 都市との共存:騒音や景観への影響を抑えつつ、利便性を高める設計
- 人材育成:操縦者だけでなく、設計、システム運用、データ分析を担う専門人材
新設された部署は、こうした課題を整理しながら、産業育成と安全・安心のバランスを取る政策づくりが求められます。
日本と世界への示唆:空のインフラをどう整えるか
日本でも、空飛ぶクルマやドローン物流を巡る議論が進んでおり、「低空の空域」をどう社会インフラとして整えていくかは共通のテーマになっています。中国本土で低空経済を担当する部署が新たに設けられたことは、空のインフラを国家戦略として位置づける動きが、アジアの中でも本格化していることを示しています。
この動きは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 低空の空域を、誰が、どのようなルールで管理するのか
- 都市計画や交通政策と、空の移動・物流をどう組み合わせるのか
- 新しい技術を、安全とプライバシーと両立させながらどう活用するのか
2025年現在、低空経済はまだ「これから伸びる」分野ですが、中国本土のように専門部署を設けて長期的な戦略を描く動きは、他の国や地域にとっても参考になる部分がありそうです。
まとめ:低空経済は次の10年を左右するテーマに
中国本土のトップ経済計画機関に、低空経済の発展を担当する新部署が設けられたことは、ドローンや新型航空機を軸にした「空の産業」が、今後の成長戦略の重要な柱になりつつあることを象徴しています。
低空経済は、技術だけでなく、ルール作りや都市づくり、人材育成までを含む総合テーマです。日本を含む各国・地域が、自らの社会に合った形でどのように空のインフラを設計していくのか。今回の動きは、その議論を深めるきっかけになりそうです。
Reference(s):
New department set up to boost low-altitude economy in China
cgtn.com








