中国の金融政策が2024年成長を下支え、2025年は「やや緩和的」へ
中国の金融政策が2024年の経済成長を下支え
中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)は、2024年を通じて複数の金融政策を組み合わせた「多面的アプローチ」で景気を下支えしました。専門家は、これらの措置が実体経済を効果的に支えてきたと分析しています。
2度の預金準備率引き下げで約2兆元を供給
2024年には、商業銀行が中央銀行に預ける預金準備率が2回引き下げられ、およそ2兆元(約2,740億ドル)の資金が市場に供給されました。預金準備率の引き下げは、銀行が企業や家計に貸し出せる資金を増やす典型的な景気下支え策です。
招商ユニオン消費金融の首席研究員である董希淼(Dong Ximiao)氏は、中国メディアグループ(CMG)のインタビューで、2024年の利下げと預金準備率の引き下げについて、回数も幅も「頻繁で、予想を上回る大きさだった」と指摘しました。
董氏は、こうした措置によって「金利水準が下がり、企業と家計の借入コストが低減し、市場心理が改善して有効需要が刺激された」と述べています。
政策金利の引き下げで市場金利を誘導
人民銀行は2024年7月と9月に、短期の政策金利である7日物リバースレポ金利をそれぞれ10ベーシスポイント(0.10%)、20ベーシスポイント(0.20%)引き下げました。これにより、中期貸出ファシリティ(MLF)金利やローンプライムレート(LPR)など、幅広い金利の低下が促されました。
金利の引き下げは、住宅ローンや企業向け融資の返済負担を軽くし、投資や消費を後押しする効果があるとされています。
20の「構造的」ツールで重点分野をテコ入れ
人民銀行は、全体としての資金量や金利水準だけでなく、特定分野を狙い撃ちする「構造的な金融政策ツール」も積極的に活用しています。
董氏によると、中国は現在、実体経済の中でも重点分野や脆弱な分野、中小企業などに向けた20種類の構造的ツールを運用しており、産業構造の転換・高度化や、新たな成長源の育成に重要な役割を果たしているといいます。
科学技術・住宅・農業を支える特別リローン
具体的には、次のような枠組みが設けられました。
- 科学技術イノベーションと技術改造向けの特別リローン枠:5,000億元
- 手頃な価格の住宅供給を支える特別リローン枠:3,000億元
- 農業・小規模事業者向けリローン枠の増額:1,000億元
これらの資金は、グリーン開発(環境に配慮した成長)やデジタル技術など、新しい成長ドライバーを後押しする狙いがあります。
社会融資残高は40兆元超、実体経済を下支え
中国郵政儲蓄銀行の研究員である楼非鵬(Lou Feipeng)氏は、人民日報のインタビューで「現在の融資水準は安定しており、社会融資残高は40兆元を超えている」と述べました。社会融資残高とは、銀行融資や社債などを含む、実体経済への資金供給の総量を示す指標です。
楼氏は、この規模の資金供給により、企業活動やインフラ投資など実体経済全体がしっかりと支えられていると評価しています。
2025年の金融政策は「やや緩和的」へ
こうした2024年の取り組みを踏まえ、中国の中央経済工作会議は、2025年の金融政策運営のトーンを従来の「穏健(prudent)」から「やや緩和的(moderately loose)」へと調整する方針を示しました。これは、景気回復を確実なものとするため、金融面での支援を引き続き重視する姿勢を明確にしたものです。
人民銀行の貨幣政策局長である鄒瀾(Zou Lan)氏はCMGの取材に対し、「やや緩和的とは、幅広い政策手段を引き続き総合的に用いることを意味する」と説明しました。そのうえで、このスタンスは「経済成長への力強い支援を維持するだけでなく、投資家の信認を高め、消費を刺激し、経済活動の好循環を促す」と強調しました。
日本からどう見るか:鍵は「実体経済」と「信認」
2024年の一連の金融緩和と、2025年に向けた「やや緩和的」スタンスは、中国経済の安定と構造転換を同時に進める試みといえます。日本を含むアジアの投資家や企業にとっては、次の点が関心の焦点になりそうです。
- 金利と為替の動きが、輸出入やサプライチェーンに与える影響
- 科学技術・グリーン分野などでの新たなビジネス機会
- 住宅や中小企業支援策が内需をどこまで押し上げるか
今後も、中国人民銀行が実体経済をどのように支え、同時に市場の信認を維持していくのかが、アジア経済全体の行方を考えるうえで重要な視点となりそうです。
Reference(s):
China's monetary policy boosts 2024 economic growth: Experts
cgtn.com








