中国の柔軟な定年制度 暫定措置で定年延長と早期退職をどう変えるか
中国が、法定退職年齢を段階的に引き上げるための「柔軟な定年制度」に関する暫定措置を発表しました。定年の延長だけでなく、一定の条件下での早期退職や定年後の就労継続も認める仕組みで、今後の働き方や老後の設計に影響を与える可能性があります。
中国が暫定措置を公表 柔軟な定年制度を本格運用へ
中国は水曜日、すでに採用されている「法定退職年齢を段階的に引き上げる」方針を具体的に実行するための暫定措置を公表しました。今回の措置は、柔軟な定年制度の運用手続きや、基礎年金(公的年金)の受給要件などを定めています。
暫定措置により、従来の「一律の定年年齢」から、本人の希望や企業との合意に応じて退職時期を選びやすくする方向が打ち出されています。
15年かけて法定退職年齢を引き上げ
発表によると、男性と女性それぞれの法定退職年齢は、2025年1月1日に始まった15年間の移行期間を通じて、段階的に引き上げられます。
- 男性:60歳から63歳へ
- 女性幹部(カド):55歳から58歳へ
- 女性の現業労働者:50歳から55歳へ
これらは一度に大きく変えるのではなく、時間をかけて少しずつ引き上げる設計です。長期の移行期間を設けることで、働く人や企業が備えやすくする狙いがあるとみられます。
年金受給に必要な加入期間も2030年から変更
暫定措置は、年金制度の重要な変更点も示しています。中国の基礎年金を毎月受け取るために必要な「保険料の納付年数(加入期間)」について、2030年から段階的に引き上げる方針です。
- 現在:最低15年の加入で受給可能
- 2030年から:年0.5年ずつ引き上げ、最終的に20年へ
つまり、2030年以降は、必要な加入期間が半年単位で延び、最終的には20年の加入が求められるようになる設計です。長く働き、長く保険料を納めるほど、老後の年金受給に必要な条件も変化していきます。
「早める」か「延ばす」か 選べる退職タイミング
今回の柔軟な定年制度のポイントは、退職時期をある程度、自分で選べるようになることです。暫定措置では、次のような枠組みが定められています。
早期退職:最大3年前まで可能
- 基礎年金の「最低加入年数」を満たした人は、法定退職年齢より最大3年前まで自発的に早期退職を選択可能
- ただし、「従来の法定退職年齢」よりも早く退職することは認められない
たとえば、制度の見直しで将来の法定退職年齢が引き上げられても、以前の法定年齢より前に退職することはできない、という線引きが設けられています。
退職の先送り:最大3年の延長
- 本人と企業が合意した場合、法定退職年齢を超えて働き続けることも可能
- 退職の先送りは最大3年まで
企業側の人材ニーズと、働き続けたい人の意向が一致すれば、定年後も一定期間、働き続けられる余地が広がることになります。
「1年長く働けば年金も増える」専門家の見方
上海財経大学公共経済・管理学院の張毅(チャン・イー)教授は、中国の年金制度について、基礎年金保険と個人の私的年金口座から構成されていると説明しています。
同教授は、退職を1年遅らせれば、次のような効果があると指摘します。
- 社会全体の平均賃金がより高い水準を基準に計算される
- 保険料を納める期間が長くなる
- 結果として受け取る年金額も増える傾向がある
柔軟な定年制度は、こうした仕組みを前提に、「いつ退職するのか」を本人がある程度選べるようにすることで、働き方と老後資金のバランスを自分なりに調整できるようにする試みと言えます。
働く人・企業にとっての意味 「選択肢」がキーワード
張教授は、柔軟な定年制度が人々に次のような選択肢を与えると評価しています。
- 自らのニーズ
- 働く意欲
- 健康状態
- 家族の事情
- 企業側の人材需要
こうした要素を踏まえながら、退職のタイミングを選べるようになることで、「早くリタイアしたい人」「もう少し長く働きたい人」の双方に一定の余地を与える制度設計になっています。
一律の定年から、条件付きではあっても「選べる定年」へ。中国の暫定措置は、年金制度と雇用制度を組み合わせながら、働き方の選択肢を広げようとする動きとして注目されます。
Reference(s):
China unveils interim measures for flexible retirement system
cgtn.com








