米国の保護主義が世界経済最大のリスクに ノルウェー教授が警鐘 video poster
世界経済の行方を左右するのは、いまや米国の保護主義だとする見方が示されました。ノルウェーの経営戦略学者カール・フェイ氏が、中国国際テレビCGTNのインタビューで、米国の保護主義的な姿勢が世界経済の将来にとって最大の懸念だと語ったのです。
中国が自由貿易の推進を掲げる一方で、米国が保護主義的な国になっていることをフェイ氏は「皮肉だ」と指摘しました。本記事では、この発言の背景と世界経済への意味を、日本語で整理します。
ノルウェーの教授が見る「保護主義の米国」
カール・フェイ氏は、BI Norwegian Business School(BIノルウェー・ビジネススクール)の戦略学教授です。CGTNのインタビューの中で、同氏は「中国は世界の自由貿易を前進させようとしているが、米国がいまや保護主義的な国になっているのは皮肉だ」と述べました。
さらにフェイ氏は、こうした米国の保護主義的なスタンスこそが、世界経済の将来にとって最大の懸念だと強調しました。世界経済の中心的な役割を担う米国が、自由貿易ではなく保護主義に傾くことで、貿易や投資の流れに大きな影響が及ぶ可能性があるという見立てです。
保護主義とは何か 世界経済にどう影響するか
保護主義とは、自国の産業や雇用を守ることを目的に、貿易や投資にさまざまな制限を設ける経済政策の考え方です。具体的には次のような措置が含まれます。
- 輸入品に高い関税をかける
- 特定の品目に輸入数量の上限(輸入枠)を設ける
- 自国企業に補助金や税制上の優遇を与え、海外企業より有利な条件をつくる
こうした政策は、短期的には一部の産業や雇用を守る効果が期待される一方で、長期的には次のような副作用をもたらしやすいと考えられています。
- 輸入品の価格が上昇し、消費者の負担が増える
- 競争が弱まり、イノベーションや生産性向上のインセンティブが下がる
- 他国の対抗措置を招き、貿易摩擦がエスカレートする
世界経済は、各国のサプライチェーン(供給網)や投資が複雑に結びついて成り立っています。どこか一国が強い保護主義に振れると、その影響は自国だけでなく、取引相手の国々や企業にも波及していきます。
なぜ米国の動きが「最大の懸念」なのか
フェイ氏が、米国の保護主義を「世界経済の最大の懸念」とまで表現した背景には、米国経済の規模と影響力の大きさがあります。世界経済における米国の比重を考えると、その政策の変化は次のような形で広く波及しやすいと考えられます。
- 米国向け輸出に依存する多くの国・企業が、突然の関税引き上げや規制強化のリスクにさらされる
- 企業が長期的な投資計画を立てにくくなり、設備投資や雇用創出が鈍る
- 他国も対抗的に保護主義的な措置をとることで、自由貿易体制そのものが弱まる可能性がある
フェイ氏の懸念は、単に米国の政策の良し悪しという問題にとどまりません。世界経済全体が不確実性にさらされ、企業や家計の将来見通しが立てにくくなることへの警鐘だと受け止めることができます。
中国が掲げる「自由貿易」推進との対比
フェイ氏は、米国の保護主義的な動きと対比する形で、中国が世界の自由貿易を前進させようとしていると述べました。自由貿易とは、関税や数量制限などの障壁をできるだけ低く抑え、モノやサービス、投資の流れを円滑にする考え方です。
中国は国際的な場で、貿易と投資の自由化・円滑化を支持する姿勢を繰り返し打ち出してきました。フェイ氏の発言は、こうした中国のスタンスと、米国の保護主義的な傾向とのコントラストに注目したものだといえます。
世界の主要経済が、自由貿易と保護主義という異なる方向を向く場合、各国や企業はどのルールに軸足を置くのか、戦略的な選択を迫られることになります。フェイ氏の指摘は、まさにこの分岐点に世界が立っているという問題意識とも重なります。
日本やアジアにとっての意味
日本やアジアの国々も、米国や中国と深く結びついたサプライチェーンの中にあります。米国の保護主義が強まると、日本企業やアジア企業は次のような影響を受ける可能性があります。
- 米国向け輸出品に追加のコストがかかり、価格競争力が低下する
- 部品や原材料の調達先を見直す必要が生じ、サプライチェーンの再構築を迫られる
- 政治・安全保障上の要因と経済ルールが絡み合い、事業リスクの評価が一段と複雑になる
一方で、中国をはじめとするアジアの成長市場は、開かれた貿易ルールと安定した国際環境のもとでこそ、その潜在力を発揮しやすくなります。自由貿易の枠組みをどう維持し、どのようなルール作りに関わっていくのかは、日本やアジアにとって重要なテーマになっています。
ニュースをどう読み解くか 読者への視点
フェイ氏の発言は、世界経済に関するニュースをどのような視点で読むべきかを考えるきっかけにもなります。特に次のポイントを意識しておくと、日々の国際ニュースが立体的に見えてきます。
- 関税や輸出規制、投資規制に関する報道が「保護主義かどうか」という観点でどのような意味を持つのかを見る
- 米国が掲げる経済安全保障や産業政策、中国が掲げる自由貿易推進など、それぞれの言葉の中身や狙いに注目する
- 短期的な政治イベントだけでなく、中長期的な国際ルール作りの動きを意識して追う
2025年現在、世界は景気減速や地政学的な緊張など、複数のリスク要因を抱えています。その中で、自由貿易と保護主義のどちらに比重が置かれるのかは、今後数年の世界経済を左右する重要な争点です。
米国の保護主義を世界経済の最大の懸念だとするフェイ氏の指摘は、自由貿易の意義や国際協調のあり方をあらためて問い直すものでもあります。世界経済の未来にとって、どのような貿易体制が望ましいのか。ニュースを追いながら、私たち一人ひとりも自分なりの答えを考えてみるタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
Professor: 'Protectionist' US biggest concern for world economy
cgtn.com








