中国の新エネルギー法が施行 グリーン転換と国際エネルギーガバナンス
中国で2024年11月8日に初の包括的なエネルギー法が成立し、2025年1月1日に施行されました。この新しいエネルギー法は、国内のエネルギー需要の拡大と環境課題、そして国際的なエネルギーガバナンスの流れに対応するための大きな転換点となっています。
法は、中国が掲げるデュアルカーボン目標と「質の高い発展」を長期的に支えるための法的な土台を整えるもので、グリーンなエネルギー転換を進めつつ、エネルギー安全保障や市場の安定も重視する枠組みになっています。
世界のエネルギー法制の中で見る中国の位置づけ
各国・地域のエネルギー法は、それぞれの優先課題を反映しています。例えば、米国はエネルギー安全保障や価格、産業競争力を重視し、欧州連合(EU)は気候変動対策とグリーン成長を優先しています。オーストラリアは、安定したエネルギー供給の確保に焦点を当ててきました。
中国のエネルギー法も、エネルギー安全保障、市場規制、グリーン転換といった重要分野をカバーしている点では共通しています。一方で、今回のエネルギー法は、長期的な方向性を示す「制度上の宣言」としての性格が強く、具体的な運用の細部は今後の関連法規や政策に委ねられる構造になっていることが特徴です。
このような設計により、中国は急速に変化するエネルギー情勢に柔軟に対応しつつも、長期的な計画と投資の前提となる安定した枠組みを維持することを目指しています。
複数の主体を組み込むエネルギーガバナンス
新しいエネルギー法は、政府機関、企業、規制当局、消費者といった多様な主体をエネルギーガバナンスに組み込む点が重視されています。
政府については、エネルギー計画と監督の法的枠組みを明確化しました。中央政府は部門別や地域別のエネルギー発展目標を設定し、地方政府はそれに沿って政策を整合させることが求められます。地方政府には、クリーンエネルギー事業の推進、安全かつ環境に配慮したエネルギー供給の確保、地域の実情に応じたエネルギー構造の調整といった役割が与えられています。
あわせて、エネルギー産業のあらゆる段階、すなわち生産、流通、消費、貯蔵に至るまでを対象とした規制監督も強化されました。自然独占の縮小、市場の安定性の向上、緊急時の対応力の強化などを通じて、市場機能を円滑に保つことが狙いとされています。
供給サイド:石炭と再生可能エネルギーの再定義
供給側では、「エネルギー構造の最適化」がキーワードです。エネルギー法は、石炭を依然として基盤的なエネルギー源と位置づけつつ、その利用効率の向上やクリーンな利用方法の推進を強調しています。
同時に、再生可能エネルギーの開発は引き続き強く支援されます。税制上の優遇措置や補助金、技術革新への後押しなどを通じて、再生可能エネルギーの拡大を促す方針です。今回、中国のエネルギー管理システムの中に水素エネルギーが初めて明確に位置づけられたことも注目点です。
需要サイド:消費構造をグリーン化する仕組み
需要側でも、再生可能エネルギーの消費拡大が積極的に図られています。エネルギー法は、再生可能エネルギーの最低消費比率の設定や、グリーン電力証書などの仕組みを通じて、企業や消費者がクリーンエネルギーを選択しやすくするインセンティブを用意しています。
供給側の再生可能エネルギー開発支援と、需要側のクリーンエネルギー消費の促進を組み合わせることで、グリーン転換を「つくる側」と「使う側」の両面から加速させようとするのが、このエネルギー法の基本的な発想です。
長期的視野と柔軟性が示すもの
今回のエネルギー法は、詳細な運用ルールや個別制度をすべて盛り込むのではなく、長期的な方向性と基本原則を示したうえで、今後の規則や政策によって運用面を肉付けしていくスタイルを取っています。
エネルギー安全保障、市場の安定、グリーン転換という三つの課題を同時に扱うこの枠組みは、中国の長期的なエネルギー戦略を支えるとともに、国際的なエネルギーガバナンスの流れに応答するものでもあります。エネルギー需要と環境制約が強まる中で、この法的枠組みが今後どのように具体化されていくのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
China's energy law promotes green transition, global energy governance
cgtn.com








