中国本土、設備更新と消費財買い替えを強化 超長期特別国債を増発へ
中国本土の政府は、2025年に超長期の特別国債を大幅に増発し、大規模な設備更新と消費財の買い替え(トレードイン)を強力に後押しする方針です。国内需要の下支えと、中国経済のグリーン転換を加速させる狙いがあります。
2025年に超長期特別国債を増発、中国経済を下支え
国家発展改革委員会(NDRC)の袁達・副秘書長は、北京での記者会見で、2025年に超長期の特別国債の発行を大きく増やし、その資金を設備更新と消費財の買い替え支援に充てる方針を明らかにしました。
超長期特別国債とは、通常よりも償還期間が長い国債で、インフラ投資や産業構造の転換など、長期的な政策課題を支えるために活用されます。今回の増発は、中国本土の経済運営においても、重点政策として位置づけられていることを示しています。
対象分野を拡大 電子情報・安全・農業インフラまで
袁氏によると、資金支援の対象分野はこれまでより広がり、次のような分野が新たに含まれます。
- 電子情報関連設備
- 生産安全(職場や工場の安全対策)関連設備
- 農業施設(農業用インフラや機械設備)
製造業や農業の現場にある設備を更新することで、生産性向上と安全性の強化、そしてエネルギー効率の改善を同時に進めるねらいがあります。
スマホ・タブレット・ウェアラブルに消費者補助
今回の政策パッケージは、企業だけでなく個人消費も重視しています。消費者向けには、次の3種類のデジタル製品の購入に補助金が出されると説明されています。
- 携帯電話(スマートフォンを含む)
- タブレット端末
- スマートウォッチやスマートバンドなどのウェアラブル機器
古い機種を下取りに出し、新しいデジタル機器に買い替える消費者に補助を行うことで、家計の負担を抑えつつ、デジタル化と個人消費の拡大を同時に進める設計です。
新エネルギー車・農機・住まい関連も手厚く支援
設備更新と買い替え支援は、デジタル製品だけにとどまりません。袁氏は、次の分野で補助をさらに強化すると述べています。
- 新エネルギー都市バス(電動バスなど)の更新
- バッテリーの更新・入れ替え
- 農業機械の更新
- 住宅の内装やリフォーム関連の消費財の更新
公共交通の電動化や農業の省力化・高効率化、住宅の省エネ化を進めることで、環境負荷の軽減と、関連産業の需要喚起を同時に図ろうとする動きだといえます。
2024年に始まった設備更新・買い替え行動計画
中国本土の政府は、2024年3月に「大規模な設備更新と消費財の買い替え」を促進する行動計画を打ち出しました。今回の特別国債増発は、その延長線上にある政策です。
袁氏によると、この行動計画をめぐる1年余りの取り組みによって、投資と消費の双方で明確な効果が現れているとされます。
数字で見る中国本土の投資・消費の変化(2024年)
- 2024年1〜11月の設備・備品購入に対する全国投資は、前年同期比15.8%増加。
- この分野の投資増加が、全国の総投資成長の65.3%を押し上げたとされています。
- 消費財の買い替えプログラムでは、60%超の消費者が新エネルギー車を選択。
- 新エネルギー乗用車の普及率は、6カ月連続で50%超の水準となりました。
これらの数字から、設備更新と買い替え支援が、投資拡大だけでなく、家計消費の活性化や新エネルギー車の普及にも寄与している様子がうかがえます。
なぜ今「設備更新」と「買い替え」なのか
今回の政策の背景には、いくつかの狙いが読み取れます。
- 老朽化した設備を新しいものに替えることで、生産性を高める。
- エネルギー効率の高い機器や新エネルギー車への更新を通じて、グリーン転換を進める。
- 買い替え補助で家計負担を軽減し、消費マインドを下支えする。
- デジタル製品や省エネ家電の普及を通じて、デジタル経済や関連産業の成長を促す。
設備投資と個人消費を同時に刺激することで、短期的な需要喚起と、中長期的な産業構造の高度化を両立させようとする設計になっている点が特徴的です。
日本やアジアの読者が注目したいポイント
日本やアジアの企業・投資家、政策担当者にとっても、この動きは無関係ではありません。
- 新エネルギー車やバッテリー、電子部品などの分野で、サプライチェーンや技術協力の議論が一段と重要になる可能性があります。
- 家電・デジタル機器の買い替え需要が高まれば、アジア全体の電子機器関連の取引にも影響が及ぶことが考えられます。
- 設備更新と環境対策を同時に進める政策は、他の国や地域にとっても参考になる部分があります。
中国本土の設備更新と消費財買い替え政策は、国内経済の話題にとどまらず、アジア全体の産業構造やグリーン転換の流れを見るうえでも重要な指標となりつつあります。
考えるきっかけとして
日本でも、老朽インフラや古い設備の更新、家電や自動車の脱炭素化が課題となっています。中国本土のように、設備更新と消費財買い替えをセットで後押しするやり方には、賛否両論や制度設計上の難しさもありますが、
- どの分野を優先して更新すべきか
- 家計への負担をどう抑えながら、グリーン転換を進めるか
- 民間投資を呼び込むために、公的資金をどう使うか
といった問いを考えるうえで、一つの具体例となっています。国際ニュースとして動向を追いながら、自分たちの暮らしや地域の政策とも重ねて見ていくことで、新たな視点が得られそうです。
Reference(s):
China to boost support for equipment upgrades, goods trade-in programs
cgtn.com








