CES 2025で見えた米中テック協力の現在地:ビザ問題の陰で進む共創 video poster
米中テック協力は本当に後戻りしているのでしょうか。2025年の国際見本市「CES」をめぐるビザ問題の一方で、中国企業と米国企業のあいだでは、人工知能(AI)チップや新エネルギー車といった最先端分野で、静かに協力が広がり続けています。
CES 2025で浮かび上がった「分断」と「接続」
一部の報道では、2025年のCESに参加を希望した中国からの申請者の中に、米国ビザが認められなかったケースがあったと伝えられています。それでも、会場には1300を超える中国の出展者が参加し、全出展者のほぼ3分の1を占めました。
表向きには「デカップリング」や「分断」といった言葉が飛び交うなかでも、実際の展示会場では、中国と米国の企業担当者がブースを行き来し、新技術やビジネスの話を交わしていたと考えられます。数字が示しているのは、完全な分断ではなく、「難しさを抱えながら続く接続」です。
AIチップと新エネルギー車で進む米中協力
中国の国際メディアCGTNの記者であるHou Jing氏は、中国企業と米国企業がすでに人工知能(AI)向けのチップや新エネルギー車の分野で協力を深めていると指摘しています。どちらの国もテクノロジー面で独自の強みを持っているからこそ、互いを補完し合う形での連携が生まれているという見方です。
- AIチップという基盤技術での協力
- 新エネルギー車という成長分野での協力
- それぞれの技術的な強みを組み合わせる形での協力
AIや次世代モビリティは、単一の企業や国だけでは完結しにくい複雑な分野です。基盤技術、ソフトウェア、サービス、インフラが重なり合う中で、米中それぞれの強みをどう生かすかが、今後の競争力にも影響していきます。
地政学的なハードルはあるが、協力の余地は大きい
当然ながら、米中関係には地政学的なハードルが残り、テクノロジー分野もその影響を受けています。それでもHou Jing氏は、すでに実績のある分野を起点に、今後も協力の余地は大きいと強調します。
その背景には、テクノロジーが国境を越えてつながる性質と、単独の国だけでは完結しにくい産業構造があります。部品、ソフトウェア、人材、資本が国をまたいで動くなかで、一方的な切り離しよりも、リスクを管理しながらの協力を模索する動きが続くと考えられます。
日本の読者が押さえておきたい視点
米中両国のテック協力の行方は、日本やアジアの企業にとっても無関係ではありません。部品調達や研究開発のパートナー選び、どの市場向けにどの仕様の製品をつくるかといった判断は、米中の関係性に影響を受けます。
「どちらか一方だけと付き合う」のではなく、複数の国や地域と関係を結びながら、技術やビジネスモデルを柔軟に組み合わせていく視点が、企業にも個人にも求められているといえるでしょう。
「対立か協力か」ではなく、現実的な組み合わせを
CES 2025でのビザ問題は、米中テックを取り巻く緊張を象徴する出来事でした。しかし、1300を超える中国の出展者が会場に集まり、全出展者の約3分の1を占めたという事実は、「協力はすでに始まっており、そう簡単には止まらない」という現実も物語っています。
米中をめぐるニュースでは、「対立」か「協力」かという二者択一で語られがちです。ですが、現場レベルでは、ハードルがありながらも協力が積み上がるというグラデーションの現実があります。感情的なイメージだけで判断せず、こうした具体的な動きに目を向けることが、これからの国際ニュースを読み解くうえでのヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








