中国が人民元安定へ新措置 越境資金調達枠を拡大
中国の金融当局は、人民元(中国の通貨)の為替レートを安定させる方針を改めて示し、企業や金融機関の越境資金調達枠を拡大する措置を打ち出しました。本稿では、その内容と狙いを整理します。
人民元の「合理的で均衡した水準」を維持へ
最近開かれた会合で、中国の金融規制当局は人民元の為替レートを「安定的で、合理的かつ均衡のとれた水準」に保つと表明しました。
会合には、中国人民銀行(PBOC)や国家外貨管理局(SAFE)の関係者が参加し、両機関が参加する外為市場の指導メカニズムである中国外為委員会が、今後の方針を示しました。
市場の期待安定と行き過ぎ防止が柱
中国外為委員会によると、当局は次のような総合的な措置を講じるとしています。
- 市場の期待を安定させる
- 為替市場の耐性(レジリエンス)を高める
- 外為市場の管理を一段と強化する
- 景気や相場の波に過度に連動するプロサイクリックな行動を是正する
- 市場秩序を乱す行為に対処する
- 為替レートが行き過ぎて振れるリスクを防ぐ
こうした方針は、為替市場の安定性を高めるとともに、急激な通貨変動を抑える狙いがあるとみられます。
潘総裁「外為市場を安定運営する自信と能力」
中国人民銀行の潘功勝(Pan Gongsheng)総裁は、香港で開かれた第18回アジア金融フォーラムの場で、「中国には外為市場を安定的に運営する自信、条件、そして能力がある」と強調しました。
人民元を巡る政策メッセージを、国際的な金融関係者が集まる場で発信することで、中国が為替の安定に向けた姿勢を内外に示した形です。
越境資金調達枠を拡大する新ルール
人民元の安定に向けた取り組みと並行して、中国は企業や金融機関の越境資金調達(クロスボーダー資金調達)を拡大するための制度変更も行いました。
中国人民銀行と国家外貨管理局は、マクロプルーデンス管理(金融システム全体の安定性を重視する監督手法)の一環として用いている「マクロプルーデンス調整パラメーター」を引き上げると共同で発表しました。
このパラメーターは、企業や金融機関が保有できる越境融資残高の上限を決める倍率で、これまでの1.5から1.75へと引き上げられます。規制当局が同パラメーターを引き上げるのは、2023年7月以来となります。
資金調達の選択肢を広げ、バランスシートの最適化へ
当局は、今回の措置について、マクロプルーデンス管理を改善し、企業や金融機関が資産と負債の構成(バランスシート)を最適化するよう誘導する狙いがあると説明しています。
越境資金調達の上限が広がることで、企業や金融機関は、国内外の資金市場を組み合わせながら、通貨や金利、資金調達コストのバランスを取りやすくなる可能性があります。
人民元とグローバル市場への意味合い
今回の一連の動きは、
- 為替市場の安定運営に向けたメッセージの発信
- 市場行動の過度な振れを抑えるルール整備
- 企業・金融機関の越境資金調達の柔軟性向上
という三つの側面をあわせ持つものです。
人民元相場の安定と、実体経済を支える資金調達の円滑化は、中国経済だけでなく、アジアや世界の金融市場にも影響を与えます。今後、市場がこうした政策メッセージをどのように織り込み、人民元や資金の流れにどう反映されるのかが注目されます。
Reference(s):
China moves to stabilize yuan, expands cross-border financing
cgtn.com








