ダボス会議2025:スイス駐中国大使が語るパートナーシップと自由貿易 video poster
スイスで開かれたダボス会議2025の周辺で、スイスの駐中国大使ユルク・ブリ氏が中国国際テレビ(CGTN)のインタビューに応じ、中国との二国間関係が一段と強まっていると語りました。本記事では、その発言のポイントと、自由貿易・イノベーションを軸にしたスイスの戦略が、2025年の国際ニュースの中で持つ意味を整理します。
強まる中国とのパートナーシップ
ブリ大使によると、スイスと中国の関係は現在、強まる方向にあるといいます。その象徴として挙げたのが、中国の副首相によるスイス訪問です。大使は、このハイレベルな往来こそが、両国の信頼と協力の深まりを示すサインだと評価しました。
ダボス会議は、各国・地域の政財界リーダーが集まり、世界経済の行方を話し合う場として知られています。そこでスイス側が、中国との関係強化を前向きに語ったことは、世界経済の不確実性が高まるなかで、安定したパートナーシップを重視している姿勢を映していると言えます。
副首相級訪問が持つ重み
副首相クラスの人物が訪問するのは、単なる儀礼にとどまらず、具体的な経済・通商・技術協力の議題を伴うことが多いとされます。ブリ大使がこの訪問を「関係強化の指標」と位置づけたことは、スイスが中国との対話を実務ベースで前に進めようとしていることを示唆します。
こうした高官往来が積み重なることで、投資や産業協力、大学や研究機関同士の連携など、多層的なつながりが生まれていきます。特にイノベーション分野では、長期的な信頼関係がなければ、共同研究やデータ共有といった繊細な協力は進みにくいため、その意味でも今回のメッセージは重みがあります。
スイスが強調する「自由貿易」へのコミットメント
ブリ大使が強調したもう一つのキーワードが「自由貿易」です。スイスは国土も市場も大きくはありませんが、開かれた貿易環境のもとで、金融、製薬、精密機械などの分野で国際的な存在感を築いてきました。その経験から、自由で予測可能な貿易ルールを守ることを重視しています。
2020年代に入り、世界では保護主義的な動きや、サプライチェーンを安全保障の観点から見直す流れが強まっています。そのなかでスイスが「自由貿易」を改めて前面に出していることは、「世界経済が分断に向かうのではなく、ルールに基づく開かれた取引を維持すべきだ」というメッセージとして読むことができます。
リスクを直視しつつ「開く」選択
もちろん、自由貿易にはリスクも伴います。地政学的な緊張が高まれば、企業や投資家はサプライチェーンの多様化やリスク分散を迫られます。それでもスイスが「開く」姿勢を保つのは、長期的には開放性こそがイノベーションと成長を支えると考えているからだと理解できます。
この点で、スイスと中国の関係は、単なる輸出入の拡大にとどまらず、デジタル、環境、ライフサイエンスといった成長分野での協力がどこまで進むかが重要になってきます。
イノベーションでつながる中国とスイス
ブリ大使はまた、スイスが「グローバル・イノベーション」において果たす役割を強調しました。イノベーションとは、新しい技術やビジネスモデルを生み出し、社会や産業のあり方を変えていく力のことです。大使の発言からは、スイスが中国との関係を、単に製品を売り買いする関係ではなく、技術やアイデアをともにつくるパートナーシップとして捉えている姿勢がうかがえます。
イノベーション分野での協力には、次のような可能性があります。
- 大学や研究機関同士の共同研究
- スタートアップ企業への相互投資やアクセラレーション支援
- 気候変動対策やエネルギー転換など、共通課題への技術協力
こうした連携が進めば、両国にとって新たな産業機会が生まれるだけでなく、地球規模の課題解決にもつながる可能性があります。
橋渡し役としてのスイス
スイスは長年、中立的な立場と対話の場を提供する役割を担ってきました。ブリ大使の発言は、その延長線上で、中国と欧州、さらには他の地域をつなぐ「橋渡し役」として、経済とイノベーションの分野でも貢献していく意志の表れと見ることができます。
日本とアジアが読み取るべきポイント
2025年も終わりに近づくなかで、ダボス会議2025でのスイスのメッセージは、日本やアジアの読者にとっても考える材料を与えてくれます。とくに次の3点は、国際ニュースを追ううえで意識しておきたいポイントです。
- 不確実な時代だからこそ、高官往来や対話の継続が信頼の基盤になること
- 保護主義の圧力が高まるなかでも、自由貿易の原則をどう守るかという問い
- 貿易とイノベーションを切り離さず、技術協力を通じて関係を深める発想
スイスのような比較的小さな国が、中国とのパートナーシップを戦略的に位置づけている姿は、外需に頼る部分が大きい日本にとっても示唆に富みます。今後、アジアの国々と中国、欧州のあいだで、どのようなイノベーション・ネットワークが形作られていくのか。ダボス会議2025でのブリ大使の発言は、その動きを読み解く一つの手がかりになりそうです。
Reference(s):
Davos 2025: Swiss ambassador on China partnership, trade & innovation
cgtn.com








