マッキンゼー中国トップが語る不確実性時代 世界経済フォーラム2025 video poster
地政学リスクが高まる中、世界の企業はどこまで「不確実性」に備えられているのでしょうか。2025年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、マッキンゼー・グレーター・チャイナの主席ジョー・ンガイ氏は、世界経済の先行きをめぐる重要なメッセージを発しました。
ダボス会議2025で示されたキーワードは「ボラティリティ」と「不確実性」
世界経済フォーラム2025の場で、ンガイ氏は、地政学的な緊張の高まりが世界全体に大きな不確実性をもたらしていると強調しました。企業は、急激な環境変化=ボラティリティ(価格や市場の激しい変動)が常態化する前提で行動せざるを得ない、と見る立場です。
そのうえで同氏は、世界の貿易構造が今後再編されていくと予測しました。背景にあるのは、各国による新たな関税や貿易障壁の導入です。貿易ルールが揺らぐ中で、企業の「当たり前」だった前提が書き換えられつつある、という認識がにじみます。
地政学リスクが動かす「新しい貿易地図」
ンガイ氏が指摘するように、地政学的な緊張と、それに伴う関税や規制の強化は、世界の貿易の流れを変えつつあります。自由貿易を前提にしたグローバルなサプライチェーン(供給網)は、今や見直しの対象になっています。
企業にとっては、次のような変化が現実になりつつあると考えられます。
- 特定の国や地域への過度な依存を避けるための、生産拠点や調達先の分散
- 関税リスクを抑えるための、地域ごとの「ローカル生産・ローカル販売」へのシフト
- 政治・安全保障の動きが、為替や株価と同じレベルで経営判断に影響する時代への移行
こうした変化は、大企業だけでなく、中堅・中小企業にも波及します。グローバル市場に直接出ていない企業であっても、取引先や価格、調達コストを通じて影響を受ける可能性があります。
それでも強調された中国経済の成長と影響力
不確実性が高まるなかでも、ンガイ氏は中国経済の力強い成長と、世界における影響力の高まりを強調しました。世界の貿易構造が再編されるとしても、中国(中国)が引き続き重要な役割を果たす、という見方です。
これは、多くの企業にとって次のような現実を意味します。
- 市場としての中国の存在感は依然として大きく、成長機会もなお豊富である
- サプライチェーンの見直しは「中国からの撤退」ではなく、「中国も含めた再設計」として捉える必要がある
- 中国の動向が、アジアのみならず世界の需要や投資の流れを左右し続ける
地政学的な緊張がある一方で、経済面での結びつきは簡単には切り離せない——ンガイ氏の発言は、その現実を改めて映し出しているとも言えます。
企業は「変化を前提」にした備えへ
では、こうしたボラティリティと不確実性の時代に、企業はどう備えるべきでしょうか。ンガイ氏の指摘から読み取れるのは、「安定を前提とする計画」から「変化を前提とする戦略」へと発想を変える必要性です。
具体的には、次のようなアプローチが考えられます。
- 複数のシナリオ(関税の変化、規制強化、地政学リスクの悪化など)を想定した中長期の計画づくり
- 調達・生産・販売の各段階で、代替ルートや代替市場をあらかじめ確保しておくこと
- 国際情勢や政策変化に関する情報収集を、経営の中枢機能として位置づけること
「想定外」を完全になくすことはできませんが、想定し得るリスクを洗い出し、事前に手を打っておくことで、ショックを和らげることは可能です。
日本の読者への問いかけ
世界経済フォーラム2025での議論は、日本にいる私たちにも直接関係しています。輸出入や海外展開を行う企業はもちろん、国内中心のビジネスであっても、価格やサプライチェーンを通じて世界の変化から逃れることはできません。
あなたの職場やビジネスでは、どこまで「ボラティリティ」と「不確実性」を前提にした議論ができているでしょうか。中国経済の存在感、貿易構造の再編、地政学リスク——これらを「遠い話」とせず、自分ごととして考えるタイミングが来ているのかもしれません。
Reference(s):
McKinsey China: Businesses prepared for volatility and uncertainty
cgtn.com








