S4 Capital創業者が語るグローバルサウス台頭 世界秩序は「非一極」へ video poster
世界経済フォーラム年次総会2025(World Economic Forum Annual Meeting 2025)で、広告業界の重鎮として知られるS4 Capital創業者で会長のマーティン・ソレル氏が、グローバルサウスやBRICS、ネクストイレブンといった新興経済の台頭が、世界をよりバランスの取れた「非一極」の国際秩序へと導いていると語りました。本記事では、その発言のポイントと、日本や企業にとっての意味を整理します。
- ソレル氏は、従来の西側主要国は新興経済の台頭を認識する必要があると指摘
- グローバルサウス、BRICS、ネクストイレブンがよりバランスの取れた世界秩序を後押し
- 国際ニュースの読み方や企業戦略に、地域多様性への視点がいっそう重要に
世界経済フォーラム2025で示されたメッセージ
ソレル氏は、世界経済フォーラム年次総会2025の場で、CGTNのGuan Xin氏のインタビューに応じました。そのなかで、同氏は次のような趣旨を語りました。
従来の西側の主要国は、グローバルサウスやBRICS、ネクストイレブンなど、新興経済の台頭を認めなければならない。これらの新興勢力が、世界をよりバランスが取れ、よりきめ細かく、多元的で「非一極的」な国際秩序へと押し出している、という見立てです。
広告・マーケティングの世界で長年グローバル企業を見てきたソレル氏が、このように語ったことは、単なる政治的なメッセージというより、ビジネス現場で感じている力学の変化を反映していると言えます。
グローバルサウス・BRICS・ネクストイレブンとは
今回の発言で鍵となるキーワードが、グローバルサウス、BRICS、ネクストイレブンです。いずれも、新興経済の存在感を象徴する言葉です。
- グローバルサウス:アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど、これまで世界経済の中心ではなかったが、人口や経済規模の拡大で重要性が増している国々を総称する言葉として使われます。
- BRICS:成長する新興経済のグループを指す略称で、世界経済における影響力の拡大が議論されてきました。
- ネクストイレブン(Next Eleven):将来的に成長ポテンシャルが高いとされた新興経済のグループを指す概念です。
ソレル氏は、こうした多様な新興経済圏を一括りに「台頭する周縁」ではなく、世界を動かす主体として捉え直すべきだと示唆していると考えられます。
「非一極的な世界秩序」とは何を意味するか
ソレル氏は、世界が「よりバランスが取れた、ニュアンスのある、非一極的な」秩序に向かっていると述べています。この表現は、特定の一つの国や地域が圧倒的な影響力を持つ「一極支配」の時代から、複数の経済・地域が重なり合いながら影響力を持つ時代へ移行している、という見方を示しています。
この「非一極」の世界では、次のような変化が起こりやすくなります。
- ルール作りや国際議論の場が、多様な地域の声を反映する方向に動きやすくなる
- 政治・安全保障だけでなく、デジタル、気候変動、サプライチェーンなどの分野で、多様なプレーヤーが影響力を持つ
- 単純な「西側対それ以外」という構図ではなく、テーマや利害に応じた柔軟な連携が増える
こうした流れは、国際ニュースの読み解き方にも直結します。あるテーマでは新興経済が主導し、別のテーマでは従来の先進国が主導するなど、文脈ごとの「主役」が変わる可能性が高まるからです。
なぜ「西側は認識を改める必要」があるのか
ソレル氏は「伝統的な西側の主要国は、こうした新興経済の台頭を認識しなければならない」と強調しました。この背景には、次のような問題意識があると考えられます。
- 経済成長のエンジンが、従来の先進国中心から、新興経済にも広がっていること
- 人口構成や消費市場の重心が、新興経済側にシフトしつつあること
- デジタル技術の普及によって、新興経済からもグローバル企業やサービスが生まれやすくなっていること
もし国際政治やビジネス戦略が、依然として一部の地域だけを基準に設計され続けると、新たなプレーヤーとの対話や協力の機会を逃してしまうおそれがあります。ソレル氏のメッセージは、こうした「視野の偏り」への警鐘とも読めます。
日本と企業にとっての意味
日本にとっても、グローバルサウスやBRICS、ネクストイレブンの動向は、もはや遠い世界の話ではありません。製造業、デジタル産業、コンテンツ産業など、多くの分野で新興経済との結びつきが深まっています。
ソレル氏の指摘は、日本企業や投資家、政策決定者に対して、次のような問いを投げかけているように見えます。
- 市場やサプライチェーンの前提に、新興経済の存在感をどこまで織り込んでいるか
- 情報収集や人材戦略において、特定の地域に偏った見方をしていないか
- グローバルサウスやBRICSのプレーヤーとの協業やパートナーシップの余地を、十分に検討しているか
特にデジタルネイティブ世代のビジネスパーソンにとっては、「世界の中心」を固定的に捉えるのではなく、複数の中心が共存する前提でキャリアや事業戦略を考えることが重要になっていきそうです。
ニュースを読むときに意識したい「もう一つの地図」
今回のソレル氏の発言は、国際ニュースの読み方そのものにもヒントを与えてくれます。これからの国際ニュースでは、次の点を意識すると、世界の動きを立体的に捉えやすくなるでしょう。
- アメリカやヨーロッパだけでなく、グローバルサウスやBRICS、ネクストイレブンの視点や利害を探してみる
- 「どの国が中心か」ではなく、「どのテーマで、どの地域が主導しているか」に注目する
- 一つのニュースが、他の地域の新興経済にどんな波及効果を持つかを考えてみる
2025年の世界経済フォーラム年次総会の場で発せられたソレル氏のメッセージは、国際秩序の変化を読み解くための「もう一つの地図」を提示していると言えます。グローバルサウスや新興経済の存在感が高まるなかで、日本から世界を見るときの「レンズ」を少し調整してみることが、これからの時代を生きるうえでの重要な一歩になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








