ダボス会議2025で丁薛祥副総理が語った4つの提言と中国経済3つのトレンド
世界経済フォーラム(WEF)年次総会2025が開かれたスイス・ダボスで、中国の丁薛祥(てい・せつしょう)副総理が演説し、揺れる世界経済に向けてグローバル化の方向性と中国経済の展望を示しました。本稿では、その要点を国際ニュースを日常的にチェックする読者向けに整理します。
人類が「岐路」に立つ中でのメッセージ
丁副総理は、世界が急速かつ前例のない変化に直面し、グローバル・ガバナンス(世界のルール作り)が大きな調整期にあると指摘しました。
人類社会は再び重要な岐路に立っているとした上で、信頼を固め、連帯と協力を維持し、「高い風波」に直面しても手を取り合って前進しようと呼びかけました。その目的として、「人類の前途を共にする共同体」を築き、世界により大きな安定性と予見可能性をもたらし、公正で共通の発展を実現するべきだと強調しました。
グローバル化を巡る「4つの提言」
丁副総理は、これからの経済グローバル化のあり方について、次の4点を提案しました。
1. すべての国に利益をもたらす包摂的な経済グローバル化
第一に、「皆が得をする」経済グローバル化を進めるべきだと訴えました。単に世界経済という「パイ」を大きくするだけでなく、その分配をより公平にし、互いに利益を分かち合う仕組みが重要だと位置づけています。
そのためには、各国がコミュニケーションと調整を重ね、ウィンウィンの解決策を探る必要があるとしました。
2. 真の多国間主義と国連中心の国際秩序
第二に、丁副総理は「真の多国間主義」を貫くことの重要性を強調しました。国連を中心とする国際システムをしっかり守り、広範な協議と共同の貢献、利益の共有というビジョンにもとづくグローバル・ガバナンスを進めるべきだと述べました。
同時に、国際社会におけるすべての国に対して、権利、機会、ルールの面での平等を確保し、国際経済協力において開かれた、包摂的で差別のない環境を整える必要があるとしています。
3. デジタル時代の新たな成長エンジンを育てる
第三の提言は、世界経済の新しい成長エンジンを共に育てようというものです。デジタル時代の接続性を高め、科学技術イノベーションで国際協力を進め、技術の成果を人類全体の利益に役立てるべきだとしました。
そのうえで、より多くの国がデジタル経済という「高速列車」に乗り込めるようにし、世界的な成長の裾野を広げる必要があると呼びかけました。
4. 気候変動や食料・エネルギー安全保障への共同対応
第四に、気候変動、食料安全保障、エネルギー安全保障といった地球規模課題に対し、国際社会が協力して取り組むべきだと訴えました。
その一環として、中国が提案しているグローバル発展イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブを共に進めることで、困難や挑戦を乗り越えるための力を集めていく必要があると語りました。
中国経済を形づくる「3つのトレンド」
演説の後半で丁副総理は、中国経済の現状と方向性を示す3つのトレンドを紹介しました。世界経済に大きな影響を与える中国の動きを知るうえで、押さえておきたいポイントです。
1. 新たな成長ドライバーによる質の高い発展
第一のトレンドは、「高品質な発展」が着実に進んでいるという認識です。これまでの伝統的な成長ドライバーから、新しい成長分野への移行が進み、新興産業や将来有望な産業が台頭していると述べました。
丁副総理は、いわゆる「新しい質の高い生産力」がより速いペースで形成されつつあるとし、その背景として、今年、中国がマクロ経済政策を一段と強化し、積極的な財政政策と、適切に緩和的な金融政策を組み合わせる方針を示しました。これにより、より高い質の経済成長と、適切な規模の経済成長を同時に追求するとしています。
2. グリーン・低炭素への加速する転換
第二のトレンドは、グリーンかつ低炭素の経済への転換が全面的に加速していることです。中国は新エネルギー分野で世界最大かつ最も整った産業チェーンを築いているとし、国際情勢がどのように変化しても、積極的に気候変動に対応する決意と行動は変わらないと強調しました。
丁副総理は、カーボン排出の削減と汚染の緩和にたゆまぬ努力を続け、グリーン転換を拡大しながら経済成長も追求していく方針を示しました。
3. 改革開放のさらなる高度化
第三のトレンドとして、改革と開放がより高いレベルへと進んでいると述べました。丁副総理は、高い水準の社会主義市場経済体制を構築し、公平でダイナミックな市場環境を育て、資源配分の効率と生産性を最大限高めていくと説明しました。
さらに、中国の対外開放の扉は閉じることなく、今後も一段と大きく開かれていくと強調。中国のビジネス環境は一層改善されるとの見通しを示し、海外企業が中国で投資・事業を展開し、中国の機会を共有する中でより大きな成功を収めることを歓迎する姿勢を表明しました。
読者が押さえておきたい視点
丁副総理のダボスでのメッセージは、単なる一国の政策説明にとどまらず、グローバル化や国際協力をどう再設計していくかという広い問いかけにもなっています。
- 経済グローバル化を「拡大」と「公正な分配」の両面からどうデザインするか
- 国連を中心とする多国間協調を、具体的なルールや制度としてどう強化するか
- デジタル経済やグリーン転換を、すべての国が参加できる形でどう進めるか
混迷の度合いを増す国際情勢の中で、「安定」と「予見可能性」をどう確保するかは、多くの国に共通する課題です。中国が示した4つの提言と3つのトレンドは、そうした議論の一つの材料として、今後も国際ニュースの文脈で注目されていきそうです。
Reference(s):
Key takeaways from Vice Premier Ding Xuexiang's speech at Davos
cgtn.com








