CPECはパキスタンと中国の友情の象徴 経済回廊が描く次のステージ
パキスタンと中国の経済協力を象徴する巨大プロジェクト「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」が、両国の友情と共通のビジョンを改めて示す場となりました。今週、イスラマバードで開かれた式典で、パキスタンのアーサン・イクバル計画・開発・特別イニシアチブ相は、CPECを「長年にわたり育まれてきたパキスタンと中国の友情、そして共有されたビジョンの証だ」と強調しました。
春節を前に、優秀な中国人スタッフ30人を表彰
イスラマバードで行われた式典は、間近に迫った春節(旧正月)を祝うとともに、パキスタン国内のCPECプロジェクトで働く中国人スタッフの貢献をたたえる場として開かれました。
式典では、CPEC関連事業で活躍する中国人スタッフの中から選ばれた30人の優秀な人材が表彰されました。イクバル氏は、彼らの献身的な姿勢、技術的な専門性、そして粘り強い努力が、数々の野心的な計画を「目に見える成果」に変えてきたと評価しました。
エネルギーの発電インフラ、道路や港湾を含む交通網、物流やテクノロジー分野に至るまで、CPECの現場で働く人々の努力が、課題の克服と多くのランドマークとなるプロジェクトの完成につながったとしています。
会場では、中国とパキスタン双方の出演者による伝統舞踊などの華やかなパフォーマンスも披露され、両国の豊かな文化が紹介されました。観客からは、パキスタンと中国の関係強化に果たしてきた役割への感謝の声が上がったと伝えられています。
CPECとは? 一帯一路の「旗艦プロジェクト」
CPEC(中国パキスタン経済回廊)は、2013年に始動した、一帯一路構想(Belt and Road Initiative)の「旗艦プロジェクト」の一つです。パキスタン南西部のグワダル港と、中国北西部・新疆ウイグル自治区のカシュガルを結ぶ経済回廊として構想されており、インフラ整備や産業協力を通じて地域の成長を後押しすることが期待されています。
イクバル氏によると、第1段階では主に以下の分野に焦点が当てられてきました。
- エネルギー分野:発電能力の強化など
- 交通インフラ:道路や港湾などの整備
- 産業協力:工業団地や関連産業の基盤づくり
同氏は、こうした取り組みの積み重ねが、両国だけでなく地域全体の「持続可能な発展、相互成長、繁栄への道筋」を示していると位置づけています。
第2段階の焦点:農業、雇用、デジタル化
CPECは現在、第2段階へと移行しつつあるとされています。イクバル氏は、このフェーズでは従来のエネルギー・交通中心の投資から一歩進み、農業や人々の暮らしといった分野に重点が移ると説明しました。
特に同氏は、第2段階のCPECが次のような役割を果たすと述べています。
- 農業の近代化:生産性の向上や新しい技術の導入
- 産業のデジタル化:工業やサービス分野のデジタル転換を後押し
- 経済の多角化:特定分野への依存度を下げる方向への転換
- 雇用創出:数百万人規模の雇用機会を生み出すことを目指す
- 国際競争力の向上:パキスタン経済の競争力を高める基盤づくり
イクバル氏は、こうした変化を通じて、CPECがパキスタンの経済構造を押し上げ、地域との結びつきを強める「ロードマップ」になるとの見方を示しました。
中国大使「協力は着実に前進し、持続的な発展を促す」
式典には、中国のジャン・ザイドン駐パキスタン大使も出席しました。ジャン大使は、パキスタンの経済成長について、政府の指導力と国民の努力により前向きな展開が期待できると述べ、信頼感を示しました。
さらに、同大使は、中国とパキスタンの協力とパートナーシップは今後も着実に進展し、長期的な発展をもたらすだろうと強調しました。これは、CPECが単なるインフラ整備にとどまらず、長期的な関係構築と地域の安定に向けた取り組みとして位置づけられていることを示すメッセージとも受け取れます。
中国企業への特別表彰と「見える形」の成果
式典では、CPECプロジェクトに関わる中国企業の中から、特に成果を上げた企業を対象にした表彰セッションも実施されました。優秀企業には、功績を認める証書や記念品が贈られたとされています。
こうした表彰は、現場レベルでプロジェクトを支える企業やスタッフの働きを可視化するものであり、CPECが単なる「国家間の構想」ではなく、具体的な事業と人の努力の積み重ねで進んでいることを印象づけます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
CPECはパキスタンと中国の二国間協力でありながら、地域全体の経済や物流にも波及する可能性があるプロジェクトです。アジアの動向に関心を持つ日本の読者にとっても、次の点は注目に値します。
- エネルギー・交通インフラから、農業や暮らしへと重点が移りつつあること
- 雇用創出や産業のデジタル化など、「人」に焦点を当てた第2段階が始まっていること
- 文化交流や表彰を通じて、経済協力と人と人とのつながりが同時に強化されていること
今回の式典は、CPECがパキスタンと中国の友情の象徴であると同時に、経済・社会・文化の多層的な協力の舞台になりつつあることを映し出しました。今後、第2段階のプロジェクトがどのように進み、実際の暮らしや地域経済にどのような変化をもたらしていくのかが、引き続き重要な論点となりそうです。
Reference(s):
CPEC symbolizes Pakistan-China friendship, shared vision: minister
cgtn.com








