世界経済フォーラム2025:スタンダードチャータードが語る分断時代のグローバル貿易 video poster
地政学リスクと経済の分断が進むなか、グローバル貿易と投資はどこへ向かうのでしょうか。2025年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、CGTNの王天宇(Wang Tianyu)記者がスタンダードチャータード銀行インターナショナル部門プレジデントのバンジャミン・ホン(Benjamin Hung)氏に行ったインタビューは、その問いに向き合うヒントを与えています。
ホン氏は、変化するグローバル貿易のダイナミクス、投資トレンド、そして中国本土の経済発展について見解を示しました。本記事では、そのインタビューを手がかりに、2025年の国際経済を読み解きます。
世界経済フォーラム2025で浮かび上がった3つの論点
世界経済フォーラム(ダボス会議)は、各国の政治リーダーや企業経営者、専門家が集まり、世界の課題を議論する場です。今年のインタビューで焦点となったのは、次の3つのテーマでした。
- 分断が進む中でのグローバル貿易の新しい姿
- 投資トレンドの変化と金融セクターへの影響
- 中国本土の経済発展が世界に与えるインパクト
いずれも、日本を含むアジアの経済にも直結する論点です。ダボスの議論は「世界のどこか遠くの話」ではなく、私たちの日常の価格、雇用、投資機会にもつながっています。
分断が進むグローバル貿易:何が起きているのか
ホン氏のインタビューの背景には、地政学と地経学(ジオエコノミクス)の緊張が高まる現状があります。関税や制裁、サプライチェーンの見直しなどにより、グローバル貿易はかつてほどスムーズではなくなりつつあります。
「分断」と「再接続」が同時進行
世界貿易は単純に縮小しているわけではなく、次のような動きが同時に進んでいます。
- 一部の分野でのブロック化や分断
- 新しい貿易ルートやパートナーシップの模索
- デジタル技術を活用したサービス貿易の拡大
国際銀行であるスタンダードチャータードのような金融機関は、この「分断された世界をどう再びつなぐか」という課題の最前線に立っています。貿易金融や国際送金を通じて、企業が新たな市場とつながる支援をする必要があるからです。
企業にとってのキーワードは「柔軟性」と「多様化」
こうした環境の中で、国際的にビジネスを展開する企業にとっては、次のような視点が重要になりつつあります。
- サプライチェーン(供給網)の多元化:特定の地域に依存しすぎない構造づくり
- 通貨や資金調達手段の分散:為替や金利のリスクに備える
- 現地規制への適応:各国・地域のルールを踏まえたビジネス設計
ホン氏のインタビューは、こうした「分断の時代における現実的な対応」が国際金融の現場でも大きなテーマになっていることを映し出しています。
変わる投資トレンド:資金はどこへ向かうのか
インタビューでは、投資トレンドの変化も重要な論点として取り上げられました。金融市場では、金利やインフレだけでなく、地政学リスクやサプライチェーンの再編も投資判断に大きく影響しています。
リスクと成長をどう両立させるか
投資家にとってのポイントは「リスクを抑えつつ、どこで成長を取りにいくか」です。現在の環境では、次のような方向性が意識されています。
- 複数地域に分散した投資ポートフォリオの構築
- 中長期的な成長力を持つ市場への継続的な注目
- 持続可能性(サステナビリティ)やデジタル分野など構造的成長テーマへの関心
スタンダードチャータードのような国際銀行は、企業や機関投資家に対し、これらのトレンドを踏まえた資金の流れを設計する役割を担っています。どの地域・産業に、どの程度のリスクを取りながら資金を振り向けるのか。その判断に必要な情報と金融サービスを提供することが求められています。
中国本土経済の位置づけと今後
ホン氏は、中国本土の経済発展についても見解を示しました。中国本土は、世界の製造業やサプライチェーン、そして消費市場において依然として大きな存在感を持っています。
インタビューのテーマとして浮かび上がるのは、次のようなポイントです。
- 中国本土が世界貿易ネットワークの重要な一部であり続けるという視点
- 構造改革や開放の進展が、海外からの投資判断に与える影響
- イノベーションやグリーン転換など、新しい成長分野への注目
国際金融のプレーヤーにとって、中国本土経済の動きは単なる一国のニュースではなく、アジア全体、そして世界の資金の流れを左右する要素です。ホン氏のインタビューは、その重要性をあらためて示すものだと言えるでしょう。
日本とアジアの読者への示唆
ダボス会議でのこのインタビューは、日本やアジアで暮らす私たちにとっても、いくつかの示唆を与えてくれます。
- ニュースを「つながり」の視点で読む:単発の出来事ではなく、貿易や投資のネットワーク全体の動きとして捉える。
- 分断=終わり、ではなく再編の始まり:リスクは増える一方で、新しいビジネスチャンスも生まれていることを意識する。
- 中国本土を含むアジアのダイナミズムに注目:域内の成長ストーリーが、世界経済の方向性を形づくっている。
2025年の世界経済フォーラムで交わされたこうした議論は、国際ニュースを「自分ごと」として読み解くきっかけになります。分断が語られる時代だからこそ、貿易や投資を通じて世界がどのように再びつながろうとしているのかに、丁寧に目を向けたいところです。
Reference(s):
Standard Chartered: Connecting global trade in a fragmented world
cgtn.com








