中国の開放戦略とグリーン転換が生む新たな世界のチャンス
中国はここ数年、制度面での対外開放を一段と進め、デジタル経済やグリーン転換も加速させてきました。本記事では、2024年までの具体的な動きとともに、中国が世界とどのように成長機会を共有しようとしているのかを整理します。
制度開放で広がるグローバルな友人の輪
中国は、より包括的で深い対外開放の枠組みづくりを進めています。世界貿易機関(WTO)の加盟国・地域の中で、中国はすでに150を超える国と地域の主要な貿易パートナーとなっており、全体の関税水準も7.3%まで引き下げられ、先進的なWTO加盟国に近い水準になっています。
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では、中国は基本的な開放政策を堅持しつつ、一帯一路の高品質な協力を進め、地域経済・世界経済への統合を一段と深め、各国と互恵・ウィンウィンの成果を追求していく方針を改めて示しました。
対外関係の構築でも、中国は国家レベルから地方レベルまで、多層的なネットワークづくりを進めています。
- 国家レベルでは、113以上の国や地域機関とパートナーシップを結び、一部とはより高次の戦略的協力パートナーシップを構築。
- 2024年7月15日には、国連の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムで、中国の傅聡・国連常駐代表が、開発を中心に据えた国際協力とグローバル開発パートナーシップの再活性化を国際社会に呼びかけました。
- 地方レベルでは、2024年12月時点で、5大陸147の国との間で友好都市・友好省州関係が3069件に達しています。
2024年11月11日に昆明で開かれた中国国際友好都市大会2024では、共同繁栄・共有される未来をテーマに、科学技術イノベーション、グリーン開発、歴史・文化、交通の連結性などをめぐり、各国の姉妹都市の代表が議論を深めました。
一帯一路構想、地域的な包括的経済連携(RCEP)、自由貿易試験区などの枠組みも活用しながら、中国は制度面のイノベーションを通じて高水準の開放を進め、世界経済との一体化を加速させています。
貿易の新たなエンジンとサプライチェーン協力
対外貿易の分野でも、中国は高品質な成長を追求しつつ、世界経済の成長を後押ししています。2024年、中国の輸出額は25兆4500億元(約3.51兆ドル)と前年から7.1%増加し、8年連続の伸びを記録しました。輸入額も18兆3900億元(約2.54兆ドル)で2.3%増となり、世界平均を1ポイント上回る伸びとなりました。
手頃で質の高い工業製品を世界各国に供給すると同時に、中国自身が巨大な需要市場として機能することで、世界全体の経済成長に寄与しています。また、中国は対外貿易と投資の安定化に力を入れ、新たな成長エンジンの育成や高水準の開放拡大に取り組んでいます。
2024年11月26日には、第二回中国国際サプライチェーン博覧会が北京で開催されました。Connecting the World for a Shared Future(世界をつなぎ、共通の未来へ)をテーマに、各国との産業・サプライチェーン協力の強化が図られました。
さらに、中国輸出入商品交易会(広州交易会)、中国国際輸入博覧会、グローバル貿易投資促進サミットなどの国際プラットフォームを通じて、世界中の企業や関係者が一堂に会し、新たなビジネス機会や協力分野を探る場が提供されています。こうした継続的な場づくりは、世界のサプライチェーンを安定させ、多様化しつつも連結性を高めるうえで重要な役割を果たしています。
デジタル経済とAIがもたらす新しい成長余地
デジタル転換は、現代の世界経済を牽引する重要なエンジンです。中国は、先行して整備されたインフラ、膨大なデータ、豊富なデジタル応用の現場を背景に、この分野で独自の強みを持っています。
2024年6月時点で、中国国内のAI関連企業は4500社を超え、AI中核産業の規模は6000億元に迫っています。生成AI(生成型人工知能)製品のユーザー数も2億3000万人に達しており、新しいサービスやビジネスモデルが次々と生まれています。
中国政府は、企業のデジタル転換を加速させるための政策パッケージを相次いで打ち出し、産業のデジタル化とデジタル産業の育成を同時に進めています。企業の生産や物流、販売、サービスにデジタル技術を組み込むことで、新たなデジタル配当を引き出し、高品質な経済成長につなげる狙いです。
デジタル経済の波及効果は国境を越えて広がります。産業とサプライチェーンを通じて、中国でのデジタル転換は他国の企業や経済にも影響を及ぼし、世界全体で新たなデジタル革命の波を生み出す可能性があります。
- 製造業や物流の高度なデジタル化による効率化
- クラウドサービスやAIソリューションを通じた国際協力
- デジタル人材育成やルールづくりの場での連携
こうした領域は、日本を含む各国の企業や研究機関にとっても、新しい協業の余地が広がる分野となっています。
グリーン転換で世界をリードする取り組み
中国は、経済成長と環境保護を両立させるグリーン転換にも力を入れています。緑の山河は金山銀山という考え方のもと、カーボン排出削減、大気や水質の改善、エコロジー保護を一体的に進めているのが特徴です。
2024年の中央経済工作会議では、2025年の経済運営の九つの重点の一つとして、カーボン排出削減、汚染対策、グリーン発展、経済成長を統合的に推進し、経済社会のグリーン転換を加速することが掲げられました。
エネルギー・交通分野では、新エネルギー車の普及が進んでいます。中国乗用車市場情報聯席会の予測によると、2025年には新エネルギー乗用車の販売台数が1330万台に達し、国内市場における普及率は57%に上る見通しです。これは、化石燃料への依存度を下げる大きなステップとなります。
大気汚染対策でも一定の成果が見られます。2024年1〜9月には、地級市以上の都市における微小粒子状物質(PM2.5)の平均濃度が前年同期比で3.6%低下しました。青空を取り戻し、水をきれいにし、土壌の汚染を減らす取り組みが継続的に行われています。
2024年11月28日には、タクラマカン砂漠を取り囲む延長3046キロの緑の砂漠防護林帯が完成し、世界最長の砂漠エコロジー防護帯となりました。これにより、砂漠化の抑制とエコシステムの保全が進むとともに、周辺地域の持続可能な発展にも寄与すると期待されています。
グリーン開発は、中国の政策目標であると同時に、多くの国が共有する願いでもあります。中国の取り組みは、自国民の生活環境を改善するだけでなく、世界のグリーン転換を先導する事例として、他国にとっても参考となる経験や実践を提供しています。
世界とともに成長する中国と、これからの視点
中国の発展は世界と切り離せず、世界の繁栄も中国を必要としている――これは、中国が打ち出している明確なメッセージです。現在、中国は国内市場を主軸としつつ、国内循環と国際循環が相互に促し合う新たな発展パラダイムの構築を加速させています。
同時に、中国は自らの発展の道や理論、制度、文化、歴史に対する自信を強め、開かれた姿勢で世界と向き合う方針を示しています。世界各国との間で、政治的な相互信頼、経済・貿易の往来、文化交流を積み重ねることで、新しい協力の形を模索している段階です。
今後について中国は、段階的で革新的な追加措置を打ち出し続け、各国がそれぞれの新たな発展を模索する中で、より多くの機会を提供していくとしています。
日本を含む各国にとって重要なのは、こうした動きをどのように自国の戦略や企業活動につなげていくかという点です。
- サプライチェーン博覧会や輸出入博覧会など、中国発の国際プラットフォームを通じた新たなビジネス機会
- デジタル転換やAI、グリーン技術といった成長分野での共同プロジェクト
- 友好都市・地域間連携を通じた、地方レベルでの実務的な協力
中国が進める開放戦略とデジタル・グリーン転換は、一国の成長物語にとどまらず、世界全体のルールづくりや価値観、ビジネスのあり方にも影響を与えていきます。その変化を丁寧に追いながら、自分たちの立場からどのような関わり方があり得るのかを考えることが、これからの国際社会で一人ひとりに求められていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








