中国本土の地方「両会」が成長加速策 広東・江蘇などが5%成長目標
2025年、第14次五カ年計画の最終年を迎えた中国本土で、地方レベルの立法機関と政治協商機関による「地方版両会」が相次いで開かれました。広東省や江蘇省、山東省などの主要省は、2025年の経済運営の方針と成長目標を示し、技術革新と産業の融合や有効需要の拡大、「新質生産力」の育成を柱とする政策パッケージを打ち出しています。
地方版「両会」で示された政策の柱
中国本土では、全国人民代表大会と中国人民政治協商会議の年次会合を総称して「両会」と呼びます。その地方版にあたる省級の人民代表大会と政治協商会議でも、地域の経済・社会政策の方向性が決まります。今回の地方両会では、おおむね次の3点が共通のキーワードとなりました。
- 技術と産業イノベーションの一体的な推進
- 消費や投資を通じた「有効需要」の拡大
- 地域の実情に応じた「新質生産力」の育成
ここでいう「新質生産力」は、研究開発やデジタル技術、人材を軸とした、より付加価値の高い生産能力を志向する概念とされます。従来の量的拡大だけでなく、産業の高度化と効率化を通じて成長の質を高めようとする方向性がにじみます。
2024年の実績:広東・江蘇・山東が示す構造転換
2024年のデータを見ると、主要省ではすでに構造転換の動きが数字に現れ始めています。
- 広東省:総経済規模が14兆元(約1.9兆ドル)を超え、中国本土の省として初めてこの水準に到達。
- 江蘇省:大規模工業生産の付加価値に占めるハイテク産業の比率が、初めて50%を上回る。
- 山東省:デジタル経済の規模がGDPの49%超に達する。
広東省は経済規模の面で一歩抜きん出ており、江蘇省はハイテク産業の比重を高めることで産業の高度化を進めています。山東省では、GDPの約半分をデジタル経済が占める水準に達しており、経済全体のデジタル化が進んでいることがうかがえます。
第14次五カ年計画の最終年:目標は「5%前後」
2025年は、中国の第14次五カ年計画の最終年にあたります。こうした中で、中国本土の主要経済省は、実質成長率をおおむね5%前後とする目標を掲げています。
- 広東省:成長率はおおむね5%
- 河南省:おおむね5.5%
- 山東省・江蘇省:5%以上を目標
- 四川省:5.5%超の成長を目指す
これらの省はいずれも中国本土経済を牽引する「大省」であり、設定された目標は、内外環境の不確実性を踏まえつつも、一定の成長ペースを維持しようとする姿勢を示すものといえます。
鍵を握る「技術×産業」と有効需要
地方両会で特に強調されたのが、技術イノベーションと産業政策の一体運営です。ハイテク産業の比率を高めながら、既存の製造業やサービス業にもデジタル技術を組み込むことで、生産性と競争力の向上を狙っています。
同時に、「有効需要」の拡大も重要なテーマとして掲げられました。家計の消費と企業の投資の双方を安定させ、中長期的な需要を確保することで、供給側の構造改革と歩調を合わせていく狙いがうかがえます。
日本から注視したいポイント
日本を含むアジアの周辺国・地域にとって、広東・江蘇・山東・四川・河南といった主要省は、サプライチェーンと市場の両面で存在感の大きい地域です。これらの省が、ハイテク産業やデジタル経済、「新質生産力」の育成を明確に打ち出していることは、
- 技術・デジタル分野での競争と協調の余地が広がる
- 地域ごとの産業クラスターの特色がより鮮明になる
- 需要拡大策の具体化によって、ビジネス環境が変化しうる
といった点で、今後の国際ビジネスや経済関係にも影響を及ぼす可能性があります。
この記事の執筆時点である2025年12月現在、各省が掲げた成長目標と「新質生産力」育成の取り組みは進行中です。第14次五カ年計画の締めくくりの年に、地方発の政策がどのような成果を上げるのか。中国本土経済の行方を見通すうえで、引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








